中学でも分かる➆「三角比」
ここでは、三角比の導入を解説します。
まずは、1次関数のグラフと三平方の定理を簡潔に復習します。どちらも中学で習います。
その後、直角三角形による三角比の定義を解説し、さらに単位円を用いることによって、角度の範囲を90度より大きな角度まで拡張していきます。三角比は高校で習います。
一次関数のグラフ
1次関数は、傾きを $${a}$$、$${y}$$ 切片を $${b}$$ として
$$
\begin{align*}
y=ax+b
\end{align*}
$$
と表せます。傾き $${a}$$ は、変化の割合
$$
\begin{align*}
\\[-12pt]
a=\dfrac{y の増加量}{x の増加量}
\end{align*}
$$
で求まります。$${y}$$ 切片 $${b}$$ は、$${y}$$ 軸と交わる交点の $${y}$$ 座標です。
$$
\begin{align*}
y=\underset{\tiny 傾き}{a}\hspace{-2pt}x+\hspace{-5pt}\underset{\tiny y 切片}{b}
\end{align*}
$$
下図の直線のグラフを考えましょう。

上図において、$${y=2x}$$ のグラフは
$$
\begin{alignat*}{2}
\\[-12pt]
&傾きは & &a=\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{+2}{+1}=2{\small (赤矢印)}\\[8pt]
&y 切片は & &b=0{\small (赤点)}
\end{alignat*}
$$
$${y=2x+2}$$ のグラフは
$$
\begin{alignat*}{2}
\\[-12pt]
&傾きは & &a=\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{+2}{+1}=2\\[8pt]
&y 切片は & &b=2
\end{alignat*}
$$
傾きが同じなので、$${y=2x}$$ と $${y=2x+2}$$ は平行な直線になります。
$${y=-\dfrac{1}{2}x-1}$$ のグラフは
$$
\begin{alignat*}{2}
\\[-12pt]
&傾きは & &a=\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{-1}{+2}=-\dfrac{1}{2}{\small (青矢印)}\\[8pt]
&y 切片は & &b=-1{\small (青点)}
\end{alignat*}
$$
となります。2つ右に行って1つ下がっているので、$${y}$$ の増加量は $${-1}$$ とマイナスになります。
また、下図のように $${x}$$ 軸と平行な直線を考えることができます。

$${y=3}$$ のグラフは
$$
\begin{alignat*}{2}
\\[-12pt]
&傾きは & &a=\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{0}{+1}=0\\[8pt]
&y 切片は & &b=3
\end{alignat*}
$$
のグラフです。$${y}$$ 軸方向には移動していないので、$${y}$$ の増加量は $${0}$$ です。
$${a=0, b=3}$$ より
$$
\begin{align*}
y=ax+b=0\cdot x+3=3
\end{align*}
$$
として、$${y=3}$$ が得られます。$${y=-2}$$ のグラフも同様です。
なお、$${x}$$ 軸と重なる直線は、原点 $${(0, 0)}$$ を通るので $${y=0}$$ となります。
さらに、下図のように $${y}$$ 軸に平行な直線も考えることができます。

このときは、傾きは存在せず
$${(3, 0)}$$ を通り、$${y}$$ 軸に平行な直線は $${x=3}$$
$${(-4, 0)}$$ を通り、$${y}$$ 軸に平行な直線は $${x=-4}$$
となります。傾きは存在しないので、$${y=a}$$ の形では表せないことに注意しましょう。
なお、$${y}$$ 軸と重なる直線は、原点 $${(0, 0)}$$ を通るので $${x=0}$$ となります。
三平方の定理
下図のように、直角三角形の直角をはさむ2辺の長さを $${a , b}$$、斜辺の長さを $${c}$$ とする。

このとき、次の関係式が成り立つ。
$$
\begin{align*}
a^2+b^2=c^2
\end{align*}
$$
***
この定理を、三平方の定理(さんへいほうのていり)といいます。この定理は古バビロニアの時代(紀元前2千年頃)から知られていますが、古代ギリシャの数学者ピタゴラスにちなんで、ピタゴラスの定理ともよばれます。
なお、ピタゴラスはこの定理の発見者ではなく、真の発見者は分かっていません。
例題
次の直角三角形について、$${x}$$ を求めなさい。

解説
(1) 三平方の定理より
$$
\begin{align*}
x^2&=1^2+1^2\\
&=1+1\\
&=2
\end{align*}
$$
よって
$$
\begin{align*}
x=\sqrt{2} \cdots{\small (答)}
\end{align*}
$$
(2) 三平方の定理より
$$
\begin{align*}
&x^2+1^2=2^2\\
&x^2+1=4\\
&x^2=4-1=3
\end{align*}
$$
よって
$$
\begin{align*}
x=\sqrt{3} \cdots{\small (答)}
\end{align*}
$$
(3) 三平方の定理より
$$
\begin{align*}
&x^2+3^2=5^2\\
&x^2+9=25\\
&x^2=25-9=16
\end{align*}
$$
よって
$$
\begin{align*}
x=\sqrt{16}=\sqrt{4^2}=4 \cdots{\small (答)}
\end{align*}
$$
この結果は、下図のように決まった比として覚えておけばよいでしょう。

特に、三角比において、(1) と (2) は重要なのでまとめておきます。角度もきれいな値で決まるのでセットで覚えましょう。
特別な直角三角形の3辺の比
3つの角が $${45\degree, 45\degree, 90\degree}$$ である直角二等辺三角形と、$${30\degree, 60\degree, 90\degree}$$ である直角三角形の3辺の長さの比は次のようになる。

左は正方形を対角線で分けた下半分の直角二等辺三角形で、辺の比は
$${1:1:\sqrt{2}}$$
右は正三角形を真ん中で分けた左半分の直角三角形で、辺の比は
$${1:2:\sqrt{3}}$$
である。
***
これはいわゆる三角定規の形で、この直角三角形に現れる角度 $${30\degree, 45\degree, 60\degree, 90\degree}$$ を有名角といいます。
三角比について
ここから三角比について勉強します。まずは、最も基本となる三角比の定義を与えましょう。
<三角比の定義(直角三角形)>
下図のような直角三角形がある。

このとき、三角比を次のように定義する。
$$
\begin{alignat*}{2}
&\sin A & &=\dfrac{a}{c}\\[6pt]
&\cos A & &=\dfrac{b}{c}\\[6pt]
&\tan A & &=\dfrac{a}{b}
\end{alignat*}
$$
***
三角比は直角三角形を用いて定義され、上から順に、”サイン”、”コサイン”、”タンジェント”と読みます。下図のように、頭文字の筆記体の書き順で覚えればよいでしょう。

斜辺から角度 $${A}$$ をまたがないのが $${\sin A}$$、斜辺から角度 $${A}$$ をまたぐのが $${\cos A}$$、底辺から高さへとせり上がるのが $${\tan A}$$ と覚えます。
なお、相似な直角三角形だと、この三角比の値はつねに等しくなります。
相似とは、簡単にいえば、形は同じだけど大きさが違う図形です。
例えば、下図の $${\triangle\text{ABC}}$$ と $${\triangle\text{ADE}}$$ は相似で、その相似比は $${1:2}$$ です。

