ガンダムジークアクス#9 シャロンの薔薇 感想・雑感
シャロンの薔薇の正体はエルメス(サイコミュ)とララァ。これまでの推論、想定通りだったと言えば通りだった。しかしこの世界のものではなかったし、この世界のララァは娼婦のままで誰にも見出されていなかった。それは完全にハズレた。
というか異世界から来たオブジェクトってネタは、架空戦記においては自分は正直やってほしくなかったんですよねぇ…だから微妙な心境です。
とはいえこれは原作とは…とりあえず感想いきますか。
【追記 6/9】noteより、先週最も読まれた記事のひとつと言われました。感謝です。
【追記 6/24】note編集部のこちらの記事に取り上げていただきました。ありがとうございました。
■シャロンの薔薇は異世界オブジェクト■

「それは一年戦争の最中、シスルナ空域に突然現れました。
この世界には存在しないはずの異常なオブジェクトです」

「これは我々の作ったものではないのです。開発中止となり結果的に建造されなかった特殊なモビルアーマーです」
まあ、論理的にシャロンの薔薇がサイコミュとララァの組み合わせしかないのは高い確度で確信していましたが、異世界というか平行世界というかからやってきたものだとは…この設定はやってほしくなかった、というのが正直なところです。他の世界からの干渉があった、という設定はあまりにもなんでもありになってしまうのと、陳腐すぎる。でもまあ、未来からやってきたサイコデバイスとかではなくてよかったですけど。それやってたら流石にドン引きしてたと思う(笑) とりあえずサイコミュ技術が発達していた理由はこれで明白になりましたね。エルメスを研究したから、なのでしょう。
ただ、もともとこの世界でもエルメスは設計はされていたので、有線サイコミュとビットの開発の順番が逆だったことに、やや不可解な部分は残っていますが…ここらへんがこれ以上深堀りされることはないんじゃないかと。



本作のエルメスのララァのヘルメットは割れていない


でも、良かったと思うのは、どうやらこれは原作世界のそれではないようなので、カラーの作った並行世界から別の並行世界に転移してきたエルメスと考えられます。つまり原作が干渉してるとか、「別に唯一の正しい歴史がある」とかいう変な設定じゃないのは一安心でした。多元宇宙論なら「正解の歴史」なんてありませんからね。すべての歴史が正解で唯一です。
ただ、エルメスのララァにとっては望まぬ歴史だったという話のようです
■何度時をくりかえしても赤い士官が死んでしまうんじゃが?■

あらためて言うと、シャロンの薔薇は原作のエルメスとララァではありません。別の並行宇宙のエルメスとララァと考えられます。
「向こう側の私は恋をしているわ」
「向こう側」とは、この世界にやってきたシャロンの薔薇/もうひとりのララァ・スンのいた世界でしょう。娼館のララァの夢は、エルメスのララァの思念と感応することで見ていた夢なんでしょうが、この認識は「原作」「正史」のものとは違っています。
「でも彼は連邦軍の白いモビルスーツと戦って命を落とすの。そしてジオンは戦争に負ける」
「そいつ悪いやつなんですね」
「ちがうわ…白いモビルスーツの彼も純粋なのよ。私はどちらの彼も好きになる。ふたりとも私には大切な人なのよ」
「でもそれで終わらない。私は夢の中で何度も赤い士官服の彼と出会うわ。何度も何度も巡り合い。だけど…何度やり直しても、いつも白いモビルスーツが彼を殺してしまう。私は、大切な人を守ることができないのよ」

正史ではララァはシャアを庇って死んでいます。つまりこのエルメスのララァは、正史の世界から来たララァではありません。
「何度やり直しても」というのが、何度も同じ夢を見ているという意味なのか、それとも微妙に違う人生の夢を何度も見ているのかはこのセリフからだけでは判然としません。シャロンの薔薇が複数の多元世界に同時に存在している可能性もある一方で、シャロンの薔薇は時間凍結しているので、彼女の人生を繰り返して見ていることも考えられます。

そしてもうひとつ指摘しておくべきことは。何度繰り返してもシャアが死ぬ、ということは、(原作を踏まえれば)つまりアムロがシャアを殺そうとする時、ララァかシャアのどちらかは必ず死ななければならない因果律が存在するということです。これはおそらくエルメスのララァが生きている限り覆せないものと思われます。だとしたら、シャアにガンダムを盗ませアムロがガンダムのパイロットになる可能性を絶ち、この世界のララァがシャアと出会う可能性を無くしたことは、手堅い因果律の排除だったとはいえるでしょう。しかし彼女は、自分の世界でシャアを救うには、自分が死ぬしかなかったことはわかっていないのかも知れません。
■エルメスのララァ■

