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もはやアメリカはぼくらのイメージするアメリカじゃない。すでにアメリカの世紀は終わってしまった。The end of the American century

うなるほどのカネ、
輝く知性、
自由、
リッチな生活、
あるいはリッチな生活ができるようになれる希望、
おたのしみ満載のカルチュア、
そして陽気でフレンドリーな人間性、
まがりにも公平な社会、
それらがあったからこそかつてみんな
アメリカに吸い寄せられたのだ。
原爆を2発も落とされた(黄色いサルどもの国の)日本人でさえも。
だが、すべては過去の物語になり果てた。
いま、いったい誰がアメリカを愛するだろう?




Make America Great Again を唱えて大統領になったトランプは、いま、さまざまな対外援助の資金提供を打ち切っています。トランプ大統領は言う、アメリカはウクライナを支援すべきではなかった。じっさいアメリカはウクライナへの莫大な支援を止め、NATOからも抜けた。トランプ政権は(莫大なカネの力で世界の最高峰大学の座を保持している)ハーヴァード大学への30億ドルの助成金を止め、なんと外国人留学生たちを全員追い払ったのだ。もちろん今後外国人学生がハーヴァードに入学することもできない。直接の原因は、政権にとってかの大学の反イスラエル運動が気に食わないということではある。トランプにとってハーヴァードは、「反ユダヤ主義の砦」、「イスラム主義者の前哨基地」、「毛沢東主義者を育てる教化キャンプ」、「暴動を起こす過激派の汚水溜め」、すなわち「アメリカの恥」なのだ。すなわちトランプ政権はアカデミズムの左翼リベラルをはじめエリートたち全般が大嫌いなのだ。(じっさいトランプは過去4年間のバイデン政権を「無能な大統領が、過激な左翼のクズどもを調子づかせ、わがアメリカを破滅に追い込もうとした時代だった」と罵倒する。)しかも、トランプ政権による移民排除は大学のみならず、社会全体に及んでいる。アメリカをリードしてきた世界一流の知性も、アメリカ経済を下支えしてきた安価な労働力も追い出するのだから、アメリカ経済ががたがたになるのは目に見えているのに。とうとうアメリカの自殺プログラムは動き出してしまったのだ。しかし、トランプの支持層は、現在の社会にそして「われわれ」を奴隷として搾取してきたエリートたちに恨みと不満を持つ多数派白人層ゆえ、こういう無責任な政策もウケるのだろう。なるほど、いまの多数派アメリカ人はハーヴァードのみならず学費年間1000万円など払えない。もっとも大学院に入れば莫大な奨学金がもらえるのだけれど。そもそももはや標準的なアメリカ人たちはもはや家賃高騰でアメリカの都市部になど住めないのだ。もっとも、そんなかれらとてハーヴァードそのほか一流大学群の恩恵を(間接的には)受けているにせよ、しかしそんなことはなかなか実感できることではなく、不満と怨嗟だけが沸き上がる。



なるほど、すでにアメリカは借金大国、格差大国、少数のエリートたちだけがウハウハにハッピーで、大多数の国民は搾取され、貧困に甘んじている。多数派国民の怒りはもっともではある。すでにアメリカは貧富ふたつの層に分断され、両者の軋轢とともに、内部分裂が起こっているのだ。なお、多数派の隷属民たちを支持母体に大統領に選ばれたのがトランプさんなのだから、この政策もとうぜんではあるでしょう。しかし、これがアメリカの世紀の終わりを導いた。けっしてこれはアメリカの景気後退などと言うなまやさしい話ではない。アメリカの世紀がかんぜんに終わってしまったのだ。


すでに多様性の擁護と賞揚の時代は過ぎ去った。America Firstのスローガンももはや破れかぶれである。はやいはなしがもはやアメリカは自分自身をけっして「世界の警察官」とも見なしていないし、かつまた「世界一ゆたかな国」とも「世界一の知性」とも見なしていないのだ。アメリカの世紀は完全に終わった。アメリカはただ北米大陸に存在する傲慢でめんどくさい国になったのだ。それがいったいどんなアメリカかと言えば、ダーウィンの進化論を否定し、プロテスタント右派の福音派で、信仰を大事にし、こざかしい知識人を軽蔑し、堕胎を認めない保守派白人たちが「代表する」アメリカということになるかしらん。



リーヴァイスのジーンズ、アメリカン・カジュアル・ウェア、コカ・コーラ、マクドナルド、ハリウッド映画、ディズニー、はたまたジャズ、ロックンロール、パンク・ロック、ヒップ・ホップ、そしてそれと並走したアメリカの20世紀音楽(フォスター、ガーシュイン、コープランド、アイヴス、あるいはハリウッド音楽、はたまたヴァン・ダイク・パークス、フランク・ザッパ、ジョン・ゾーン)・・・絵画ならばワイエス、ホッパー、ウォーホルの、小説ならばソロー、メルヴィル、フィッツジェラルド、フォークナー、バロウズ、ピンチョンの・・・すべての輝きはいま急激に失われつつある。こんなアメリカをいったい誰が愛するだろう? 





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