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第6回|「これ、偽物だった」を防ぐために。パワーストーンの見分け方大全



正直に言うと、今回の記事は普段の3倍くらい時間がかかりました。

「ターコイズは偽物が多い」「ラピスラズリと間違えやすい」——連載の中で、そういう話をちらっとずつしてきました。第1回、第3回、そして前回の第5回。そのたびに「詳しくはまた別の記事で」と先送りにしてきたことが、正直ずっと気になっていたんです。

なので今回は、これまで先送りにしてきた分をぜんぶまとめて、腰を据えて調べてみることにしました。宝石の鑑別機関のサイトを読み込んだり、なぜ偽物が生まれるのかという構造から調べ直したり。「なんとなく知っている」と「ちゃんと説明できる」の間には、思っていたよりずっと距離がありました。

無料で出すか迷った内容です。でも今のわたしにとって大事なのは、稼ぐことよりも「この人の書くことは信頼できる」と思ってもらうこと。だから今回は、出し惜しみせずに全部書きます。



そもそも、なぜ偽物が生まれるのか

パワーストーンの世界で「偽物」と呼ばれるものには、実はいくつか種類があります。

ひとつは、まったく別の安価な石を染めたり加熱したりして、人気の石そっくりに仕立てたもの。もうひとつは、天然石ではなくガラスや樹脂で作られた模造品。そしてもうひとつ、天然ではあるけれど処理によって色を変えているのに、そのことが十分に説明されずに売られているケースです。

宝石業界には「鑑別書」という仕組みがあります。日本国内でもっとも大きな鑑別機関のひとつに中央宝石研究所(CGL)があり、顕微鏡での内部観察や、比重の測定、紫外線を当てたときの光り方(蛍光性)の違いなど、いくつもの科学的な検査を組み合わせて石の正体を判定しています。調べていて驚いたのは、ここまで丁寧なプロセスを経てようやく「本物です」と言い切れるということ。裏を返せば、素人の目だけで完璧に見分けるのは、実はかなり難しいということでもあります。

とはいえ、プロと同じレベルの検査はできなくても、知っておくだけで「あれ、なんか違うかも」と気づけるポイントはたくさんあります。今日はそれを、石ごとにできるだけ具体的にまとめていきます。



ターコイズ ―色ムラのなさが、逆にサイン―

第1回でも少し触れましたが、ターコイズは偽物・処理品がとくに多い石として知られています。多くは「ハウライト」という白い石を、青緑に染色したもの。もとが安価な石なので、驚くほど自然な色に仕上げられてしまうんです。

見分けるポイントは、まず色ムラ。天然のターコイズには「マトリックス」と呼ばれる、黒や茶色の網目模様が入っていることが多く、色にも自然な濃淡があります。逆に、あまりに均一で「塗ったような」青緑一色のものは、染色を疑ったほうがいいと言われています。

もうひとつの手がかりは重さと硬さ。ハウライトはターコイズよりもやや軽く、爪で軽く引っかいた程度で傷がつきやすい性質があります(もちろん、お店で試すのは難しいと思うので、あくまで知識として)。

そして、いちばん現実的なポイントは価格です。天然のターコイズはそれなりに希少な石なので、極端に安いビーズが大量に売られているような場合は、染色ハウライトである可能性が高いと思っておいたほうがいいでしょう。「ナチュラルターコイズ」と明記されているか、信頼できるお店かどうかを確認することに尽きます。



ラピスラズリ ―「金色の粒」が語ること―

第3回で紹介したとき、わたし自身の失敗談を少しだけ書きました。ラピスラズリのつもりで買ったら、実はソーダライトだった、という話です。

今回、あらためて調べながらそのブレスレットを引っ張り出してみました。そうしたら、けっこう恥ずかしいことに気づいたんです。あのソーダライトのブレスレット、実はガーデンクォーツに出会うまでは、わたしの中で圧倒的に一番のお気に入りだったんですよね。夏になると毎日つけていて、涼しげな青がすごく気に入っていました。

偽物、というと「失敗」のイメージが強いけれど、こういうこともあるんだなと思います。買い間違えたはずなのに、結果的にすごく好きになってしまった石。石との出会い方って、本当にいろいろだなと感じます。

さて、肝心の見分け方です。ラピスラズリとソーダライトは、どちらも深い青系の石で、白い模様が入ることもあるためよく混同されます。一番わかりやすい違いは、金色のパイライト(黄鉄鉱)の粒の量。本物のラピスラズリには、星空のように金色の粒が散らばっていることが多いのですが、ソーダライトにはこれがほとんど、あるいはまったく入りません。

色味にも違いがあります。ラピスラズリはやや紫がかった深いロイヤルブルー、ソーダライトはもう少し明るく、グレーがかった青であることが多いです。並べて見比べるとわかりやすいのですが、単体で見るとどちらも「きれいな青い石」に見えてしまうので、購入時は金色の粒の有無をしっかり確認するのがいちばん確実だと思います。




