文車妖妃のアルエさん②
【文車妖妃(ふぐるまようひ)】
古い恋文にこもった想いから変化した妖怪。
美しい女性の姿をしているが、その体は恋文や巻物によって形づくられている。人の心を惑わしもすれば、孤独な者には優しく寄り添うことも。恋文の魂そのものだからこそ、「真実の言葉」だけを見抜くと言われる。

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アルエさんは県内でも有名な音楽系の高校に入った。
ずっとピアノやってたし、そっちの道に行くんだろうなーと思ってた。
ぼくは県外の高校に行ったから、高校の間は数回しか会ってない。

ただ、正月には必ず年賀状を送り合ってた。
アルエさんの年賀状はいつも手描きで気合が入ったイラストだったから、ぼくも彼女の好きなキャラクターを一生懸命手描きして送った。
プールでデートだ!
ぼくには姉がいて、実はぼくとは双子。
だから、自然とぼくも女友達が多くなって、男女一緒に大人数で遊ぶことが多かった。

高校生の夏休み、みんなでプールに行くことになったので、何となくアルエさんに電話して誘ってみた。
「大勢でプール行くんだけどアルエさんもどう?」
「え……知らない人ばっかだよね?」
「そうだけど、姉貴もいるよ!」
「でも私、学校の水着しかないし……」
「むしろスクール水着でぜひ!(興奮)」
「やだ」
ガチャン

後日、アルエさんから電話が来た。
「水着買ったんだけど、一緒にプール行かない?」
「えっ!マジで?いくー!姉貴とか誘う?」
「二人だけで良くない?」

何も考えずに遊びに行ったけど、よく考えたらデートだわこれ。
ナマコってバカなの?
プールのあと、二人で喫茶店に寄ってパフェ食べながら話した。
アルエさんとの会話は、本に関することがほとんど。
ぼくは高校では授業をガン無視して一日7~10冊の本を読んでたから、アルエさんとの会話が楽しくて仕方なかった。

アルエさんは東京の某有名大学に行くんだって。
ぼくは関西の大学に行くつもりだったし、しばらく顔を合わせることもなさそうだなーと思って、少し寂しかったのを覚えている。
花火大会だ!
ぼくの実家は、すぐ目の前で地元の大規模な花火大会が開催される。
もの凄い人が見に来るから交通規制されて大会中は家から出られなくなるけど、その代わり特等席で花火大会を見ることができる。
高校最後の夏休みの終わりに、仲の良い友達を呼んでみんなで花火大会を見た。アルエさんも呼んだら、浴衣で来てくれた。なんか得した気分になった。

2人のときはずっと喋ってるけど、大人数だとアルエさんは全然話さない。かわいいから男性陣はけっこう話しかけるんだけど、完全な塩対応してて、アルエさんにも男友達にも申し訳ないと思ったのだった。
(つづく)
