【通算090|要求AI 07】要件定義書を渡したら、設計書ができた——技術設計書には何が書かれるのか
前回、4つの視点で構造化した指示から要件定義書ができた。しかし、SDD(仕様駆動開発)の本領はここから。要件定義書→設計書→タスクリスト——「要求仕様からシステムを作る」。
同じセッションの続きを確かめた。まず設計書作成まで。
タスクリストは次回に分けて紹介する。
Kiroについてのこれまでの記事
Kiroはまず、ファイルをチェックする
入力欄に「技術設計書を生成してください」と送る。

kiro:「requirements.md は存在しますが、design.md がまだありません。技術設計書を生成します」
会話の記憶ではなく、フォルダー内の要件定義(書)を確認して、設計を始めた。セッションを閉じても、MDファイルさえ残っていれば続きから再開できる。
そしてもう一つ。技術スタックの質問は来なかった。言語は? データベースは? ——何も聞かずに、KiroはTypeScriptと4層アーキテクチャ(DDD)を自分で決めて書き始めた。要件のときに業務を聞かなかったのと同様に、設計では技術を聞かない。
10分で433行の設計書
約10分・3.37クレジットで design.md(433行)が生成され、承認を求めるメッセージが出た。
記事の後半に、作成された設計書の一部のスクリーンショットを添付している。


状態遷移図とアーキテクチャ図(テキストから図を生成するmermaid記法)、データモデルの型定義6、エラー処理の一覧表、テスト戦略。そして注目は「正確性プロパティ」——システムが常に満たすべき性質を9本、文章で定義し、それぞれに要件番号を紐づけている。
Property 4: 金額閾値による一次承認後ステータス分岐 — 金額 < 50,000円であれば承認後ステータスは APPROVED、>= 50,000円であれば PENDING_ACCOUNTING になる。Validates: Requirements 3.2, 3.3
指示に書いた「5万円未満は上長承認のみ」が、要件になり、検証可能な性質にまで落ちている。

テキストで渡した要求が、設計の段階で図と型に変換される。
頼んでいない「下書き」が、また出た
ただし、データモデルの状態定義に、見覚えのある文字があった。
DRAFT(下書き)。
要件定義書に下書きは存在しない。状態遷移図にもDRAFTからの矢印は無い。それなのに、型定義にだけ、下書きが入っている。——雑な一文で検証したとき、Kiroは用語集に「下書き」を定義しながら要件化し忘れた。指示を構造化して要件からは消えたはずの下書きが、一段下の設計層で復活した。
「経費申請には下書きがあるはず」というAIの学習知識は、書かなくても紛れ込む。しかも要件・設計のどちらのレビューゲートでも、誰にも気づかれずに通過した。
作成された「設計書」の一部のスクリーンショットが以下のとおり
ディレクトリ構成は以下のように、".kiro"配下に、"design.md"として作成される

設計書は、MDファイルとして作成され、一部、Mermaid形式の図解あり






設計書の次は、実装計画
この設計書を土台に、Kiroは次の工程「タスクリスト(実装計画)」を生成する。設計がどんなタスクに分解され、要件番号がどこまで貫通するのか——それは次回紹介する。
今日のまとめ
「技術設計書を生成してください」の一言で、Kiroは要件定義書を読み込み、約10分・3.37クレジットで433行の設計書を生成した
中身は、状態遷移図・4層アーキテクチャ・データモデルの型定義・エラー処理・テスト戦略、そして要件番号に紐づく9つの正確性プロパティ
テキストで渡した要求が、設計の段階で図と型に変換される
ただし技術スタックは無言で決まり、頼んでいない「下書き」状態が紛れ込んだ。AIの思い込みは、人間のレビューでも気づきにくい
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