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manatsunosaru
小説・自己中恋愛ラプソディ⑩
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「別にそこまでは……」エリと仲良くすることが不倫に繋がるとは思わなかった。浮気という言葉ならまだ聞くことはあったが、これまで自分とは関係のないところにあった不倫という生々しい響きに雅史はたじろいた。
「そんなつもりじゃなくてもそうよ。わたしはあなたが好きだもん」
「好き」ということばをエリから聞くたびにドキリとするのだが、かろうじて抑えながら「友達として仲良くできるんじゃないの?」と雅史。
「雅史くんさ、わたしのこと好き? 婚約者より」
「好きだよ」そういい切ることのおかしさを気にするでもなく、雅史には迷いがなかった。
「じゃあダメじゃん。わたしが婚約者なら許せない」妙に正直な雅史をエリは面白く思ったが、それは顔に出さなかった。
「確かに……じゃあ、奥さんを一番大事にするから、エリとは恋愛感情抜きの普通の友達として」仲良くしようよ、といいたかったのだが
「それはわたしが許さない。雅史くんはわたしにとってただの友達じゃないもん」ピシャリとエリが遮った。「わたしが一番じゃなきゃいや」
うれしいような悲しいような、しかしあまりに理不尽だ。「そんな。だってエリがぼくを振ったんだよ。そんなの仕方ないじゃん」雅史の悲痛な叫びだった。
そんな雅史の様子もエリは一向に気にしなかった。「わたしが雅史くんだったら、ほかの人が好きなまま結婚しないもん。そんなの不誠実じゃん。雅史くんはわたしを責めてるけど、悪いのは雅史くんだよ」以前の自信たっぷりのエリが戻っていた。
「え……、ぼくが?」絶句する雅史。
