「ごめんね」と言う88歳の妻に、85歳の夫は今日も会いに来る―介護現場で見た、長く愛される人の共通点―
[介護士ポエム]やさしい返事 を受けて、この記事を書いてみました
「ごめんね」
彼女はよくそう言います。
朝の支度を手伝った時も。
車椅子を動かした時も。
何かを手渡した時も。
「ごめんねぇ」
と、小さく笑いながら言うのです。
私はいつも、
「謝らなくて大丈夫ですよ」
と返します。
でも彼女は、
「そう?」
と言って、また笑います。
その「ごめんね」には、
申し訳なさだけではない何かがありました。
相手の時間をもらうこと。
相手に手を貸してもらうこと。
その一つひとつを、
ちゃんと大切に受け取っている人の言葉でした。
介護の仕事をしていると、
不思議なことがあります。
お世話をしているはずなのに、
なぜかこちらのほうが大切にされている気持ちになる人がいるのです。
彼女も、その一人でした。
88歳。
少し小柄な姉さん女房です。
そして彼女には、
85歳の旦那さんがいます。
旦那さんは、今日もやって来ます。
特別な日だからではありません。
誕生日でもありません。
記念日でもありません。
ただ、会いに来るのです。
雨の日も。
暑い日も。
少し体がしんどそうな日も。
当たり前みたいな顔をして。
二人は並んで座ります。
たくさん話す日もあります。
ほとんど話さない日もあります。
でも、
そこには長い時間を一緒に生きてきた人にしか出せない空気があります。
ある日、
私はふと思いました。
夫婦は最後、
どんな関係になるのだろう。
若い頃の恋愛とも違う。
子育てをしていた頃とも違う。
仕事を頑張っていた頃とも違う。
人生の終盤に残るものは、
いったい何なのだろう。
その答えが、
二人の間に流れる静かな時間の中にあるような気がしたのです。
そして、もう一つ。
私は、この女性を見ていると、
「長く愛される人」というのは、
どんな人なのだろうと考えるようになりました。
特別に明るい人でもない。
何でもできる人でもない。
ただ、人からしてもらったことを、
「当たり前」にしない。
小さなことにも、
「ありがとう」や「ごめんね」を返す。
その姿を見ていると、
「この人を大切にしたい」
そんな気持ちが自然に生まれてくるのです。
今回は、
88歳の妻と85歳の夫を見ていて感じた、
「長く愛される人」の共通点について書いてみたいと思います。
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