【羊をめぐる冒険】俺は俺の弱さが好きなんだよ【村上春樹】
羊をめぐる冒険から引用します。ラストのシーンです。
同じシーンで一般論について話す場面があります。
それについては前回記事にしました。読まずに本記事だけを読んでも大丈夫です。
弱さというのは体の中で腐っていくものなんだ
「弱さというのは体の中で腐っていくものなんだ。まるで壊疽みたいにさ。俺は十代の半ばからずっとそれを感じ続けていたんだよ。だからいつも苛立っていた。自分の中で何かが確実に腐っていくというのが、また本人がそれを感じ続けるというのがどういうことか、君にわかるか?」
僕は毛布にくるまったまま黙っていた。
若い頃から感じていたけど、うまく(言語化とかで)対処しきれないことってあると思う。
「たぶん君にはわからないだろうな」と鼠は続けた。「君にはそういう面はないからね。しかしとにかく、それが弱さなんだ。弱さというのは遺伝病と同じなんだよ。どれだけわかっていいても、自分で治すことはできないんだ。何かの拍子に消えてしまうものでもない。どんどん悪くなっていくだけさ」
「逃げて逃げて逃げまくる方法」
最近読み終わった本《赤頭巾ちゃん気をつけて》で関係する文章がある。
「逃げて逃げて逃げまくる方法」というのがあるのだ。つまり、誰かがもしなんかの問題にぶつかったら、とにかくまずそれから逃げてみること、特にそれが重大な問題であると思われれば思われるほど秘術をつくして逃げまくってみること、そしてもし逃げきれればそれは結局どうでもよかった問題なのであり、それは逃げまくる力と比例して増えてくるはずで、つまり、逆にどんな問題にとっつかまってジタバタするかでそいつの力は決ってくる、だから逃げて逃げて逃げまくれ、そうして、それでもどうしても逃げきれない問題があったらそれこそ諸兄の問題で・・・・・。そうだ、でもそうしたらどうするのだろう?
鼠はどうしても逃げきれない重大な問題を抱えていのではないか?
逃げきれないまま、でも捉えきれないまま、自分をすり減らしていったのではないか。
何に対する弱さなんだ?
「何に対する弱さなんだ?」
「全てだよ。道徳的な弱さ、意識の弱さ、そして存在そのものの弱さ」
僕は笑った。今度はうまく笑うことができた。「だってそんなことを言いだせば弱くない人間なんていないぜ」
「全てだよ。道徳的な弱さ、意識の弱さ、そして存在そのものの弱さ」
正直、いまだにここの意味が分からない。コメントいただけると嬉しいです。
「一般論は止そう。さっきも言ったようにさ。もちろん人間はみんな弱さを持っている。しかし本当の弱さというものは本当の強さと同じくらい稀なものなんだ。たえまなく暗闇にひきずりこまれていく弱さというものを君は知らないんだ。そしてそういうものが実際に世の中に存在するのさ。何もかもを一般論でかたづけることはできない」
本当の(非・一般的な)弱さが何かを鼠は述べない。
正面から考えることが難しい時、逆からアプローチするといいかもしれない。つまり、
一般的な強さ
一般的な強さというものを考えてみる。さっきの《赤頭巾ちゃん気をつけて》から引用する。鼠みたいな男が出てくる。彼はあるものを敵視している。それは、
おまえたちの生き方そのものなんだ。おまえたちがそうやって力を養い鍛えていく方法そのものみたいなもの、そしてその底に流れている自信というか力みたいなものだ。つまりおまえたちは一言でいえば正統派なんだ。
こうした一般的な強さは国家とか権力構造に繋がっていく、と小説から読み取れる。

下の人物はどこに属するだろう
・ノルウェイの森、永沢さん
・ノルウェイの森、緑
・ノルウェイの森、直子
・ノルウェイの森、僕
俺は俺の弱さが好きなんだよ
俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさやつらさも好きだ。夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。君と飲むビールや……
鼠は弱さが好きだった。自分を蝕み死に追いやったにも関わらず。
それが何かを明らかにするために村上作品を読んでいる人は多いはず。多崎つくるでも冒頭に気になる文章があった。

これを問題として提議しておきます
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