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人は変わるのが大嫌い! “現状維持バイアス”

「認知バイアス大全」マガジン

認知バイアスとは、人間が進化の過程で獲得してきた生き延びるための工夫……のバグ部分。これが、現代ではさまざまな場面で不合理な行動の原因となります。そんな認知バイアスを集めたマガジンが「認知バイアス大全」マガジンです。


人はなかなか引っ越ししない

友人のうちに遊びに行くと、そこがとても住みやすそうで環境も充実した地域であることがわかりました。しかし、そこが自分が今住んでいる地域より、より良い環境であることはわかるのですが、現在住んでいるところも住み慣れており、特に不満もありません。友人は「引っ越してくれば?」と勧めてきます。あなたは引っ越しを決意しますか?

多くの人が「引っ越せば良いことはわかるが、ちょっと面倒だな」と感じます。それは、引っ越すコスト(煩雑さ)に加えて、不確定要素があるからであり、何よりも現状あるものを損失する可能があるからです。わたしたち人間は、得することよりも損をすることが大嫌いです。この現状維持に固執する傾向を「現状維持バイアス」といいます。


現状維持バイアス

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現状維持バイアス(Status quo bias)とは、

何か問題が出ない限り、現状維持を望む傾向

です。現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現状に固執してしまう傾向です。「Status quo」とは、「そのままの状態」という意味のラテン語で通常はtheを冠して使います。現状維持バイアスは感情バイアス(後述)の1つ。現状を金順としてそこからの変化をすべて損失と考えてしまう、つまり「変わる = 安定の損失」と捉える傾向です。

感情バイアスとは

感情バイアスとは、英語で「Emotional bias」といい、感情的な要因で認知や意思決定が歪むことです。(※2)たとえば、否定的な判断を中立的なものとして考えようとしたり、正しくない可能性があるのに心地よかったり、前向きな感情を生み出すものごとを信じようとしたり、精神的にきつい事実を受け入れることを躊躇したりすること、これが感情バイアス(感情的バイアス)です。

心理的惰性との違い

変化しないままでいることの利益のほうが、変化する場合を上回るために変化しないことは、この現状維持バイアスには、当てはまりません。それから何も考えない行動決定とも言える「心理学的な惰性(psychological inertia)」とも別物です。例えば、産業廃棄物を現状汚染されていない湖に投棄するという計画が持ち上がったとき、現状維持バイアスは、変化を好まないため、それに対して否定的な判断をするものです。つまり湖が変化することを厭い、投棄しないでおこうという判断をします(これは客観的な判断である場合は現状維持バイアスではなくなります)。一方で心理学的な惰性は、投棄の是非を検討しません。そういう計画が上がったなら遂行することに介入しません。


株の塩漬け

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株式投資において「塩漬け」ということばがあります。これは「現在の価格が買い値よりも下がっていて、売ると損が出る状態のため、売れずにいてそのままずっと保有している状態」を意味したことばです。この「塩漬け」は、この現状維持バイアスと保有効果の好例です。現状維持バイアスは、株式投資の他に政治、健康、教育、倫理、退職後のプラン、交渉において発生します。


対策

何もしないことの損失を明確にして、比較する

『ザ・カタリスト』という著書のなかで、この現状維持バイアスへの対抗策として、何もしないことの損失を明確にして、行動を起こした場合とのギャップを明確にするというものが提案されています。株式投資の場合は、損切りをして、獲得した現金を使ってより見込みのある株に投資するほうが利益を生み出す可能性と比較すると良いでしょう。

応用

購入をレギュラー化させるサービスや商品(サブスクリプション)

現時維持や保有効果によって、変化を嫌う性質を使って、継続させるサービスに応用できます。サブスクリプションのほか、保険もこれに該当します。


オススメの本

ジョーナ・バーガー(著)『ザ・カタリスト』

この現状維持バイアスの乗り越え方が詳しく紹介されています。


関連した認知バイアス

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損失嫌悪(Loss aversion)

利益を得る事よりも、損失を回避する事に集中する傾向。

プロスペクト理論(Prospect theory)

不確実性下における意思決定モデルの一つ。 選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルです。


保有効果(Endowment effect)

一度何かを所有すると、それを手に入れる以前に支払ってもいいと思っていた以上の犠牲を払ってでも、それを手放したがらない傾向。既に手に入れた物を手放す事を、非理性的に嫌がる傾向。


参照

※1

※2

※3



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