すると、$${\triangle\text{ABC}}$$ について
$$
\begin{align*}
\sin A=\dfrac{3}{5}\hspace{10pt}
\cos A=\dfrac{4}{5}\hspace{10pt}
\tan A=\dfrac{3}{4}
\end{align*}
$$
$${\triangle\text{ADE}}$$ について
$$
\begin{align*}
\sin A=\dfrac{\cancel{6}}{\cancel{10}}=\dfrac{3}{5}\hspace{10pt}
\cos A=\dfrac{\cancel{8}}{\cancel{10}}=\dfrac{4}{5}\hspace{10pt}
\tan A=\dfrac{\cancel{6}}{\cancel{8}}=\dfrac{3}{4}
\end{align*}
$$
と、それぞれの三角比は同じ値になります。
有名角の三角比
$${30\degree, 45\degree, 60\degree}$$ の有名角について、三角比の値を求めてみます。
下図は、先ほどやった特別な直角三角形の3辺の比です。

上図より、$${30\degree}$$ のときは
$$
\begin{align*}
\sin 30\degree=\dfrac{1}{2}\hspace{10pt}
\cos 30\degree=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\hspace{10pt}
\tan 30\degree=\dfrac{1}{\sqrt{3}}
\end{align*}
$$
$${45\degree}$$ のときは
$$
\begin{align*}
\sin 45\degree=\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\hspace{10pt}
\cos 45\degree=\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\hspace{10pt}
\tan 45\degree=\dfrac{1}{1}=1
\end{align*}
$$
$${60\degree}$$ のときは
$$
\begin{align*}
\sin 60\degree=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\hspace{10pt}
\cos 60\degree=\dfrac{1}{2}\hspace{10pt}
\tan 60\degree=\dfrac{\sqrt{3}}{1}=\sqrt{3}
\end{align*}
$$
なお、$${\sin45\degree}$$(および $${\cos45\degree}$$)に関しては
$$
\begin{align*}
\sin 45\degree=\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\underset{分母の有利化}{\dfrac{1\times\sqrt{2}}{\sqrt{2}\times\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\hspace{10pt}
\end{align*}
$$
と、分母の有利化(ルートを外して有理数にする)をしています。
まとめると次のようになります。この値は頻繁に出てくるので、暗記しておきましょう。
三角比の表
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin 30\degree=\dfrac{1}{2}\hspace{24pt} & &\cos 30\degree=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\hspace{15pt} & &\tan 30\degree=\dfrac{1}{\sqrt{3}}\\[6pt]
&\sin 45\degree=\dfrac{\sqrt{2}}{2} & &\cos 45\degree=\dfrac{\sqrt{2}}{2} & &\tan 45\degree=1\\[6pt]
&\sin 60\degree=\dfrac{\sqrt{3}}{2} & &\cos 60\degree=\dfrac{1}{2} & &\tan 60\degree=\sqrt{3}
\end{alignat*}
$$
この値でまとめられることが多いです。
$${\sin}$$ と$${\cos}$$ では、値の増減が逆になります。分子だけを見ると、$${\sin}$$ は上から $${1, \sqrt{2}, \sqrt{3}}$$、$${\cos}$$ は上から $${\sqrt{3}, \sqrt{2}, 1}$$ です。
また $${\tan}$$ は、$${30\degree}$$ と $${60\degree}$$ で互いに逆数の関係になります。
ここまでは、三角比を直角三角形の内角で定義したので、角度の範囲は $${0< A<90\degree}$$ でした。この角度を鋭角といいます。
この範囲を鈍角、つまり $${90\degree< A<180\degree}$$ でも使えるように三角比の定義を拡張しましょう。
三角比の拡張
最初にやった直角三角形による三角比の定義を再掲します。
<三角比の定義(直角三角形)>(再掲)
下図のような直角三角形がある。

このとき、三角比を次のように定義する。
$$
\begin{alignat*}{2}
&\sin A & &=\dfrac{a}{c}\\[6pt]
&\cos A & &=\dfrac{b}{c}\\[6pt]
&\tan A & &=\dfrac{a}{b}
\end{alignat*}
$$
***
これは直角三角形で定義しているので、角度の範囲は鋭角 $${0< A<90\degree}$$ で定義されます。$${A=120\degree}$$ や $${A=150\degree}$$ などの鈍角では三角比は使えません。
よって、この範囲を鈍角、つまり $${90\degree< A<180\degree}$$ の範囲でも使えるように三角比の定義を拡張します。
ではどのように拡張すればいいか?
新たに三角比を次のように定義します。
<三角比の定義(半径 r の円)>
下図のように、原点を中心とする半径 $${r}$$ の半円上に点 $${\text{P}(x, y)}$$ をとり、$${x}$$ 軸の正の部分と半径 $${\text{OP}}$$ とのなす角を $${\theta}$$ とする。ただし、$${0\degree\leqq\theta\leqq180\degree}$$。

このとき、三角比を次のように定義する。
$$
\begin{alignat*}{2}
&\sin\theta & &=\dfrac{y}{r}\\[6pt]
&\cos\theta & &=\dfrac{x}{r}\\[6pt]
&\tan\theta & &=\dfrac{y}{x}
\end{alignat*}
$$
***
角度を計るスタート地点を始線といいますが、始線は $${x}$$ 軸の正の部分です。
また、$${\text{P}}$$ は円周上を動く点なので動点、$${\text{P}}$$ が動くと半径 $${\text{OP}}$$ も動く(回転する)ので、半径 $${\text{OP}}$$ は動径といいます。角度 $${\theta}$$ は始線から動径まで測った角度です。
これが新しい三角比の定義です。なぜこのように定義するのか、抽象的なので具体的に考えましょう。
下図の直角三角形 $${\text{OPQ}}$$ に着目します。$${\theta}$$ は鋭角 $${0\degree<\theta<90\degree}$$ なので、直角三角形の三角比の定義が使えます。

すると、上図より
$${\text{OP}=r, \text{OQ}=x, \text{PQ}=y}$$
となるので、直角三角形による三角比の定義より
$$
\begin{alignat*}{2}
&\sin\theta & &=\dfrac{y}{r}\\[6pt]
&\cos\theta & &=\dfrac{x}{r}\\[6pt]
&\tan\theta & &=\dfrac{y}{x}
\end{alignat*}
$$
これは、拡張された<三角比の定義(半径 $${\bm{r}}$$ の円)>と同じになります(要確認)。
この角度 $${\theta}$$ を鈍角まで拡張します。鋭角はもとより、鈍角においても、このように計算してしまおうということです。
$${\theta}$$ が鈍角でも点 $${\text{P}(x, y)}$$ の座標は決定するので、下図(再掲)において

$$
\begin{alignat*}{3}
\\[-12pt]
&\sin\theta & &=\dfrac{点 \text{P} の y 座標}{半径}=\dfrac{y}{r}\\[6pt]
&\cos\theta & &=\dfrac{点 \text{P} の x 座標}{半径}=\dfrac{x}{r}\\[6pt]
&\tan\theta & &=\dfrac{点 \text{P} の y 座標}{点 \text{P} の x 座標}=\dfrac{y}{x}
\end{alignat*}
$$
という要領で計算します。
この定義を用いれば、もはや直角三角形を持ち出す必要はなく、鈍角でも(もちろん鋭角でも)、半径と動点 $${\text{P}}$$ の座標によって三角比を定義することができるので、鋭角から鈍角への自然な拡張となっています。
抽象的なので具体例をあげて考えましょう。
三角比の定義の拡張の具体例
有名角のすべての具体例をあげていきます。いずれも、半径と動径 $${\text{P}}$$ の座標で三角比が決まることに着目してください。
例1 $${\theta=30\degree}$$ のとき