「時間凍結されたままのシャロンの薔薇には、今も一人の少女が眠っている。あれはおそらく、向こう側からやってきたニュータイプ」
エルメスの中にいるララァは、アムロの攻撃からシャアを守れなかったララァなのでしょう。すると、時間を凍結しているのは彼女自身である可能性が高いと思います。次元転移してきたのも彼女の能力なのでしょう。
またそうなるとやはり、この世界においてシャアが白いモビルスーツを奪い、ジオンが連邦に勝利した歴史になったのは、この世界にやってきたエルメスのララァによる、歴史への介入があったと考えるのが自然ではないでしょうか。彼女はこの世界において、シャアもアムロも生き延びる世界を作ろうとしているのだと思われます。
もっとも、その代わりにこの世界のララァは娼婦のままなのですが…。


一方、彼女がグラナダで分析されていたのなら、やはりフラナガンはララァを知っていた可能性があるし、彼がエルメスのララァの協力者である線はまだ生きていると見るべきでしょう。すると彼からジオン内にシャアではなく、ララァの構想する世界を実現しようとするニュータイプ支持者の組織があるかもしれません。

今後の鍵はシャロンの薔薇とマチュの接触のようですが、仮にララァが時間凍結から解放されたとして、彼女自身はどうするんでしょう?
彼女の本来の世界の歴史が変わるわけではないし、帰れるのかもわからないのですが…。
■娼館のララァ■

一方、この世界のララァ。原作世界のララァはもともと娼婦だったという設定があるので、それを踏襲しているようです。カバスの館とやらは、ジオン軍相手に商売してる娼館だったようですね。

結局のところ、この世界のララァはシャアと出会わなかったことで、誰にも見出されなかった。この世界ではこの後も、彼女の真価は誰にもわからないのでしょうか。するとなんとも言えない気持ちになりますねえ。
「薔薇のところへ行きなさい!貴女には、やるべきことがある!」

こちらのララァの役目は、マチュにシャロンの薔薇についての情報を与えること。このララァにはおそらく未来が見えているので、マチュがシャロンの薔薇のところで何かをしなければならないことを知っている。
つまり導き手でした。何をしなきゃいけないのかは言わない。
うーんもどかしい(笑)
「私はいかない。私は彼を待たなきゃ」
しかし、マチュとともに逃亡することを拒んだララァがこういっているということは、この世界でもやがて彼女を迎えに来る人がいるんでしょう(いや、ただの自己犠牲かな…それはそれで美しい悲劇ではあるけど)。それがシロウズ=シャアかな。それでハッピーエンドになるんのかな…多分。
え? エルメスのララァはアムロと、娼館のララァはシャアとくっつく?そんなオチだったら流石に笑うぞ。たしかに丸く収まるけど!(笑)
■マチュの役目■

いやまず、お前さあ…本当にお母さんのこと気にしろよ。3日以上たってんじゃねーか! ホントさすがに母親が可哀想過ぎる。最後の方、数時間単位で電話してんじゃねえか、親不孝者が! 母親が自殺して無くてよかったよ

つかマチュの自分の受け入れるものと受け入れないものの態度の落差の激しさが、いかにも若い女って感じでおっさんにはきつい(笑) シャリア・ブルやコモリに対する態度とララァに対する態度がぜんぜん違うのほんともうほんともう(笑) てか説教かまされて当然のことしてんのになんでブチ切れてんだこいつは。ほんと狂犬やな!

「これが本物の重力。コロニーと変わんないな」
(中略)
「でも、本物の空と、本物の太陽」
ところでこのつぶやき。そう。彼女はずっと本物への憧れを膨らませていて、地球に来ればなにか違うのだと思っていたが、変わらないこともある。彼女はここから少しは成長できるんでしょうか。

「貴女にはもっとふさわしい場所があります。宇宙ならもっと貴女は自由になれる」
「宇宙って、自由ですか?」
でもララァに言ったセリフはニュータイプっぽかった。マチュは娼館のララァと感応したときに、おそらくララァに自分を重ねたんでしょう。
これはマチュの成長の萌芽を感じました。やっぱお前もうちょっと世界広げたほうがいいよ。もっとこう…大人になろう大人に(笑)


