頭の中の音楽が、戻ってきた。ADHD薬の経過報告・2週間目のリアル
これまでのこと
前回の記事で、ADHDの薬「ストラテラ」を飲み始めて1週間の変化を書いた。
簡単に振り返ると、自分は30代、製造業で現場と経営の両方に関わっている。1歳の息子がいる。物心ついたときから頭の中で音楽がループし続けていて、日中は倒れそうなほどの眠気と戦い、毎朝5時間で早朝覚醒して不安な考え事がループする。それが日常だった。
数年前にコンサータを使った時期があるが、副作用で断念。その後、別の仕組みの薬であるストラテラを試すことにした。
1週間目の変化は劇的だった。頭の中の音楽が消えた。早朝覚醒時の不安がなくなった。日中の眠気が軽くなった。これはいけるかもしれないと思った。
今回は、その続きの話を書く。
正直に言うと、あまり良いニュースではない。
📖 前回の記事はこちら
ADHDの薬をやめて数年。別の薬を試したら、頭の中の音楽が止まった
2週間目に起きていること
飲み始めてから2週間以上が経った。途中で40mgから80mgに増量もした。
しかし、最初の数日に感じた変化が、徐々に薄れてきている。
頭の中の音楽ループが戻ってきた。 1週目にあれほど静かだった頭の中に、また音楽が流れている。完全に元通りかと聞かれると、そこは正直わからない。ただ「消えた」と感じていたものが、今は確実に聞こえている。
早朝覚醒がひどくなっている。 起床時間の2時間半前に目が覚めて、そこから考え事がループして、ろくに二度寝できない。薬を飲む前と同じ、あるいはそれより悪いかもしれない。目が覚めたとき不安がなかったあの数日間は何だったのかと思う。
日中の集中力と眠気も悪化している。 仕事中に意識が飛びそうになる瞬間が何度もある。気絶するように落ちかける感覚だ。夕方は特にひどい。最初の1週間で「まだ立てる眠気」に改善したと書いたが、今は「倒れそうな眠気」に戻りつつある。
なぜこうなっているのか(自分なりの理解)
自分は医者ではないので、あくまでも調べた範囲での理解として書く。
ストラテラは脳内のノルアドレナリンの回収口をふさいで、隙間に留まるノルアドレナリンの量を増やす薬だ。飲み始めの数日間は、脳がこの変化に対応しきれていない状態で、ノルアドレナリンが素直に増えた。だから音楽が消え、不安が減り、頭がクリアになった。
しかし脳には自己調節の仕組みがある。ノルアドレナリンを放出する側の神経細胞にはセンサーのようなもの(自己受容体)がついていて、隙間のノルアドレナリン量を監視している。「多すぎる」と検知すると、放出元に「もう出すな」という信号を送る。つまり、薬で回収を遅くしても、脳が放出量自体を減らして帳消しにしようとする。
自分の場合、もともとノルアドレナリンが少ない体質ではないかと想像している。心拍数が低い、日中の眠気が強い、昔からブレインフォグがあるといった特徴がそれを示唆している。もし脳の「設定値」が低いなら、少しでもノルアドレナリンが増えた時点で自己調節が強く反応して、元の少ない状態に戻そうとするのかもしれない。
数週間かけてこのセンサー自体が鈍くなり、放出量の制限が緩和されることで効果が安定してくる——というのが薬理学的な理論らしい。ただ、それが自分の脳で実際に起きるかどうかは、もう少し時間を見ないとわからない。
副作用のこと——正直に書く
効果が薄れている一方で、副作用は残っている。
口の渇きは継続中。これは前回も書いた。
ここからは少しデリケートな話になるが、同じ薬を飲んでいる人、これから飲もうとしている人のために正直に書いておきたい。
性欲の低下。 これは飲み始めて数日で感じた。以前と比べて明らかに欲求が減っている。
射精時の痛み。 これが一番困っている副作用だ。ストラテラの添付文書には、生殖器に関連する副作用として前立腺炎、射精障害、勃起不全、生殖器痛、精巣痛、持続勃起症が記載されている。
自分の場合は、射精の瞬間に前立腺のあたりと思われる場所に鋭い痛みが走る。快感よりも痛みの方が強い。そしてその痛みは射精後も数分間続く。トイレにこもって少しずつ排尿しているうちに、気がついたら痛みが引いている、という感じだ。
行為自体が怖くなるレベルの痛みで、正直かなり堪える。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害が、射精に関わる自律神経系にも影響を与えるためだと理解している。頻度としては添付文書に「ときに起こる」程度の記載だが、実際に経験すると「ときに」では済まない深刻さがある。
1歳の子供がいる身として、夫婦関係にも関わる問題だ。次の受診で必ず医師に相談するつもりでいる。
ネットで検索しても、この副作用について具体的に書いている体験談は少ない。だからこそ書いておく。もし同じ症状で不安を感じている人がいたら、自分だけではないと知ってほしい。
明後日、重要な打ち合わせがある
今一番不安なのは、明後日に控えている重要な打ち合わせのことだ。
今の状態でその打ち合わせに臨むのが、正直怖い。集中力が持つか、眠気に負けないか、判断がまともにできるか。薬を飲み始める前より状態が悪い気すらしている中で、重要な意思決定の場に立つことへの恐怖がある。
薬を飲み始めた目的はまさにこういう場面でのパフォーマンスを維持するためだったのに、皮肉な状況だ。
それでも続ける
ネガティブなことばかり書いたが、ここで薬をやめるつもりはない。
理由は二つある。
一つは、最初の数日間に確かに変化を感じたこと。あの静かな頭の中は本物だった。音楽が消え、不安がループせず、クリアに目覚めた朝は確かにあった。薬が自分の脳に作用する力を持っていることは証明された。問題は脳の自己調節との綱引きであって、薬が無効だということではない。
もう一つは、まだ時間が足りないこと。ストラテラの効果が安定するまでに6〜8週間かかると言われている。今はまだその途中だ。ここでやめたら「効かなかった」というデータしか残らない。最低でも安定期に入るまでは続けて、そこで改めて判断したい。
次の受診で、今の状態を正直に医師に伝えるつもりだ。効果の変化、副作用、メカニズムについての自分なりの理解も含めて。そこでどういう方針になるかはわからないが、経過はまた報告する。
この記事は個人の体験談であり、医学的なアドバイスではありません。薬の効果や副作用には個人差があります。服薬については必ず医師に相談してください。
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