上図のように半径 $${2}$$ の半円を考えます。半径 $${r}$$ は自由に決めてもかまいません。$${1:2:\sqrt{3}}$$ の直角三角形に着目すると
動点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標は $${\sqrt{3}}$$ $${\rightarrow}$$ $${x=\sqrt{3}}$$
動点 $${\text{P}}$$ の $${y}$$ 座標は $${1}$$ $${\rightarrow}$$ $${y=1}$$
$${r=2}$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin30\degree & &=\dfrac{y}{r}=\dfrac{1}{2}\\[6pt]
&\cos30\degree & &=\dfrac{x}{r}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\[6pt]
&\tan30\degree & &=\dfrac{y}{x}=\dfrac{1}{\sqrt{3}}
\end{alignat*}
$$
直角三角形の斜辺の比が $${2}$$ なので、半径も同じ $${2}$$ にすれば、点 $${\text{P}}$$ の座標が比と同じ値になり、分かりやすく決まります。半径 $${r}$$ は自由に決めてもよいので、都合のよい半径を選びます。
例2 $${\theta=45\degree}$$ のとき

上図のように半径 $${\sqrt{2}}$$ の半円を考えます。$${1:1:\sqrt{2}}$$ の直角三角形に着目すると
動点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標は $${1}$$ $${\rightarrow}$$ $${x=1}$$
動点 $${\text{P}}$$ の $${y}$$ 座標は $${1}$$ $${\rightarrow}$$ $${y=1}$$
$${r=\sqrt{2}}$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin45\degree & &=\dfrac{y}{r}=\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\\[6pt]
&\cos45\degree & &=\dfrac{x}{r}=\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\\[6pt]
&\tan45\degree & &=\dfrac{y}{x}=\dfrac{1}{1}=1
\end{alignat*}
$$
直角三角形の斜辺の比が $${\sqrt{2}}$$ なので、半径も同じ $${\sqrt{2}}$$ にすれば、点 $${\text{P}}$$ の座標がが比と同じ値になり、分かりやすく決まります。
例3 $${\theta=60\degree}$$ のとき

上図のように半径 $${2}$$ の半円を考えます。$${1:2:\sqrt{3}}$$ の直角三角形に着目すると
動点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標は $${1}$$ $${\rightarrow}$$ $${x=1}$$
動点 $${\text{P}}$$ の $${y}$$ 座標は $${\sqrt{3}}$$ $${\rightarrow}$$ $${y=\sqrt{3}}$$
$${r=2}$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin60\degree & &=\dfrac{y}{r}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\[6pt]
&\cos60\degree & &=\dfrac{x}{r}=\dfrac{1}{2}\\[6pt]
&\tan60\degree & &=\dfrac{y}{x}=\dfrac{\sqrt{3}}{1}=\sqrt{3}
\end{alignat*}
$$
直角三角形の斜辺の比が $${2}$$ なので、半径も同じ $${2}$$ にすれば、点 $${\text{P}}$$ の座標が比と同じ値になり、分かりやすく決まります。
以上は鋭角のときでした。この定義を鈍角でも採用します。
例4 $${\theta=120\degree}$$ のとき

上図のように半径 $${2}$$ の半円を考えます。$${1:2:\sqrt{3}}$$ の直角三角形に着目すると
動点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標は $${-1}$$ $${\rightarrow}$$ $${x=-1}$$
動点 $${\text{P}}$$ の $${y}$$ 座標は $${\sqrt{3}}$$ $${\rightarrow}$$ $${y=\sqrt{3}}$$
$${r=2}$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin120\degree & &=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\[6pt]
&\cos120\degree & &=\dfrac{-1}{2}=-\dfrac{1}{2}\\[6pt]
&\tan120\degree & &=\dfrac{\sqrt{3}}{-1}=-\sqrt{3}
\end{alignat*}
$$
鈍角の場合は、左側の $${1:2:\sqrt{3}}$$ の直角三角形に着目します。
また、三角比の符号に注意しましょう。点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標はマイナスなので、$${\cos120\degree}$$ と $${\tan120\degree}$$ の値はマイナスになります。 三角比の定義を拡張したことの効果で、鈍角のときでもマイナスの値として $${\cos}$$ と $${\tan}$$ は導かれます。
例5 $${\theta=135\degree}$$ のとき

上図のように半径 $${\sqrt{2}}$$ の半円を考えます。$${1:1:\sqrt{2}}$$ の直角三角形に着目すると
動点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標は $${-1}$$ $${\rightarrow}$$ $${x=-1}$$
動点 $${\text{P}}$$ の $${y}$$ 座標は $${1}$$ $${\rightarrow}$$ $${y=1}$$
$${r=\sqrt{2}}$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin45\degree & &=\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\\[6pt]
&\cos45\degree & &=\dfrac{-1}{\sqrt{2}}=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}\\[6pt]
&\tan45\degree & &=\dfrac{1}{-1}=-1
\end{alignat*}
$$
これも鈍角なので、左側の $${1:1:\sqrt{2}}$$ の直角三角形に着目します。
また、点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標はマイナスなので、$${\cos135\degree}$$ と $${\tan135\degree}$$ の値はマイナスになります。
例6 $${\theta=150\degree}$$ のとき

上図のように半径 $${2}$$ の半円を考えます。$${1:2:\sqrt{3}}$$ の直角三角形に着目すると
動点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標は $${-\sqrt{3}}$$ $${\rightarrow}$$ $${x=-\sqrt{3}}$$
動点 $${\text{P}}$$ の $${y}$$ 座標は $${1}$$ $${\rightarrow}$$ $${y=1}$$
$${r=\sqrt{2}}$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin30\degree & &=\dfrac{1}{2}\\[8pt]
&\cos30\degree & &=\dfrac{-\sqrt{3}}{2}=-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\[8pt]
&\tan30\degree & &=\dfrac{1}{-\sqrt{3}}=-\dfrac{1}{\sqrt{3}}
\end{alignat*}
$$
これも鈍角なので、左側の $${1:2:\sqrt{3}}$$ の直角三角形に着目します。
また、点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標はマイナスなので、$${\cos150\degree}$$ と $${\tan150\degree}$$ の値はマイナスになります。
単位円
先にやった、拡張された<三角比の定義>を復習しましょう。
<三角比の定義(半径 $${\bm{r}}$$)の円>(再掲)
下図のように、原点を中心とする半径 $${r}$$ の半円上に点 $${\text{P}(x, y)}$$ をとり、$${x}$$ 軸の正の部分と半径 $${\text{OP}}$$ とのなす角を $${\theta}$$ とする。ただし、$${0\degree\leqq\theta\leqq180\degree}$$。

