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Intel公募増資、Appleダウングレード、Microsoft Copilot急成長 ― 業界地図の変化

Bloomberg Techがシリコンバレーから生放送で伝えた今回の番組では、Intelの大型増資、Apple株のダウングレード、MicrosoftのAIエージェント活用、中国半導体企業の急騰、そして、GameStopによるeBay買収提案の撤回検討まで、テック業界の多方面にわたる動きが取り上げられました。ビジネスマン・投資家にとって、AIブームが半導体・ハードウェア・ソフトウェアの各層にどのような影響を及ぼしているかを俯瞰する好機となりそうです。


1. Intel、1971年上場以来初の公募増資 ― 150億ドル規模


今回最大の注目ニュースは、Intelが、新規に150億ドル相当の株式を市場で調達する計画を明らかにしたことです。番組では、これが1971年の上場以来初めての公募増資になると紹介されています。Intel株は、年初来で3倍以上に上昇しており、AI関連での期待の高まりが背景にあるとされる一方、この日の株価自体は発表を受けて4%下落したと報じられています。

Bloomberg Newsのイアン・キング氏は、Intelが工場建設に必要な資金がこの調達額の2倍規模に達することを踏まえれば、150億ドルという金額自体はさほど大きくないとの見方を示しています。また、同社が負債市場ではなく株式市場での資金調達を選んだ背景として、バランスシートの改善が進んでいることが挙げられ、これが株価上昇を支える一因にもなっているとの分析が示されています。

同社は、オハイオ州やアリゾナ州で物理的な工場は既に建設済みであるものの、装置導入という「本当にコストのかかる部分」にはまだ着手していないとされ、今後NvidiaやAppleのような大口の外部顧客を獲得できれば、さらに大規模な投資拡大に踏み切る可能性があるとの見立ても紹介されています。

2. Apple、Jefferiesがダウングレード ― 「オールガラスiPhone」開発中止の思惑


半導体・ハードウェア分野でもう一つ注目されたのが、AppleへのJefferiesによる評価引き下げです。同社は、Appleの評価を「ホールド」から「アンダーパフォーム」に引き下げ、目標株価を263.63ドルに設定しました。

Jefferiesのエディソン・リー氏は、サプライチェーンの調査結果から、2027年のiPhone発売20周年に向けて計画されていたとされる「オールガラスiPhone」(フレームがなく側面の物理ボタンもハプティクスに置き換えられた新デザイン)が、低い生産歩留まりを理由に開発中止となった可能性を指摘しています。

同氏は、この開発中止が重要な理由として、スマートフォン市場が、成熟商品化しており、需要の大半が買い替え需要に依存している点を挙げています。AIがまだスマートフォンの買い替えサイクルを大きく変える要因になっていない中、平均販売価格(ASP)を引き上げられる新たな「目玉商品」の欠如は、Appleにとって収益成長の重要な足がかりを失うことを意味するとされています。

さらに構造的な変化として、Appleが、TSMCの最先端プロセスやメモリの調達において、これまでの「最大顧客」の座をAI関連企業に奪われつつある点も指摘されています。AI企業がより高い価格を提示できるようになったことで、Appleは、十分な供給量を確保するために、これまで以上に苦労する状況になっているとの見立てが示されています。同氏はこれを「サプライチェーンの構造がAIによって劇的に変化した」結果であり、単純な経営判断の誤りとは言えないと説明しています。

なお、9月1日には、ティム・クック氏がCEOを退任して会長職に移り、新CEOが就任する予定であることも紹介されています。

3. Microsoft ― AIエージェントで社内開発が一変、Copilot有料シート数が急拡大


Microsoftからは、内部AI向けチップの生産を大幅に拡大する計画が報じられたほか、同社のCopilot・エージェント部門を統括するチャールズ・ラマナ氏が出演し、AIエージェントの活用状況について詳しく語っています。

同氏は、コーディングエージェントの活用によって、ソフトウェア開発の在り方そのものが変化していると説明しています。従来はエンジニアが自らコードを書くことが開発の制約要因でしたが、現在ではエンジニアの役割は、生成されたコードを監督し、検証・評価の仕組みや、アーキテクチャ全体の調整を構築することに移りつつあるとされています。SharePointのような10年以上前から存在する既存製品でも、エージェント型コーディングによる進捗の大幅な加速が見られると紹介されています。

データ分析・レポート作成の分野でも変化が起きているとされ、これまで中央のチームが営業・財務・人事部門向けにダッシュボードを構築していたのに対し、現在は各部門の担当者自身がCopilotを使って分析を行い、社内で共有できるようになったと説明されています。これにより、ダッシュボード構築にかかるコストが大幅に削減され、意思決定のスピードも向上しているとされています。同氏は、この効率化が人員削減につながるわけではなく、むしろ生まれた余剰時間を製品研究や顧客対応の改善といった「より興味深い仕事」に再投資する動きが多くの企業で見られると強調しています。