シトリン ―「やさしい黄色」と「はっきりしたオレンジ」の違い―

第4回の金運回で少し触れた通り、市場に出回っているシトリンの多くは、アメジストや煙水晶を加熱処理して色を変えたものです。これ自体は悪いことではなく、業界的にも一般的な処理なのですが、「天然の色そのもの」と思って選んでいる方は少なくないはずです。

見分けるヒントは、色の濃さと均一さ。天然のシトリンは、やわらかく薄めのレモンイエローであることが多いのに対して、加熱処理されたものは、オレンジがかった濃い色になりやすく、色がはっきりくっきりしすぎている印象があります。

石をよく見ると、色の境目(ゾーニング)が確認できることもあります。天然の結晶は成長の過程でゆっくり色がついていくため境目がやわらかいのに対し、加熱処理は急激に色が変わるため、境界がシャープに出やすいそうです。ルーペがあれば見てみてほしいポイントです。

そして、これもやはり価格が正直なサインになります。天然シトリンは希少なので相応の値段がしますが、加熱処理品は比較的手頃な価格で流通しています。「安くて濃いオレンジのシトリン」を見かけたら、まずは処理品だと思っておくくらいがちょうどいいと思います。




マラカイト ―重さと、模様の「規則性」で見抜く―

前回、少しだけ触れたマラカイトの見分け方を、もう少し掘り下げます。

いちばんの模造品は、プラスチックやレジン(樹脂)で作られたもの。マラカイトは銅を多く含む鉱物なので、同じ大きさの模造品と比べるとずっしり重く、手に持つとひんやり冷たいのが特徴です。レジン製は軽く、常温かやや温かく感じることが多いと言われています。

模様にも注目してみてください。本物のマラカイトの縞模様は、渦を巻いたり不規則に広がったりしていて、一つとして同じものがありません。逆に、模様が妙にきれいに整っていたり、まるで印刷したように均一だったりする場合は、レジン製を疑ったほうがいいでしょう。

もうひとつの手がかりは色のコントラスト。天然のマラカイトには真っ黒な線はほとんど入らないとされていて、緑と黒がくっきり分かれすぎているものは、着色や樹脂の可能性が高いそうです。

今回調べていて意外だったのは、マラカイトはやわらかい石(モース硬度で3.5〜4程度)だということ。爪より少し硬いくらいで、扱いには繊細さが必要な石だと知りました。丈夫そうな見た目に反して、実はデリケートな石だったんですね。




ムーンストーン ―光の「動き方」を見る―

こちらも前回からの続きです。ムーンストーンの模造品として一番多いのは、ガラス製の「オパライト」との取り違え。

見分け方のポイントは、光の動き方でした。本物のムーンストーンの青白い光(アデュラレッセンス)は、石を傾けると表面の下をすうっと移動していくように見えます。一方オパライトは、光そのものが動くのではなく、見る角度によって背景の色が青っぽくなったりオレンジっぽくなったりするだけ。動画で撮って見比べると、この違いがよくわかります。

内部のインクルージョン(内包物)にも違いがあります。天然のムーンストーンには「ムカデ」と呼ばれる細かいヒビ状の模様が入っていることが多いのに対して、ガラス製は不自然なほどきれいな球体の気泡が入っていることが多いそうです。

今回調べていて、ムーンストームの光がなぜ動くのか、その仕組みまで理解できたのが個人的にはうれしい収穫でした。石の中の薄い層で光が散乱しているから、傾けると光の位置が変わって見える。ガラスにはその層がないから、光は動かない。理屈がわかると、次に石屋さんで実物を見るのがますます楽しみになりました。



コラム|「鑑別書がない=偽物」ではない

ここまで見分け方を書いてきましたが、ひとつ誤解してほしくないことがあります。「鑑別書がついていないパワーストーン=怪しい」というわけではない、ということです。

パワーストーンとして流通している石の多くは、鑑別書をつけるにはコストがかかりすぎる、比較的手頃な価格帯のもの。鑑別書がないのはごく普通のことで、それ自体は不安に思わなくて大丈夫です。

大切なのは、「ナチュラル○○」「天然○○」と明記されているか、処理石であればそのことがきちんと説明されているか、そして信頼できるお店かどうか。高価な一点ものを選ぶときだけ、鑑別書の有無を確認する、くらいの温度感でちょうどいいと思っています。



見分け方って、知れば知るほど「石そのものへの解像度」が上がっていく感じがして、調べていてすごく楽しかったです。今回紹介した中で、「あ、これ自分の石も確認してみようかな」と思ったものはありますか?

次回は、水晶の仲間の中でもわたしが一番好きな石、ガーデンクォーツをご紹介します。あわせて、ファントムクォーツも。どちらも「石の中に景色が見える」ような、水晶の奥深さを教えてくれる石です。楽しみにしていてください。



このnoteは、パワーストーン × ファッション × スピリチュアルをテーマに、体験と感覚を正直に書いています。専門家ではなく、ただ石が好きな普通の人間が、勉強しながら書いています。石の効果を保証するものではありません。


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