このとき、三角比を次のように定義する。
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin\theta & &=\dfrac{y}{r}\\[6pt]
&\cos\theta & &=\dfrac{x}{r}\\[6pt]
&\tan\theta & &=\dfrac{y}{x}
\end{alignat*}
$$
***
この定義では、円の半径 $${r}$$ は任意に選んでも構いません。先ほどの例では $${2}$$ と $${\sqrt{2}}$$ を採用しましたが、ここからは、半径 $${r}$$ を $${1}$$ に統一しましょう。この原点を中心とする半径 $${1}$$ の円を単位円といいます。
すると、$${r=1}$$ より
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin\theta & &=\dfrac{y}{1}=y\\[6pt]
&\cos\theta & &=\dfrac{x}{1}=x\\[6pt]
&\tan\theta & &=\dfrac{y}{x}(変化なし)
\end{alignat*}
$$
なので
$$
\begin{align*}
x&=\cos\theta\\[6pt]
y&=\sin\theta\\
\end{align*}
$$
となり、動点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
\text{P}(x, y)=\text{P}(\cos\theta, \sin\theta)
\end{align*}
$$
と三角比そのもので表されます(下図)。

上図のように、単位円周上の点の座標を、鋭角でも鈍角でも三角比そのもので表すことが可能になります。
これにより、三角比を「単位円周上の点の座標」として、新しい意味を与えることができました。
今後、三角比といったら、つねにこの単位円を用いて考えていきます。ビジュアル的に三角比をとらえることができ、非常に便利です。
なお、$${x}$$ 座標が $${\cos\theta}$$、$${y}$$ 座標が $${\sin\theta}$$ なので、逆にしないように注意しましょう。$${\sin\theta}$$ の方を先に習うので、逆にするミスが起こりがちです。
単位円の具体例(sin, cos)
単位円を用いて三角比をどのように扱っていくのか、具体的にみていきましょう。ここでは $${\sin\theta}$$ と $${\cos\theta}$$ について考え、$${\tan\theta}$$ は後でみていきます。
準備として、次の有名角の三角比について、斜辺の長さを $${1}$$ に統一しましょう。すると、$${30\degree}$$ と $${60\degree}$$ のときは縮尺が $${\dfrac{1}{2}}$$ 倍、$${45\degree}$$ のときは縮尺が $${\dfrac{1}{\sqrt{2}}}$$ 倍になり、辺の長さは次のようになります。

左から (a)、(b)、(c) としましょう。
斜辺を $${1}$$ にする理由は、単位円の半径 $${1}$$ と合わせるためです。そうすると、点 $${\text{P}}$$ の座標が分かりやすく決まります。
それでは単位円を用いて、有名角すべてのパターンの具体例をあげていきます。具体的に図を描いてビジュアル的に考えます。単位円周上の点 $${\text{P}}$$ の座標が、そのまま三角比の値になることに着目してください。
例1 $${\theta=30\degree}$$ のとき
一番左の (a) の直角三角形を当てはめると

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}, \dfrac{1}{2}\right)\\
&\hspace{12pt}{\scriptsize \cos30\degree \sin30\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin30\degree & &=\dfrac{1}{2} & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos30\degree & &=\dfrac{\sqrt{3}}{2} & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
$${x}$$ 座標が $${\cos}$$、$${y}$$ 座標が $${\sin}$$ です。逆にしないように注意しましょう。
例2 $${\theta=45\degree}$$ のとき
真ん中の (b) の直角三角形を当てはまると

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}\left(\dfrac{\sqrt{2}}{2}, \dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)\\
&\hspace{15pt}{\scriptsize \cos45\degree \sin45\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin45\degree & &=\dfrac{\sqrt{2}}{2} & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos45\degree & &=\dfrac{\sqrt{2}}{2} & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
このときは、$${\sin}$$ と $${\cos}$$ は同じ値となります。
例3 $${\theta=60\degree}$$ のとき
一番右の (c) の直角三角形を当てはまると、

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}\left(\dfrac{1}{2}, \dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\\
&\hspace{10pt}{\scriptsize \cos60\degree \sin60\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin60\degree & &=\dfrac{\sqrt{3}}{2} & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos60\degree & &=\dfrac{1}{2} & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
ここから鈍角です。
例4 $${\theta=120\degree}$$ のとき
一番右の (c) の直角三角形を(裏返して)当てはまると

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}\left(-\dfrac{1}{2}, \dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\\
&\hspace{12pt}{\scriptsize \cos120\degree \sin120\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin120\degree & &=\dfrac{\sqrt{3}}{2} & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos120\degree & &=-\dfrac{1}{2} & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
$${\cos120\degree}$$ は点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標なのでマイナスとなります。鈍角のときの $${\cos}$$ はマイナスです。
例5 $${\theta=135\degree}$$ のとき
真ん中の (b) の直角三角形を(裏返して)当てはまると

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}\left(-\dfrac{\sqrt{2}}{2}, \dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)\\
&\hspace{18pt}{\scriptsize \cos135\degree \sin135\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin135\degree & &=\dfrac{\sqrt{2}}{2} & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos135\degree & &=-\dfrac{\sqrt{2}}{2} & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
$${\cos135\degree}$$ は点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標なので、先ほどと同様にマイナスとなります。
例6 $${\theta=150\degree}$$ のとき
一番右の (b) の直角三角形を(裏返して)当てはまると

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}\left(-\dfrac{\sqrt{3}}{2}, \dfrac{1}{2}\right)\\
&\hspace{16pt}{\scriptsize \cos150\degree \sin150\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin150\degree & &=\dfrac{1}{2} & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos150\degree & &=-\dfrac{\sqrt{3}}{2} & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
$${\cos150\degree}$$ は点 $${\text{P}}$$ の $${x}$$ 座標なので、先ほどと同様にマイナスとなります。
0°, 90°, 180° のとき
同様にして、$${0\degree, 90\degree, 180\degree}$$ のときの三角比も考えることができます。
例7 $${\theta=0\degree}$$ のとき

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}(1, 0)\\
&\hspace{2pt}{\scriptsize \cos0\degree \sin0\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin0\degree & &=0 & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos0\degree & &=1 & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
動径 $${\text{OP}}$$ は $${x}$$ 軸の正の部分と重なっています。
例8 $${\theta=90\degree}$$ のとき

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}(0, 1)\\
&\hspace{-1pt}{\scriptsize \cos90\degree \sin90\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin90\degree & &=1 & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos90\degree & &=0 & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
動径 $${\text{OP}}$$ は $${y}$$ 軸の正の部分と重なっています。
例9 $${\theta=180\degree}$$ のとき

