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東に大谷、西に黄色、そして銀河鉄道999(でもワニシャン的にヤバい)

早いもので、2月も終わろうとしている。 連日寝不足になりながら追いかけたミラノ・コルティナ冬季五輪も、無事に閉幕した。
本当に素晴らしい祭典だった。 なかでも私の心を鷲掴みにしたのは、スピードスケートの高木美帆選手の全てを賭けた1500m。レース直後、涙を堪えた沈黙の後のまさに求道者のようなコメント、そして姉の菜那さんと抱き合う姿、その後の会見。競技と周りに対する彼女の姿勢。そこには、筋書きのない言葉を超えたドラマがあったように思う。私の涙腺は、限界まで緩んだ。

ドーパミン過多の春が来る

私は、自分で体を動かすのは筋トレやHIIT、自転車くらいだが、こと「観る」ことに関しては(にわか)プロフェッショナルを自負している。 五輪の熱狂が冷めやらぬまま、息つく暇もなくWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕し、MLBのシーズンが始まる。今年はさらに、サッカーのW杯まで控えている。 私のドーパミン受容体は、もうキャパオーバー寸前だ。

なかでも、多くの日本人がそうであるように、私も大谷翔平選手の熱狂的なファン(もはや信者)である。 私の部屋には、毎年欠かさず大谷さんのカレンダーが貼ってある。朝起きて、彼と目が合う。それだけで「よし、今日も頑張ろう」と活力が湧いてくるのだ。 あれはもう、単なるグッズではない。「大谷翔平を部屋に飾ると運気が上がる」という、最強の風水アイテムだと私は信じている。西に黄色、東に大谷、である。

今年もシーズンが始まれば、私は会社役員という仮面の下で、コソコソとスマホでドジャースの試合をチェックするスリリングな日々を送ることになる。
部下:「○○さん、今期の業績の推移についてですが……」
ちいたけ:「(あ、大谷打った!)……うむ、素晴らしい打球……いや、素晴らしい展開だね」
そんな会話が飛び交う季節がやってくるのだ。嬉しい悲鳴である。

脱線寸前の『銀河鉄道999』

だが。 大谷さんの開幕を心待ちにして、浮かれている場合ではなかった。 私には、その前に越えなければならない巨大な山がある。 3月1日の、ピアノのミニ発表会だ。

やばい、ヤバイ、まぢでヤバーイ(ももクロの『ワニとシャンプー』風)。大谷カレンダーの風水パワーをどれだけ浴びても、私の薬指と小指は自動で動いてくれないらしい。

今回、私が弾く曲は『銀河鉄道999』。 本番まであと数日だというのに、私の運転する999号は、あちこちで脱線し、急ブレーキを踏み、乗客(聴衆)を不安のどん底に陥れる「ポンコツ列車」のままだ。 このままでは、終着駅に着く前に、私が舞台上でパニックを起こして大爆発してしまう。どうしよう。まぢでヤバすぎる〜!

レオという名のカンパネルラ

でも、今回は絶対に、この列車を最後までしっかり走らせなければならない理由があるのだ。

一昨日、実家によく来ていた猫のレオが旅立った。 元は野良猫だったのに、父に溺愛され、おせちの煮物まで食べていた、あのふてぶてしくて愛おしい家族。

今度の発表会では、レオを宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に出てくる「カンパネルラ」に見立てて弾こうと思っている。

彼が乗った列車が、迷うことなく、美しい星空の向こうへ真っ直ぐに進んでいけるように。 私のミスタッチで、彼の乗った列車をガタガタと揺らすわけにはいかないのだ。

スポーツ選手たちが見せてくれた奇跡のような感動や、大谷選手が放つホームランの「完璧な軌道」は、私には到底描けない。 でも、私の拙い指先から生まれる、少し不器用で泥臭い「銀河鉄道999」も、彼への切符代わりくらいにはなるだろう。

さあ、5分おきにスマホでスポーツニュースをチェックするのをやめて、今はただ鍵盤に向かおう。 夜空を駆けるカンパネルラ(レオ)のために、せめて最後は、気持ちよくペダルを踏み込んでやらないと。

出発の汽笛(本番)まで、あと少しだ。

(一応、元モノノフのヲレ)

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