ところで、キラキラの彼方にいるのはエルメスのララァと考えられます。娼館のララァも光の彼方にいるもう一人の自分を見ているのでしょうね。


つまりそこにはもうひとりのララァがいると考えられる
「さすが新世代のニュータイプ」
新世代か。シャリア・ブルもマチュを導こうとしてると思うんだけどな。
マチュもちょっとはシャリア・ブルの寛容に感謝しろ(笑)
それはそれとして、マチュとシャロンの薔薇の接触で、なにか大切な事が起こることが示唆されているようです。マチュがララァの代役になれるのではないか、という推測はあったわけですが、そうではなく、マチュの役回りはエルメスのララァの止まった時間を再開することなのかな…と思っています。しかしそれでなにがどうなるのかはわかりませんが。
■ジークアクスには意思がある…らしい■

「マチュ、パイロットスーツヲキロ!」
「マチクタビレタゾ、マチュ」

「スイリクリョウヨウ、ウチュウモバンノウ、モンダイナイ!」
「バラ!バラ!」
なんかわかってきたんですが、今までハロになにか特殊な能力があるのか?と思っていたのですが、今回のセリフって、ハロが話しているというよりは、ジークアクスがハロをハッキングして、ジークアクスの意思を話させていませんか? つまり、ハロはジークアクスのAI(オメガサイコミュ?)の拡声器になっている、という理解のほうが正しいのかも知れません。

すると例の謎のメッセージも、ジークアクスが送信していた、と考えるべきなのでしょうか?

「さて、このメッセージは誰からのものなのかな…」
可能性があるのは主にふたつです。
1)シャロンの薔薇
2)ジークアクス(ハロ)
で、このメッセージが状況を動かし、ソドンの監房のロックの解除すら可能にするということは、間違いなく電子的な装置ではあるわけです。あたかも未来を読んでいるかのようなので、ニュータイプ(エルメスのララァ)が噛んでいる可能性もありますが、これはそのようにやって見せている、という可能性もあります(今回であれば「監房のロックが外れると知っていた」のではなく「メッセージを送ってからロックを外した」)。

これは現時点ではどうとも言えませんが、少なくとも今回のエピソードは、ジークアクスがマチュを導いています。地球に落ちたジークアクスは、本体はエルメスのララァのもとへ、コアファイターは娼館のララァのもとへと別れ、脱走した(させた?)マチュをララァのもとに連れて行った後で、エルメスの元へ連れていきました。これは全てジークアクスがやっていたことです。
これを傍証とすると、やはりメッセージはジークアクスが送っていたと考えるのがどちらかというと自然なのかな?と思えます。

このふたつが偶然なら天文学的確率だ。ジークアクスはおそらくララァを「知っている」
ですがジークアクスが海中のエルメスのもとにあったことは偶然とは到底考えられず、ジークアクスとエルメスのララァの間にも何かしらのつながりがありそうです。つまるところ発信元は同じで両者、ということなのかも知れません(例えば日本語はジークアクス、英語はエルメスのララァ、のような。ジークアクスはハロを介して日本語を話させているので多言語対応しているだろうが、ララァはインド人なので日本語は知らない。ソドン艦内のガイドはニュータイプなら可能だろう。原作の最終話でアムロがやっている)。
もし、フラナガンらの関与のもと、ジークアクスのAIがエルメスとララァを解析したことで作られているなら、ジークアクスはもともとエルメスのララァと繋がりがあり、彼らの計画通りにマチュを駒として動かしている可能性がありそうです。
■食えないシャリア・ブル■