点 $${\text{P}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
&\text{P}(-1, 0)\\
&\hspace{2pt}{\scriptsize \cos180\degree \sin180\degree}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin180\degree & &=0 & &\small{ (\text{P} の y 座標)}\\[6pt]
&\cos180\degree & &=-1 & &\small{ (\text{P} の x 座標)}
\end{alignat*}
$$
動径 $${\text{OP}}$$ は $${x}$$ 軸の負の部分と重なっています。
以上のように、三角比を単位円周上の点の座標ととらえることによって、直角三角形から解放され、$${0\degree\leqq\theta\leqq180\degree}$$ の範囲で三角比は定義されます。
三角比の表(sin と cos)
ここで、主要な角度について、$${\sin}$$ と $${\cos}$$ の値をまとめておきます。
$$
\def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c|c|c}
& 0\degree & 30\degree & 45\degree & 60\degree & 90\degree
& 120\degree & 135\degree & 150\degree & 180\degree\\ \hline
\sin & 0 & \frac{1}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{\sqrt{3}}{2} & 1
& \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{1}{2} & 0\\ \hline
\cos & 1 & \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{1}{2} & 0
& -\frac{1}{2} & -\frac{\sqrt{2}}{2} & -\frac{\sqrt{3}}{2} & -1
\end{array}
$$
三角比の値を覚えるコツ
$${\sin\theta}$$ と $${\cos\theta}$$ は、$${\theta}$$ が有名角のときの値としては
$${0, \dfrac{\sqrt{1}}{2}, \dfrac{\sqrt{2}}{2}, \dfrac{\sqrt{3}}{2}, 1}$$
および、($${0}$$ を除いて)そのマイナスの値を覚えることになります。その上で、$${\theta}$$ を $${0\degree}$$ から大きくしていきましょう。
(case1) $${\sin\theta}$$ は $${y}$$ 軸の動きをみます。
$${\sin\theta}$$ は、$${\theta=0\degree}$$ のときは $${0}$$ で、$${\theta}$$ が鋭角のときは
$${\dfrac{1}{2}, \dfrac{\sqrt{2}}{2}, \dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$
と増加していき(赤矢印)、$${\theta=90\degree}$$ で最大値 $${1}$$ をとります。そして、鈍角になってからは今度は
$${\dfrac{\sqrt{3}}{2}, \dfrac{\sqrt{2}}{2}, \dfrac{1}{2}}$$
と減少していき(青矢印)、$${\theta=180\degree}$$ のときに再び $${0}$$ になります。

(case2) $${\cos\theta}$$ は $${x}$$ 軸の動きをみます。
$${\cos\theta}$$ は、$${\theta=0\degree}$$ のときは最大値 $${1}$$ で、$${\theta}$$ が鋭角のときは
$${\dfrac{\sqrt{3}}{2}, \dfrac{\sqrt{2}}{2}, \dfrac{1}{2}}$$
と減少していき(赤矢印)、$${\theta=0\degree}$$ で $${0}$$ をとります。
そして、鈍角になってからはマイナスの値をとりながら、さらに
$${-\dfrac{1}{2}, -\dfrac{\sqrt{2}}{2}, -\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$
と減少していき(青矢印)、$${\theta=180\degree}$$ のとき最小値 $${-1}$$ になります。

このように三角比を動的にとらえることによって、次に習う三角関数や、波や単振動など物理への応用が分かりやすくなります。
三角比の方程式(sin)
三角比のもっとも基本的な方程式を解いてみましょう。その方程式を満たす $${\theta}$$ を求めます。すべて単位円を用いて解いていきます。
なお、以下の例題はすべて $${0\degree\leqq\theta\leqq180\degree}$$ とします。つまり、考えるのは単位円の上半分のみです(後に三角関数として単位円全体に拡張します)。
例題1
$${\sin\theta=\dfrac{1}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=30\degree, 150\degree}$$

解説 $${\sin\theta}$$ は単位円周上の点の $${y}$$ 座標なので、$${y=\dfrac{1}{2}}$$ の直線を引きます。点 $${\left(0, \dfrac{1}{2}\right)}$$ を通り、$${x}$$ 軸に平行な直線です(下図)。

そして、その直線と単位円との交点が $${\text{P}}$$ になるので、原点 $${\text{O}}$$ から $${\text{P}}$$ に線分を引くことによって動径 $${\text{OP}}$$ が決まります(2つあることに着目)。

そして、$${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角が求める $${\theta}$$ なので、上図(再掲)のように、求める $${\theta}$$ は $${30\degree, 150\degree}$$ の2つあることが分かります。
求める $${\theta}$$ は、鋭角と鈍角で2つあることに注意しましょう。
例題2
$${\sin\theta=\dfrac{\sqrt{2}}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=45\degree, 135\degree}$$

$${y=\dfrac{\sqrt{2}}{2}}$$ の直線を引きます。$${\sqrt{2}=1.414\cdots}$$ なので
$${y=\dfrac{\sqrt{2}}{2}=\dfrac{1.414}{2}=0.707}$$
あたりに直線を引きます。
単位円と異なる2点で交わるので、このときも求める $${\theta}$$ は $${45\degree, 135\degree}$$ の2つあります。
例題3
$${\sin\theta=\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=60\degree, 120\degree}$$

$${y=\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ の直線を引きます。$${\sqrt{3}=1.732\cdots}$$ なので
$${y=\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\dfrac{1.732}{2}=0.866}$$
あたりに直線を引きます。
単位円と異なる2点で交わるので、このときも求める $${\theta}$$ は $${60\degree, 120\degree}$$ の2つあります。
例題4
$${\sin\theta=1}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=90\degree}$$

$${y=1}$$ の直線を引きます。直線 $${y=1}$$ は1点 $${(0, 1)}$$ のみで単位円と交わります。動径 $${\text{OP}}$$ は $${y}$$ 軸の正の部分と重なるので、このときの求める $${\theta}$$ は $${90\degree}$$ の1つだけです。
例題5
$${\sin\theta=0}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=0\degree, 180\degree}$$

$${y=0}$$ の直線を引きます。直線 $${y=0}$$ は、単位円と2点 $${(1, 0), (-1, 0)}$$ で交わります。動径 $${\text{OP}}$$ は、$${x}$$ 軸の正の部分で重なるものと、負の部分で重なるものの2つあるので、求める $${\theta}$$ は $${0\degree, 180\degree}$$ の2つあります。
三角比の方程式(cos)
次は、$${\cos}$$ の方程式をみていきましょう。
例題6
$${\cos\theta=\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=30\degree}$$

解説 $${\cos\theta}$$ は単位円周上の点の $${x}$$ 座標なので、$${x=\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ の直線を引きます。点 $${\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}, 0\right)}$$ を通り、$${y}$$ 軸に平行な直線です(下図)。

そして、その直線と単位円との交点が $${\text{P}}$$ となるので、原点 $${\text{O}}$$ から $${\text{P}}$$ に線分を引くことによって動径 $${\text{OP}}$$ が決まります。
そして、$${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角が求める $${\theta}$$ なので、上図(再掲)のように、求める $${\theta}$$ は $${30\degree}$$ の1つのみになります。
例題7
$${\cos\theta=\dfrac{\sqrt{2}}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=45\degree}$$

$${x=\dfrac{\sqrt{2}}{2}}$$ の直線を引くと、求める $${\theta}$$ は $${45\degree}$$ となります。
例題8
$${\cos\theta=\dfrac{1}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=60\degree}$$

$${x=\dfrac{1}{2}}$$ の直線を引くと、求める $${\theta}$$ は $${60\degree}$$ となります。
例題9
$${\cos\theta=0}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=90\degree}$$

$${x=0}$$ の直線を引くと、動径 $${\text{OP}}$$ は $${y}$$ 軸の正の部分と重なるので、求める $${\theta}$$ は $${90\degree}$$ となります。
例題10
$${\cos\theta=-\dfrac{1}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=120\degree}$$

