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【あすか編】第3話:開かない心の鍵

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犯人からの脅迫メッセージを受け取り、
私たちの捜索は一気に緊迫した。

私と睦月の本当の関係……

二人きりの秘密の恋、
そしてVtuberとしてのプロデュース関係。

それが誰かに暴かれたら、
私の「完璧な優等生」としての日常も、
彼の「プロデューサー」としての立場も崩壊してしまう。

「みんなを集めて、揺さぶりをかけよう」

睦月の提案で、
放課後、私たちは誰もいない補習室に容疑者4人を呼び出した。

夕暮れの赤い光が差し込む教室に、
奇妙な沈黙が流れる。

「急に集めてどうしたの? 委員会があるんだけど」

一華が不機嫌そうに手元の上質なシャープペンシルを弄る。

「私は乙羽くんに呼ばれたから来ただけー」

美月は爪を弄りながら、
睦月に熱い視線を送る。

「あの、私……早く帰りたいです……」

詩織は本を胸に抱え、
怯えたように視線を落とす。

「まあまあ先輩方! あすか先輩が呼んでくれたんだから話聞きましょ!」

ひなただけが、
場違いな笑顔を浮かべていた。

睦月が一歩前に出る。

「あすかの下駄箱に入っていた『匿名の手紙』について聞きたいんだ。サクラ色の封筒に、銀色の星型シールが貼られた手紙のことだよ」

その瞬間、
四人の空気が一変した。

一華の眉が跳ね上がり、
美月の指が止まる。

詩織が息を呑み、
ひなたの笑顔がピキリと固まった。

「私には関係ないわ」

「自業自得じゃない?」

「何も知りません」

「うちが許さないし!」

全員が否定した。

だが、
睦月が「手紙」と言っただけで全員が「ラブレター」だと理解していた。

誰かが……あるいは全員が、
最初から手紙の存在を知っていたのだ。

不気味な空気のまま解散となり、
私たちはそのまま補習室に残り、
カギをかけた。

緊張と恐怖で私の脚はガクガクと震えていた。

「あすか、大丈夫?」

睦月が優しく抱き寄せてくれる。

その途端、
溢れ出そうだった涙がポロポロと零れ落ちた。

「怖いよ、睦月……。誰かに見られてるみたいで、頭がおかしくなりそう……」

睦月は、優しく私の体を引き寄せた。

恐怖で冷え切っていた身体に、
彼のぬくもりがじわじわと染み込んでいく。

私の腕は自然と彼の首に巻きついていた。

夕闇が迫る誰もいない教室。

彼にぎゅっと強く抱きしめられるたびに、
不安で張り詰めていた心がゆっくりと解けていく。

私の耳元で、
睦月が愛おしそうに囁く。

彼の温かい鼓動が胸に伝わってきて、
私は小さく頷きながら彼の背中にしがみついた。

二人の影が夕日に溶け合う。

彼と私を繋ぐこの甘い絆だけは、
誰にも壊させない。

そう強く心に誓った。

息を整え、
乱れた制服を整えながら、
睦月が机の引き出しから何かを取り出した。

「あすか、これを見て」

彼の手にあったのは、
動画編集で使うマーカーシール――あの手紙と同じ「銀色の星型シール」だった。

「どうして睦月がこれを持ってるの……?」

「さあね。誰かが僕の部屋から盗んだのか。それとも――」

睦月は静かに微笑むだけだった。

窓の外では雨が静かに降り始めている。

一華の嘘か、美月の嫉嫉か、詩織の執着か、ひなたの監視か。

あるいは、
私のすぐ隣にいる、
この愛しいプロデューサーの……。

本当の犯人は、今もサクラ色の闇の中に隠れていた。

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