「言葉にする前に…こいつ、シュウジと同じ…」
今更だけど、シャリア・ブルの能力、明らかに原作より強いよな(笑)
さて、今回彼がシャロンの薔薇について色々話してくれて、彼の受けている任務がシャロンの薔薇の捜索でもあったことが今更明かされました。
ていうか、ガンダムの捜索なのかシャアの捜索なのかシャロンの薔薇の捜索なのか、彼の受けてる命令の核心部がなんかよくわからん。
ちょっとまた後で考えてみますが…。
「そうです。彼はシャロンの薔薇を探している」
ところで、シャリア・ブルがいつどこでシュウジ・イトウのことを知り、さらに彼がシャロンの薔薇を探していることを知ったのか、なのですが、おそらくニャアンからの聞き取りが終わっており、そのためだと思われます。彼は少なくとも第1話の時点では、赤いガンダムのパイロットが誰なのかも知らなかった。しかし今回、サイド6からのガンダムの失踪を知っているということは、先のゼクノヴァについてのニャアンからの詳細な聞き取りは終わっていると考えられます。
「それは一年戦争の最中、シスルナ空域に突然現れました。
この世界には存在しないはずの異常なオブジェクトです。
それが地球圏の将来を左右する。そう考えた我々は慎重に回収し、グラナダで詳細な解析を試みましたが、激しい戦火の中で喪失してしまった。
薔薇を探しているのは彼だけではない。シュウジ・イトウは薔薇を見つけてなにをしようとしているんですか?」
しかしシュウジよりも先に薔薇そのものを抑えたことで、彼の中でシュウジの問題は後回しになったのではないでしょうか。シャリア・ブルの関心はエルメスの中の少女に移っているように思われます。

彼の能力なら、感応していればララァの素性は知れるはず…。
(大佐も、ソロモンで同じ少女を見たのですね?)
さて、シャリア・ブルとララァの接触はあるんでしょうか?
このふたり、原作でもあんまり絡んではないんですよね。どういう関わり方になるのかはちょっと興味のあるところです。
■シュウジの行方■

今回登場していないシュウジ。
しかし今回驚いたのは、彼は薔薇のところにはいなかったことです。マチュも薔薇のところに行けばシュウジと会えると思っていたわけですが…ではサイド6のゼクノヴァでどこに飛ばされた?
あのゼクノヴァがエルメスのララァによるものであるなら、それは彼女が必要とする場所に(都合よく)転送されたと考えるべきでしょう。
彼は…フラナガンと組んだりしてませんか? うーん??
そう考えると、ひょっとして今までも彼はあんなふうに転送によって行方をくらましていたんでしょうか? 彼自身の目的が薔薇を探すことなら、そのために今は何をしている? もうホントわからんですね。
あれ?もしかして、娼館のララァが待っている「彼」ってシュウジのこと?
うーん四角関係。もうどうなってもいいや(笑)
ところで、シュウジって顔写真とかあるのか? よく考えてみると、直接会ったことがある人は作中でマチュとニャアンしかいない。実存すら疑われても不思議でないほど正体不明なんですが。実際マチュも正体を知らないし。
そんなのを探さないといけないとか、シャリア・ブルも大変やな(笑)
■今週の小ネタ■
コモリさん


いやあ、マチュにブチ切れてるのはわかるわ。組織の中で頑張ってるエリートウーマンからみれば、身勝手なティーンズはムカつきますわな(笑)
それでも私服提供するんだから優しいよねこの人。
「ホント何も知らないのね。彼女からもジャンク屋からも何もでてきません。やはり、たまたま一緒にいたというだけで、何のつながりもないと考えてよろしいのでは?」
さりげないセリフで、マチュがシュウジに相手にされていなかったことを抉るのえげつなくてワラタ(笑)
あ、ポメラニアンズもどっかで拘束されてるんだね。
マッドアングラー&ゴッグ&ズゴック

つかマッドアングラーの顔って、これもチベに顔描かせたキシリア様の趣味だよね…
うわあ…マッドアングラーはともかく、ジオンの水泳部この世界にもあったんか! そんな物作ってる予算があったんか!(笑) へえええ…。
あとこのカットよく見たら後ろの方にズゴックもいるやん!
ヴァーニとカンチャナ

うーん。ロリ小間使いがでてくるとは…彼女らにはなんか「鬼◯の刃」思い出しましたねえ。
というわけで、今回の感想は短めでした。というか見たまんまで語ることがあまりない(笑) でもまあ何度か見返したらまた色々記事を書こうと思います。
■次回予告■
イオマグヌッソはやはりこの世界初のソーラ・レイっぽいし、竣工式が暗殺計画のタイミング、という自分の読みはバッチリだったっぽい。
しかし展開がいきなりすぎる。正直、自分が考えていたよりこの展開は1話早い。ということは1話分、この後、背景についてのネタバラシとどんでん返しがあるということだ。
とはいえ、あとはゼクノヴァの秘密とかシュウジとララァとシロウズの目的とかネタバレしたらバタバタと話が畳まれそうですけどね(笑)





(2025/06/04 初稿、加筆、修正)
(2025/06/05 修正、画像・キャプション追加)
(2025/06/09 追記)
(2025/06/24 追記)