$${x=-\dfrac{1}{2}}$$ の直線を引くと、求める $${\theta}$$ は $${120\degree}$$ と鈍角になります。
例題11
$${\cos\theta=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=135\degree}$$

$${x=-\dfrac{\sqrt{2}}{2}}$$ の直線を引くと、求める $${\theta}$$ は $${135\degree}$$ と鈍角になります。
例題12
$${\cos\theta=-\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=150\degree}$$

$${x=-\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ の直線を引くと、求める $${\theta}$$ は $${150\degree}$$ と鈍角になります。
例題13
$${\cos\theta=-1}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=180\degree}$$

$${x=-1}$$ の直線を引くと、動径 $${\text{OP}}$$ は $${x}$$ 軸の負の部分と重なるので、求める $${\theta}$$ は $${180\degree}$$ となります。
例題14
$${\cos\theta=1}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図より、$${\theta=0\degree}$$

$${x=1}$$ の直線を引くと、動径 $${\text{OP}}$$ は $${x}$$ 軸の正の部分と重なるので、求める $${\theta}$$ は $${0\degree}$$ となります。
単位円周上での tan について
これまで述べたように、$${\sin\theta}$$ と $${\cos\theta}$$ は、単位円周上の点の座標としてみなすことができますか、$${\tan\theta}$$ は単位円ではどのように考えたらよいでしょうか。それを解説していきます。
下図のように、単位円周上に底辺が $${1}$$ の直角三角形 $${\triangle\text{OQR}}$$ を考え、その高さを $${h}$$ とします。

すると、直角三角形による $${\tan}$$ の定義により
$$
\begin{align*}
\tan\theta=\dfrac{h}{1}=h
\end{align*}
$$
より
$$
\begin{align*}
h=\tan\theta
\end{align*}
$$
よって、高さが $${\tan\theta}$$ となります。

これを、単位円周上の直角三角形 $${\triangle\text{OQR}}$$ に当てはめると、$${x=1}$$ の直線と、動径 $${\text{OP}}$$ の $${\text{P}}$$ の側への延長との交点を $${\text{Q}}$$ としたとき、その点 $${\text{Q}}$$ の座標は
$$
\begin{align*}
\text{Q} (1, \tan\theta)
\end{align*}
$$
となります(下図)。ここに $${\tan\theta}$$ があらわれます。

つまり、点 $${\text{Q}}$$ から $${y}$$ 軸に垂線を下ろしたときの、そのぶつかる交点の $${y}$$ 座標が $${\tan\theta}$$ となります。
これが単位円で考えたときの、 $${\tan\theta}$$ の ”居場所” です。
鈍角のときは、動径 $${\text{OP}}$$ の $${\text{O}}$$ の側への延長と($${\text{P}}$$ の側ではない)、直線 $${x=1}$$ との交点の $${y}$$ 座標を考えます。すると下図のように、点 $${\text{Q}}$$ は $${x}$$ 軸より下側にくるので、$${\tan\theta}$$ はマイナスの値となります。

鈍角のときは、動径 $${\text{OP}}$$ を延長する方向は、$${\text{O}}$$ の側への延長であることに注意。$${\text{P}}$$ の側に伸ばすと直線 $${x=1}$$ とは交わりません。
まとめ
三角比のうち、$${\sin\theta}$$ と $${\cos\theta}$$ は
単位円周上の点の座標
$${\tan\theta}$$ は
動径 $${\text{OP}}$$ の延長と直線 $${x=1}$$ の交点 $${\text{Q}}$$ の $${y}$$ 座標、すなわち $${\text{Q}}$$ から $${y}$$ 軸に垂線を下ろしたときの $${y}$$ 座標として、それぞれの ”居場所” をビジュアル化できます。
(case1) $${\theta}$$ が鋭角のとき($${0\degree<\theta<90\degree}$$)

(case2) $${\theta}$$ が鈍角のとき($${90\degree<\theta<180\degree}$$)

この図から分かるように、それぞれの三角比の取り得る値の範囲は、鋭角のときと鈍角のときで次のようになります。
(case1) $${\theta}$$ が鋭角のとき($${0\degree<\theta<90\degree}$$)
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin\theta & &>0\\
&\cos\theta & &>0\\
&\tan\theta & &>0
\end{alignat*}
$$
(case2) $${\theta}$$ が鈍角のとき($${90\degree<\theta<180\degree}$$)
$$
\begin{alignat*}{3}
&\sin\theta & &>0\\
&\cos\theta & &<0\\
&\tan\theta & &<0
\end{alignat*}
$$
$${\sin\theta}$$ はつねにプラスの値を取りますが、$${\cos\theta}$$ と $${\tan\theta}$$ は鋭角のときはプラス、鈍角のときはマイナスの値を取ります。
単位円の具体例(tan)
それでは $${\tan\theta}$$ について、有名角すべてについて具体例をあげていきます。ここでも単位円を用いて、ビジュアル的に考えます。
まずは準備として、次の有名角の三角比について、底辺の長さを $${1}$$ にしましょう。単位円の半径を合わせるためです。
$${45\degree}$$ と $${60\degree}$$ のときは最初から $${1}$$ なので、$${30\degree}$$ のときについて、縮尺を $${\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ 倍にします。

底辺を単位円の半径 $${1}$$ と同じにすることによって、点 $${\text{Q}}$$ の座標が分かりやすく決まります。
例1 $${\theta=30\degree}$$ のとき

点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${\text{Q}\underset{\hspace{14pt}\tan30\degree}{\left(1, \dfrac{1}{\sqrt{3}}\right)}}$$ なので
$$
\begin{align*}
\tan30\degree=\dfrac{1}{\sqrt{3}}
\end{align*}
$$
解説
初めに直線 $${x=1}$$ を引きます。その直線 $${x=1}$$ と動径 $${\text{OP}}$$ の $${\text{P}}$$ の側への延長との交点は $${\text{Q}\left(1, \dfrac{1}{\sqrt{3}}\right)}$$ となります。
その点 $${\text{Q}}$$ から $${y}$$ 軸に垂線を下ろし、その交点の $${y}$$ 座標が $${\tan30\degree}$$ となるので $${\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ となります。
例2 $${\theta=45\degree}$$ のとき

点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${\text{Q}\hspace{-6pt}\underset{\hspace{20pt}\tan45\degree}{(1, 1)}}$$ なので
$$
\begin{align*}
\tan45\degree=1
\end{align*}
$$
点 $${\text{Q}}$$ から $${y}$$ 軸に垂線を下ろし、その交点の $${y}$$ 座標が $${\tan45\degree}$$ となるので $${1}$$ となります。
例3 $${\theta=60\degree}$$ のとき

点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${\text{Q}\hspace{-1pt}\underset{\hspace{20pt}\tan60\degree}{(1,\hspace{6pt}\sqrt{3}\,)}}$$ なので
$$
\begin{align*}
\tan60\degree=\sqrt{3}
\end{align*}
$$
点 $${\text{Q}}$$ から $${y}$$ 軸に垂線を下ろし、その交点の $${y}$$ 座標が $${\tan60\degree}$$ となるので $${\sqrt{3}}$$ となります。
ここから鈍角です。
例4 $${\theta=120\degree}$$ のとき

