「気のせいじゃなかった」と思えた日。
暑くなってきた。
セミの声が、
少しずつ増えてきた。
そんな中でも、
ふと柔らかな風が吹く瞬間がある。
汗ばんだ首筋を、
そっと撫でていく風。
その一瞬だけ、
体の力がゆるむ。
でも、
私が本当に好きなのは、
その少しあとだった。
風が、
木々や葉っぱを揺らす。
さわさわ。
葉と葉が触れ合う音。
木漏れ日が揺れて、
光まで踊っているように見える。
その景色を見るたび、
なぜか胸の奥まで、
ふっと軽くなる。
不思議だった。
風を感じるだけでも、
十分気持ちいいはずなのに。
どうして、
葉っぱが揺れるだけで、
こんなにも安心するんだろう。
少し考えてみた。
風は、
目には見えない。
肌では感じられる。
でも、
本当に吹いているのかは、
見えない。
だけど、
葉っぱが揺れると、
「ああ、ちゃんと風はここにいた。」
そう思える。
見えないものが、
見えるものになる瞬間。
その安心感が、
私は好きなんだと思う。
もしかすると、
私の毎日も同じなのかもしれない。
優しさも。
気遣いも。
「大丈夫?」という気持ちも。
目には見えない。
だから時々、
本当にあったのか、
分からなくなる。
HSPの私は、
空気の変化や、
誰かの表情、
言葉にならない感情を、
人より少し早く感じ取ってしまう。
でも、
それは目に見えないものだから、
「気のせいかな。」
そう思ってしまう日もある。
だから私は、
葉っぱを見る。
風を見せてくれるから。
目には見えないものも、
ちゃんとそこにあると、
静かに教えてくれるから。
もしかしたら、
誰かの何気ない一言も。
そっと差し出してくれた笑顔も。
返事はなくても、
読んでくれていた時間も。
全部、
風のようなものなのかもしれない。
見えないけれど、
確かに存在していて、
誰かという葉っぱを揺らしながら、
ちゃんと届いている。
だから今日も、
木々が揺れる景色を見ると、
少し安心する。
「大丈夫。」
そう言われたわけでもないのに、
風が、
葉っぱを通して、
そっと教えてくれる。
暑い日が続く。
それでも、
木陰に立って耳を澄ませると、
今日も葉っぱは揺れている。
見えない風を、
見える優しさに変えながら。
そして私は、
その景色に、
今日も静かに救われている。
気のせいじゃない。
そう、葉っぱが教えてくれる。

見えないものを感じ取る、というテーマについては、こちらの記事にも書きました。
優しさについて、こちらにも書いています。
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