見出し画像

洋書を読む|Managing Transitions - Making the Most of Change (4) |10 Actionable Tips at "Ending Phase", for Transition Leaders

楽しみながら洋書を読んで、英語力をアップしていくシリーズ企画です。

精読シリーズの2冊目は、ビジネス書です。

William Bridges  "Managing Transitions - Making the Most of Change" を取り上げます。人事視点、英語学習者視点で、考察も含めて書いていきたいと思います。

読み進めるごとにアップしていきますので、応援してくださると嬉しいです。

組織変革(トランジション)には、
①Ending ②Neutral Zone ③The New Beginning
という3つのフェーズがあります。

今回は '①Ending フェーズ' において、組織のリーダーが知っておくとよい10個のTipsを解説しています。

▼このTipsが含まれるChapter 3は前半・後半に分けて解説しています。
前半のサマリーはこちらの記事を参照ください。




Chapter 3: How to Get People to Let Go

🖋 Endingフェーズにおける、組織変革リーダーのための10つのActionable Tips

第三章の後半では、トランジションの "Endingフェーズ" では何が起っていて、リーダーはどう現場に対応していくべきなのか、と言う点について、【10このActionable Tips】を紹介していきます。また、各Tipsの小見出しは英語で書いていますので、英語の学習にも活用してくださいね。


Tip①|オーバーリアクションに驚かない Don’t be surprised at overreaction

人々が反応しているのは、「変化(change)」そのものに対してではなく、「失うこと(loss)」に対してである。そして、彼らが失っている者は、彼らの世界の一部であることを、リーダーは知らなければならない。そして、Lossは負債のように積み重なっていくものだ。過去のLossが上手く処理されていないと、それは「変化の負債(transition deficit)」になる。
また、変化を起こす側の人間にとっては大した変化ではない事柄も、現場の人々にとっては、将来のより大きなLossのシンボルになるような出来事として捉えられることもある。(例:これまでリストラをしたことなかった組織が、一人の社員を早期退職させた。誰から見てもパフォーマンスの低い人だったので会社側は当然のことと思っていたが、社員は今後は自分たちもリストラの対象になりえると考え萎縮してしまった)


Tip② ロスをオープンに語る Acknowledge the losses openly

悪いことを伝えたり、表立って話すことは、誰にとっても躊躇される。リーダーは、「現場は未だこのことに気付いてないから、まだ話に出さない方が良い」という判断を良くしているが、これは間違っている。不安を煽る(stir up trouble)と思っているが、全くの逆である。現場は既に気付いているし、放っておくことでどんどん悪い方へ考える。Lossをオープンにしない対応は、リーダーが、人々の痛みをどう扱ったらいいか分からない、と言っているに等しい。ロジカルな説明よりも、正直な気持ちを話すほうが良い場合もある。


Tip③ 悲嘆反応を予期する Expect and accept the signs of grieving

悲嘆反応(grieving)のサインである人々の以下の反応への対処法を心得ておこう。

  • Anger―怒り。怒りは理解できるものと認識しよう。自分に向けられた怒りは非難ではない。感情そのものにはOKと、誰かに向けた言動にはNGと明確に伝えよう。

  • Bargaining―現実逃避。特別な取引や、その場限りのごまかしの約束をして、儲けられる/節約できると言って問題そのものに取り合わないようにする態度に対しては、とにかく現実的でいること、そしてその努力と問題解決を別に考えこと。考えを左右されないようにしよう。

  • Anxiety―不安。沈黙のままのもの、表出したもの、本当のもの、空想上のもの。不安には種類があるが、すべて認めよう。変化に際して不安は当然の感情。馬鹿げた考えだ、などど決して言わず、正しい情報を与え、エンパシーを伝えよう。

  • Sadness―悲しみ。悲嘆反応の中心的なもの。人々がどう感じているか、表出させると落ち着いてくる。そしてリーダーであるあなた自身もどう感じているかを伝えよう。希望を持たせるための誇大な発言は控え、エンパシー、シンパシーを伝えよう。

  • Disorientation―心の乱れた状態。いつも冷静で、心が整った状態な人でも混乱することはある。サポートを与え、抱えている重荷を胸から下ろさせてあげよう。混乱するのは当然だと伝えて安心させること。

  • Depression―失望。無気力、とにかく疲れているこの状態は、sadnessやanger同様付き合っていくにはつらい気持ち。サポートとエンパシーを与えながら、でもやるべきことはやるという姿勢を継続的に伝えよう。


Tip④|ロスを埋め合わせる Compensate for the Losses

"No pain, no gain" とは良く言ったもので、変化の渦中に際して痛み(pain)を被るのは現場の人々だが、得(gain)するのは会社なのである。リーダーが持つべき問いは、"What can I give to balance what's been taken away?" ということである(関連するケーススタディが本書で読める)。その埋め合わせは、ステータスだったり、その人の得意分野を評価すること、帰属意識、成果の認知、価値のある役割だったりする。

Unless the reformer can invest something that substitutes attractive virtues for attractive vices, he'll fail.