点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${\text{Q}\hspace{1pt}\underset{\hspace{20pt}\tan120\degree}{(1, -\sqrt{3}\,)}}$$ なので
$$
\begin{align*}
\tan120\degree=-\sqrt{3}
\end{align*}
$$
鈍角のときは、動径 $${\text{OP}}$$ の $${\text{O}}$$ の側への延長であることに注意。$${x}$$ 軸より下に点 $${\text{Q}}$$ があるので、$${\tan120\degree}$$ の値は $${-\sqrt{3}}$$ とマイナスになります。
動径 $${\text{OP}}$$ の $${\text{P}}$$ の側に延長すると、直線 $${x=1}$$ とは交わりません。
例5 $${\theta=135\degree}$$ のとき

点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${\text{Q}\hspace{-3pt}\underset{\hspace{20pt}\tan135\degree}{(1, -1)}}$$ なので
$$
\begin{align*}
\tan135\degree=-1
\end{align*}
$$
$${x}$$ 軸より下に点 $${\text{Q}}$$ があるので、$${\tan135\degree}$$ の値は $${-1}$$ とマイナスになります。
例6 $${\theta=150\degree}$$ のとき

点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${\text{Q}\underset{\hspace{18pt}\tan150\degree}{\left(1, -\dfrac{1}{\sqrt{3}}\right)}}$$ なので
$$
\begin{align*}
\tan150\degree=-\dfrac{1}{\sqrt{3}}
\end{align*}
$$
$${x}$$ 軸より下に点 $${\text{Q}}$$ があるので、$${\tan150\degree}$$ の値は $${-\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ とマイナスになります。
例7 $${\theta=0\degree}$$ のとき

動径 $${\text{OP}}$$ と直線 $${x=1}$$ は点 $${\text{Q}\hspace{-8pt}\underset{\hspace{20pt}\tan180\degree}{(1, 0)}}$$ で交わるので
$$
\begin{align*}
\tan0\degree=0
\end{align*}
$$
この場合は、点 $${\text{P}}$$ と $${\text{Q}}$$ は重なっています。
例8 $${\theta=90\degree}$$ のとき

動径 $${\text{OP}}$$ と直線 $${x=1}$$ は平行なので、$${\text{OP}}$$ を上と下のどちらに延長しても直線 $${x=1}$$ とは交わりません。よって、$${\tan90\degree}$$ は定義されない、すなわち、なしとなります。
$$
\begin{align*}
\tan90\degree はなし
\end{align*}
$$
例9 $${\theta=180\degree}$$ のとき

動径 $${\text{OP}}$$ を $${\text{O}}$$ の側に延長すれば、直線 $${x=1}$$ と点 $${\text{Q}\hspace{-8pt}\underset{\hspace{20pt}\tan180\degree}{(1, 0)}}$$ で交わるので
$$
\begin{align*}
\tan180\degree=0
\end{align*}
$$
$${\theta=0\degree}$$ のときと同じ値になることを確認しましょう。どちらも点 $${\text{Q}}$$ の座標は $${(1. 0)}$$ です。
三角比の表(完全版)
ここで、主要な角度について、$${\sin, \cos, \tan}$$ の値をまとめておきます。$${\sin, \cos}$$ はすでにまとめているので、それに $${\tan}$$ の値を加えます。
$$
\def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c|c|c}
& 0\degree & 30\degree & 45\degree & 60\degree & 90\degree
& 120\degree & 135\degree & 150\degree & 180\degree\\ \hline
\sin & 0 & \frac{1}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{\sqrt{3}}{2} & 1
& \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{1}{2} & 0\\ \hline
\cos & 1 & \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{1}{2} & 0
& -\frac{1}{2} & -\frac{\sqrt{2}}{2} & -\frac{\sqrt{3}}{2} & -1\\ \hline
\tan & 0 & \frac{1}{\sqrt{3}} & 1 & \sqrt{3} & {\small なし} & -\sqrt{3} & -1 & -\frac{1}{\sqrt{3}} & 0
\end{array}
$$
これらの値は頻繁に使うので、すぐに引き出せるようにしましょう。忘れたら具体的に単位円を描いて自力で求められるように。ただ暗記するのではなく、原理的な部分からしっかりと導出できることが重要です。
三角比の値を覚えるコツ(tan)
$${\sin\theta}$$ と $${\cos\theta}$$ についてはすでに述べたので、ここでは $${\tan\theta}$$ について解説しましょう。
$${\theta}$$ を $${0\degree}$$ から大きくしていきましょう。
$${\tan\theta}$$ は $${y}$$ 軸の動きをみます。
$${\tan\theta}$$ は、$${\theta=0\degree}$$ のときは $${0}$$ で、$${\theta}$$ が鋭角のときは
$${\dfrac{1}{\sqrt{3}}, 1, \sqrt{3}}$$
と増加していき(赤矢印)、$${\theta}$$ が大きくなるにつれて $${\tan\theta}$$ は無限大(限りなく大きい数)まで大きくなります。
$${\theta=90\degree}$$ のときは $${\tan\theta}$$ は存在せず、$${\theta=90\degree}$$ より大きい角度では、今度はマイナスの無限大から
$${-\sqrt{3}, -1, -\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$
と減少していき(青矢印)、$${\theta=180\degree}$$ のときに再び $${0}$$ になります。

tanθ は傾き
$${\tan\theta}$$ のもう一つの見方として「直線 $${\text{OP}}$$ の傾き」とみることができます。直線の傾きは、変化の割合より
$$
\begin{align*}
\\[-12pt]
直線の傾き=\dfrac{y の増加量}{x の増加量}
\end{align*}
$$
で計算できます(中学でもわかる➀「微分法」)。
下図において直線 $${\text{OP}}$$ の傾きは、$${\text{OQ}}$$ の傾きと同じなので

$$
\begin{align*}
\\[-12pt]
\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{\tan\theta}{1}=\tan\theta{\small(赤矢印)}
\end{align*}
$$
より
$$
\begin{align*}
直線 \text{OP} の傾き=\tan\theta
\end{align*}
$$
となります。
例1 例えば、$${\theta=30\degree}$$ のときを考えると、直線 $${\text{OP}}$$ の傾きは

$$
\begin{align*}
\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{\dfrac{1}{\sqrt{3}}}{1}=\dfrac{1}{\sqrt{3}}{\small(赤矢印)}
\end{align*}
$$
より
$$
\begin{align*}
\tan30\degree=\dfrac{1}{\sqrt{3}}
\end{align*}
$$
これは点 $${\text{Q}}$$ の $${y}$$ 座標 $${\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ と同じになります。
今のは鋭角のときですが、鈍角のときにも同様に考えることができます。
例2 代表で、$${\theta=120\degree}$$ のときを考えると、直線 $${\text{OP}}$$ の傾きは

$$
\begin{align*}
\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{-\sqrt{3}}{1}=-\sqrt{3}{\small(赤矢印)}
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{align*}
\tan120\degree=-\sqrt{3}
\end{align*}
$$
これは点 $${\text{Q}}$$ の $${y}$$ 座標 $${-\sqrt{3}}$$ と同じで、マイナスの値を取ります。傾きをみることによって、$${\tan120\degree}$$ の値がマイナスになることも説明がつきます。
例3 $${\theta=0\degree}$$ のときは、直線 $${\text{OP}}$$ の傾きは(このとき $${\text{P}}$$ と $${\text{Q}}$$ は重なっています)