Copilotの成長についても具体的な数字が示されています。有料シート数は3月期の2,000万から7月期には3,000万に達し、これまで数年かけて達成してきた成長を、わずか半年間で実現したと説明されています。ユーザーとCopilotとの対話回数は前年比で2倍以上に増加しているとされ、Outlook・Teamsといった日常的に使われるアプリケーションと同水準のエンゲージメントを獲得していると紹介されています。

成長を支える要因として、OpenAIのモデルに加えてAnthropicのClaudeを含む複数モデルへの対応、Excel・Outlookなど既存業務フローへのシームレスな統合、そして企業固有のデータ・コンテキストを組み合わせられる点の3つが挙げられています。

4. 中国、28兆ドル市場を背景にAI企業への資金供給を強化


グローバルなAI競争においては、資金アクセスの観点から中国市場の動きも取り上げられています。番組では、先月上場した中国の半導体企業が、IPOで98億ドルを調達した後、取引初日に株価がほぼ500%上昇したことが紹介されています。これは、中国の資本市場がAI関連の技術構築において今後さらに大きな役割を果たす可能性を示すサインだとされています。

米国の株式・債券市場規模と比較すると、中国の市場規模は約5分の1にとどまるとされていますが、それでも28兆ドル規模という決して小さくない市場であり、中国当局は26兆ドル規模とされる国内家計の高い貯蓄をAI関連産業の成長に活用しようとしていると説明されています。AIの育成は、これまで太陽光パネルや電気自動車で成功を収めてきた産業政策とは異なる、より資本集約的な挑戦になるとの見立ても示されています。

4-1. Baillie Gifford ― 米国外のAI投資機会

英資産運用会社Baillie Giffordのポーリーナ・マクパデン氏は、長期的に有望なAI関連の成長機会は米国外にも数多く存在するとの見方を示しています。同氏は、TSMCが先端半導体において構築してきた独自の「プロセス知識」の蓄積は、資本アクセスだけでは容易に模倣できないとし、韓国のSK Hynixについても、高帯域幅メモリ(HBM)分野での高い技術的専門性が中国企業による追随を困難にしていると説明しています。

半導体以外の投資機会としては、ShopifyとMercado Libreの2社が挙げられています。Shopifyについては、AIエージェントが消費者の購買判断を代行するようになる中で、ウェブスクレイピングよりも同社の商品カタログ・メタデータを使った場合の方が、注文コンバージョン率が2倍高いというデータが紹介されています。同社は内部でもAIによるコード開発の展開率が75%向上したとされ、開発速度と品質の両方が向上している点は市場がまだ十分に評価していないとの見立てが示されています。

5. GameStop、eBayへの560億ドル買収提案を撤回検討


小売業界の話題として、GameStopがeBayに対する560億ドルの買収提案を撤回し、代わりに合弁事業やパートナーシップを検討している可能性が報じられています。GameStopのライアン・コーエンCEOは1ヶ月前には買収に「全速力」で進む姿勢を示していましたが、状況が変化しているとされています。

GameStopは現在、バンガードに次ぐeBayの第2位株主として、約10%の株式を保有しているとされています。合弁構想の背景には、GameStopが全米に展開する実店舗網を活用し、コレクターズアイテムなどの真贋鑑定サービスに使うという狙いがあるとされていますが、この種の物理店舗とEC事業の融合は、Amazonが過去に苦戦してきた分野でもあり、eBay自身も10年前に似た取り組みを試みて成功しなかった経緯があると指摘されています。市場はこの報道を受けて、GameStop株は概ね変わらず、eBay株は3%超下落したと紹介されています。

6. その他の注目トピック


South Park Commons:Luma AIなどへの投資歴を持つベンチャーファームが、5億7,500万ドル規模の新ファンドを設立し、プレシード段階から、より確信度の高い早期ステージ投資へと事業を拡大すると発表しました。共同創業者のアディティア・アガーワル氏は、AIによって創業者が抱く野心の規模そのものが変化しており、核動力貨物船や新たな宇宙輸送手段の構築といった、以前より遥かに大規模な構想を持つ創業者が増えていると説明しています。

TSMC:7月の月次売上高が前年比45%増の145億ドルに達し、ハードウェア需要の勢いが衰えていないことを示しました。同社は年間の支出・売上見通しも上方修正しています。

Boeing:エアタクシー技術開発を手掛ける複数の事業部門をArcherに売却し、商用・防衛事業への集中を強化する方針を示しました。Archerはこの見返りとしてBoeingから出資を受け入れるとされています。

Anthropic:シンガポール政府系投資会社GICとの新たなパートナーシップを発表し、データセンター施設の開発・運営・リースに向けた新会社を設立すると報じられています。GICがインフラ整備と資金調達を担い、Anthropicは長期のリース契約を通じてAI計算需要を提供する形になるとされています。

映画興行:2026年は複数の作品が10億ドルを超える興行収入を記録し、コロナ禍以降で最も好調な年になる見通しだと紹介されています。

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