リーダーはこのことを念頭に置いておこう。

Tip⑤|情報提供は何度でも行う Give people information and do it again and again

情報が伝えられない、どこかでストップされる理由は、マネジメントやリーダーが伝えることをためらうから。良くある言い訳はこんな感じ。
「現場はまだ知らないから、今伝えても混乱するだけ。時が来たら言う」
「もうアナウンスメントは出したから、全員知っているはず」
「マネジャーに伝えたので、部下に情報が下りているはず」
「我々だって一部の情報しか知らない。すべて理解できてから言う」

こういった言い訳は、混乱、怒り、不安の素である。オープンに、適切なタイミングで、情報開示のプランを考え実行しよう。


Tip⑥|終わるものと続くものを明確にする Define what's over and what isn't

リーダーの重要な役割の一つは、何を捨てることになるのか明確にすることだ。これをしないことで、大きなリスクは3つある。

  • 人々が前のやり方に固執し、それを止めようとしない

  • 何を止めて何を続けるのか、各々の判断で行い、現場はカオスになる

  • 次に残しておくべき貴重なものまで一緒に捨ててしまう


Tip⑦|終わりを印象付ける Mark the endings

終わり(ending)について単に話すだけでなく、印象付ける方法を使うこと。スペインの冒険家ヘルナンド・コルテスの例は、かなり過激だが、何かを考えさせられる。

When he come ashore with his men at Veracruz, he knew they were extremely ambivalent about the task ahead of them. Some called it hopeless. Faced with a continent full of adversaries, everyone must have wished that he had never come. Cortes burned the ships. A bit heavy handed perhaps.

本書より

Tip⑧|過去をリスペクトする Treat the past with respect

変革を進める際、これまでのやり方や成果を否定してはならない。「過去のやり方が悪かったから変える」というメッセージは、これまで組織を支えてきた人々の誇りや存在価値を傷つける。過去の貢献に心からの敬意(respect)と感謝を示してこそ、人々は守りを解き、新しい未来へ歩みを進めることができる。


Tip⑨|過去の一部を取っておく Let people take a piece of the old way with them

過去の記念や思い出を、敬意をもって残しておくことは、変化を一段とやりやすくする。
例えば、ある企業では、合併に際して気に入っていたオフィスを失うことを経験する人々がいた。社員は素敵な中庭で休憩時間を過ごし、同僚とコミュニケーションをとっていた。マネジメントはそのことに気付き、その中庭のシンボルの樹の一部を、新しいオフィスに植えることにした。
また、別の例だが、P&Gが大きな工場を閉鎖するときには、イヤーブックを制作した。そこで働く人々からエッセーを公募し、卒業クラスを開いて記念にした。


Tip⑩|大きなものの継続のためということを明確にする Show how endings ensure the continuity of what really matters

変化は終わりを含み、そして人々のロスを伴う。しかし、実際のトランジションは企業やビジネスなど、もっと大きいものを継続させるための唯一の方法であることもある。生産ラインの統合や、会社合併など、変化を起こさないと、会社や雇用そのものが存在しなくなってしまう。
人々は古き良き "The early days" を好む。それを懐かしみ、安定していた平和な日々を思い出す。しかし、それは選択的(恣意的)な記憶である。人々が「古き良き」と呼ぶ時代にも、必ず変化は存在した。



👀 kuroの視点で考察 My Insights & Thoughts

感情の置き去りが招く「組織の崩壊」とリーダーの役割

組織変革でリーダーは「構造の変更」に集中しますが、見逃してはいけないのは「人の感情のプロセス」です。人事の現場で痛感してきたのは、変革期における人々の感情が適切に処理されないと、リーダーは構造の変更が終わっても、その負債処理に駆け回り続けることになります。

チェンジマネジメントに失敗した組織では、「キーパーソンの相次ぐ退職」「ハラスメントの訴えの急増や労務トラブルの増加」、さらには「退職者が転職先で前職の誹謗中傷を広める」といった現象が起こります。これらはすべて、個人の痛みや悲嘆反応(Grieving)に向き合わず、ロジックだけで変化を強行した結果として生じる「感情の未処理(Transition deficit)」の表出に他なりません。私も、会社にいてこういったことを目の当たりにしてきました。

英語学習の観点でも、"Acknowledge the losses openly" というフレーズは非常に重い意味を持ちます。変化の裏にある「失われたもの」を隠さずオープンに認め、過去へリスペクトを払うこと。完璧な説明よりも、誠実なエンパシー(共感)を持って対話を重ねることこそが、組織崩壊を防ぎ、本当の意味でのEndingを迎えるための唯一の道だと感じています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

これを機に、洋書で英語を学びたいと思っている方、ぜひジョインして一緒に読み進めていきませんか? 仲間募集中です!


▼選書理由や記事の方針についてはこちら

▼過去のシリーズ記事はこちらにストックしています。


いいなと思ったら応援しよう!

言葉と旅|kuro いただいたチップは、次の洋書の購入に使わせていただきます。