$$
\begin{align*}
\dfrac{y の増加量}{x の増加量}=\dfrac{0}{1}=0
\end{align*}
$$
なので
$$
\begin{align*}
\tan0\degree=0
\end{align*}
$$
直線 $${\text{OP}}$$ は $${x}$$ 軸上($${x}$$ 軸と平行)なので傾きは $${0}$$ です。これは、点 $${\text{Q}}$$ の $${y}$$ 座標 $${0}$$ と同じになります。
例4 $${\theta=90\degree}$$ のときは、直線 $${\text{OP}}$$ は $${y}$$ 軸と平行なので傾きは存在せず、$${\tan90\degree}$$ はなしになることと整合性がとれます。

$$
\begin{align*}
\tan90\degree はなし
\end{align*}
$$
三角比の方程式(tan)
$${\tan\theta}$$ の入った最も基本的な方程式を解きましょう。その方程式を満たす $${\theta}$$ を求めます。
なお、以下の例題はすべて $${0\degree\leqq\theta\leqq180\degree}$$ とします。つまり、考えるのは単位円の上半分のみです(後に三角関数として単位円全体に拡張します)。
例1 $${\tan\theta=\sqrt{3}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 下図より $${\theta=60\degree}$$

解説
まず、直線 $${x=1}$$ を引きます。点 $${(1, 0)}$$ を通り、$${y}$$ 軸に平行な直線です(下図)。

$${\tan\theta}$$ は、動径 $${\text{OP}}$$ の延長と直線 $${x=1}$$ の交点の $${y}$$ 座標なので、$${y=\sqrt{3}}$$ の直線を引きます。点 $${(0, \sqrt{3})}$$ を通り、$${x}$$ 軸に平行な直線です(下図)。

そして、2つの直線 $${y=\sqrt{3}}$$ と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となるので($${\text{Q}}$$ の決定)、その点から原点 $${\text{O}}$$ に線分を引きます(下図)。

すると、その線分と単位円との交点 が $${\text{P}}$$ となるので($${\text{P}}$$ の決定)、これで動径 $${\text{OP}}$$ が決まります。

そして、$${x}$$ 軸の正の部分と動径 $${\text{OP}}$$ とのなす角が求める $${\theta}$$ なので、上図(再掲)のように、求める $${\theta}$$ は $${60\degree}$$ となります。
以下、すべての有名角について求めていきますが、図が無い場合は、すべての有名角について作図した次の図1を参照してください。考え方は、先ほどの例1と同じなので、結果だけを書いていきます。答えと図がリンクしていれば理解している証拠です。

例2 $${\tan\theta=1}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図1より $${\theta=45\degree}$$
2つの直線 $${y=1}$$ と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となり、そのときの $${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角 $${\theta}$$ が $${45\degree}$$ です。
例3 $${\tan\theta=\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図1より $${\theta=30\degree}$$
2つの直線 $${y=\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となり、そのときの $${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角 $${\theta}$$ が $${30\degree}$$ です。
例4 $${\tan\theta=0}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図1より $${\theta=0\degree, 180\degree}$$

2つの直線 $${y=0}$$($${x}$$ 軸)と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となります。
このとき、点 $${\text{P}}$$ は $${(1, 0)}$$ と $${(-1, 0)}$$ の2つあるので、そのときの $${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角 $${\theta}$$ は、$${0\degree}$$ と $${180\degree}$$ の2つあります。
$${(1, 0)}$$ では点 $${\text{P}}$$ と $${\text{Q}}$$ が重なっていることに注意。
例5 $${\tan\theta=-\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 下図より $${\theta=150\degree}$$

まずは、$${y=-\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ の直線を引きます。点 $${\left(0, -\dfrac{1}{\sqrt{3}}\right)}$$ を通り、$${x}$$ 軸に平行な直線です。
そして、2つの直線 $${y=-\dfrac{1}{\sqrt{3}}}$$ と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となるので($${\text{Q}}$$ の決定)、その点から原点 $${\text{O}}$$ に直線を引きます。
このとき、原点 $${\text{O}}$$ を通過させ、単位円まで直線を伸ばします(原点 $${\text{O}}$$ で止めません)。その直線 $${\text{QO}}$$ と単位円との交点が $${\text{P}}$$ になるので($${\text{P}}$$ の決定)、これで動径 $${\text{OP}}$$ が決まり、このときの $${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角が鈍角 $${150\degree}$$ となります。
例6 $${\tan\theta=-1}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図1より $${\theta=135\degree}$$
2つの直線 $${y=-1}$$ と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となり、そのときの $${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角 $${\theta}$$ が鈍角 $${135\degree}$$ です。
例7 $${\tan\theta=-\sqrt{3}}$$ を満たす $${\theta}$$ の値を求めなさい。
解答 図1より $${\theta=120\degree}$$
2つの直線 $${y=-\sqrt{3}}$$ と $${x=1}$$ の交点が $${\text{Q}}$$ となり、そのときの $${x}$$ 軸の正の部分と $${\text{OP}}$$ とのなす角 $${\theta}$$ が鈍角 $${120\degree}$$ です。
三角比の表
三角比の値は次の「三角比の表」によって知ることができます。例えば $${30\degree}$$ のときの三角比の値を知りたければ、赤枠の中を見ます。

$${\sqrt{3}=1.73205\cdots}$$ なので
$$
\begin{align*}
\sin30\degree&=\dfrac{1}{2}=0.5\\[8pt]
\cos30\degree&=\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\dfrac{1.73205}{2}\\[8pt]
&=\underset{\scriptsize 四捨五入}{0.8660\cancel{25}}=0.8660\\[8pt]
\tan30\degree&=\dfrac{1}{\sqrt{3}}=\underset{分母を有利化}{\dfrac{1\times\sqrt{3}}{\sqrt{3}\times\sqrt{3}}}=\dfrac{\sqrt{3}}{3}=\dfrac{1.73205}{3}\\[8pt]
&=\underset{\scriptsize 四捨五入}{0.5773\cancel{5}}=0.5774
\end{align*}
$$
と同じ数値が得られます。$${\tan89\degree}$$ が非常に大きな値、 $${\tan90\degree}$$ がなしになっていることも確認しましょう。
三角比の歴史
三角比の起源は、紀元前の三角法にさかのぼります。三角法とは、直角三角形の辺の比と角度を用いた、図形に関する計算方法です。測量、航海、天文学などの実用上の必要により、古代から研究されてきました。
古代ギリシャの数学者、天文学者である、ヒッパルコスは、円周角と弦の長さの対応表(今の三角比の表の原型となるもの)を作り、幾何学の研究や測量を行いました。これによりヒッパルコスは「三角法の父」とよばれています。

なお、高校で習う三角比の定義は、ヒッパルコスによるものではなく、スイスの数学者、レオンハルト・オイラーが最初だといわれています。

オイラーは三角比を円関数として見直すことで(まさに単位円の考え方)、一般の角度 $${\theta}$$ に対して $${\sin\theta, \cos\theta, \tan\theta}$$ を定義しました。三角関数の誕生です。
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