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Uberが今年500台を世界展開——センサー搭載EVで月200万マイルのデータ収集へ

2020年、Uberは自社の自動運転部門「Uber ATG」をAuroraに売却し、業界から撤退した。あれから6年、Uberは自動運転に「戻ってきた」——ただし、今度は競合としてではなく、業界全体を支えるインフラプレーヤーとして。

2026年6月、Uberは、センサーを多数搭載したHyundai Ioniq 5ベースのデータ収集車のプロトタイプを公開し、今年中に500台を世界展開すると発表した。この動きは、Uberが今年初めに立ち上げた「AV Labs」部門の中核をなすものだ。単純なハードウェアの話に見えるが、その背後にはUberが描く自動運転市場での独自ポジションが透けて見える。


1. AV Labsとは何か——データ供給者としてのUber


1-1. 部門の概要と立ち上げ背景

AV Labsは、2026年1月にUberが立ち上げた新部門だ。センサーを搭載した車両を使って実世界の走行データを収集し、それをUberの自動運転テクノロジーパートナー企業群に提供することを目的としている。

2020年にAuroraへ自動運転部門を売却して以来、Uberは自社でAV技術を開発する立場を離れた。しかし、今日、Uber車両の走行データ、地理的多様性、そして膨大な既存ネットワークは、自動運転企業が最も必要としているものの一つ——高品質な訓練データ——を提供できる立場に同社を置いている。

1-2. 30社超のパートナー網

AV Labsは、現時点でAvride、Waymo、WeRideを含む30社以上の自動運転テクノロジーパートナーを抱えており、今後も拡大する方針だ。競合するAV企業各社が、同じUberのデータを活用するという構図は、プラットフォームビジネスとして見ると興味深い。

2. 車両の中身——センサースペックと技術構成


2-1. Hyundai Ioniq 5ベースの改造車

公開されたプロトタイプはHyundai Ioniq 5をベースに、大量のセンサーを搭載している。外観はやや異様だが、設計思想はシンプルだ——できる限り多くの情報を、できる限り精度高く記録すること。

車両の改造はRoush Performanceとの提携のもとで行われる。Roushは自動車改造の専門企業であり、量産対応の観点からも実績がある選択といえる。

2-2. センサー構成とデータ処理

搭載されるセンサーは以下の通りだ。

カメラが14台、固体ライダーが8基、レーダーが9基。これらすべてのデータはNvidiaの自動車向けコンピュータ「Dual Drive Thor」を通じて処理される。Uberは「パートナーのニーズに合わせてセンサー構成を更新し続ける」としており、固定された仕様ではなく、進化を前提とした設計になっている。

3. データ収集の規模と目標


3-1. 500台・月200万マイル

Uberは、今年中に500台のIoniq 5改造車を世界展開する計画を発表した。このフリートが稼働した場合、月間200万マイルの高精度走行データを収集できると述べている。今夏までに50台が路上に出る予定だ。

3-2. 「地理的多様性」という差別化軸

Uberが強調するのは、データの量だけではない。同社が目指すのは「自動運転向けの、世界で最も地理的に多様な訓練データセット」の構築だ。

自動運転ソフトウェアの訓練には、様々な道路環境・天候・交通パターンのデータが不可欠だ。特定の都市や国に偏ったデータでは、汎用性の高い自動運転システムを作ることが難しい。Uberはすでに数十都市でフリートパートナーの車両を通じてデータを収集しており、さらに米国・欧州でLucid Air車両数百台からのデータも蓄積している。この地理的な広がりはUber固有の強みといえる。

3-3. データの質——360度・時刻同期・スティッチドビュー

収集するのは生の映像や測定値ではない。Uberの目標は、360度の視野を持ち、時刻同期された「スティッチドビュー(統合視点映像)」を生成することだ。これにより、パートナー企業は複数センサーのデータを統合した形で自動運転ソフトウェアの訓練に使用できる。

4. AV Labsの外側——Uber Autonomous Solutionsとの役割分担


4-1. 2月に立ち上がった別部門

AV LabsはUberの自動運転戦略の一翼に過ぎない。2026年2月には「Uber Autonomous Solutions」という別の部門も立ち上げられた。こちらはロボタクシー、自動運転トラック、歩道走行型配送ロボットなどの日常的な運営業務を支援することを目的としている。

4-2. データとオペレーションの2軸

整理すると、Uberは自動運転領域で2つの役割を担おうとしている。AV Labsがデータ供給側を担い、Uber Autonomous Solutionsがオペレーション支援側を担う。自動運転技術そのものは開発しない——そのかわり、技術企業が必要とするデータとインフラを提供することで、業界全体への関与を深める戦略だ。

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