🌹**【願い】**第三章(2) はる君との出会い
これは、暗闇のどん底から
色々な人に助けてもらいながら
自分自身で這い上がってきた
”エナ”
という一人の女性の物語です。
自分を否定し、暴力を経て、
誰にも相談できない子育てのしんどさ、病気…
それでも人は
__心から幸せだと感じられるようになる__
エナの ”生きて” きた道
『願い』 全五章
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とし君が燃やされて三年ほどが経った。
私はお昼は会社、夜はバーで働くようになり、忙しい日々を送っていた。
生活リズムも私自身もまだめちゃくちゃだったけど、それなりに充実もしていた。
お昼の仕事では役職をもらい、働いていたバーではイベントを組んだり、毎日お客さんと酔っ払って笑ってるのも楽しかった。
そんな中、会社に新入社員として入ってきたのが6歳年下のはる君でした。
はる君は誰と話す時も壁が少なくて、自然に入り込ませてくれる、居心地の良い空気感を出す人でした。
ただ口がうまい。
誰にでも「今日めっちゃ可愛いですね」とか、「そういうところ好きですよ」とか言えちゃうほんと信用ならん奴なんです。
しかも本人は本心でサラッと言ってるからまたタチが悪い。
ある日、バーにお昼の職場仲間が遊びにきてくれた事がありました。
仕事中のピシッとした ”えなさん” じゃなくて、 ”えなちゃん” モードの私を見たはる君。
「いつものえなさんじゃなくてドキドキしちゃいましたよー」とか言ってくる。
やっぱり信用ならん。
初めて好きになった吉川さんという人と私が似ているだとか、えなさんの事好きになっちゃいましたとか、軽く言ってくるけどあんまり真に受けず。
「吉川さんがすごく好きだったからえなさんの事が気になってると思ってたけど、本当はえなさんを好きになるために吉川さんと出会ったのかな……なんて」
そんなくっさいセリフをふけった顔で言われても真に受けず。
私はこの時もまだ、自分を好きになってくれる男の人に安心を求めようとしていたはずでした。
でもはる君にはなぜだか、男女としての安心を求めにいこうとは思わなかった。
でも居心地だけは良かったから、二人で飲みにいくことも増えていきました。
ここでなんじゃそれな話なんですが、はる君は私に好きかも…とかふっけい顔で言っておきながら実は彼女がいたんです。
だからこそ私も色々と真に受けていなかったのです。
その彼女との付き合い始めの話も聞いていました。
友達の紹介で2人で会うようになったらしく、はる君に恋愛感情はなかったけど、向こうは自分に気があるのはわかってた。
そしてある日、告白をして欲しい雰囲気をかもし出されてしまって、その雰囲気に勝てずに付き合おうと言っちゃったと。
しかもその時、別に遠距離恋愛の彼女も居て。
はる君はあ~俺はどうしたらいいんやぁと病んでいました。
いや知らんがな。
信用ならんを通り越してただのあかんやつ。
というのもあって私ははる君の言葉を全く真に受けず、信用せずだったんです。
なのにですよ。
そんな奴に私は…私は…
……
ある時、会社の同僚が軽い事故に遭い数日休むことがあって、会社ではる君と心配やなぁと話していたんです。
その時に私の心の声がぽろっと出てしまいました。
「私の事ほんまに心配してくれる人はおらんのやろうなぁ」
これを最後まで言うか言わないかのうちに
「僕はしますよ」
はる君はまっすぐこっちを見て言ってきやがったんです。
……
なんの迷いもなく出てきたその言葉に、嬉しかったのか、安心したのか、楽になったのか、私の言葉のボキャブラリーでは出てこないような感情がうまれました。
”えなさん”モードの私の奥から涙が出そうになった。悔しいけど。
その時から、はる君に対して今までとは違う感情を意識しだし、私たちの雰囲気も変わっていきました。
俺はどうしたら良いんやぁ、とか言って病んでいたはる君にも、
「もうそんなはる君見たくないよ。そんな病むぐらいならちゃんと言ったらいいだけやん。」
そう言うと、どうやらそれが心に刺さったようで、少ししてその2人の彼女とはちゃんとお別れをしていました。
心に刺し変えしてやりましたよ。借りを返してやりましたよ。
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