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manatsunosaru
小説・自己中恋愛ラプソディ⑪
「別れた時も本当は雅史くんが好きだったから、その後しばらく誰とも付き合ってなかったよ。そして結婚したときのわたしは、元夫が一番好きだった。いまのわたしは雅史くんが好き。わたしはいつだって好きな人としか付き合ってないし、好きなのはいつも1人だけ。でも雅史くんは?」
エリが好きだったけれど、いまの婚約者と付き合うことにした。雅史にとってそれは疑いようのない事実だったので、何もいうことができなかった。
「わたしはこれからもしばらく雅史くんが好きだと思う。でも、人のものを取る気はないの。だから頑張って別の人を探すつもり。別の人ができたら、雅史くんとは初めて友達になれるかもしれないね」エリはエリの真実を淡々と話す。
妙に説得力がある口ぶりに、雅史は思わず謝った。「ごめん……」
エリが睨む。「それ、どういう意味?」
「いや……。どうすればいいかわからなくて」雅史は安易なことばで取り繕ったことを後悔した。
「いいわ、じゃあわたしが順番に一緒に考えてあげる」
「え? うん……」と答えてはみたが、何を一緒に考えるというのだろう。
「あなたはわたしが好き」法廷ドラマで見たことのある弁護士のように、人差し指を立てて話すエリ。少々芝居じみており、この状況を楽しんでいるかのようだった。
「うん」真面目に取り合う雅史は、エリのことばを確認するように同意する。
「でも、ほかの人が好きになってくれたから付き合った」
「うん」
「わたしのことが好きなまま」
「……うん」
「彼女とそのまま結婚する」
「……うん」少しずつ声に力がなくなっていく。
「それでいいのね」
「うん……」と答えた直後に「いや……、しょうがないじゃん」と聞かれてもないのに言い訳をした。今日の数時間であまりに展開が早すぎて、ついていけなかった。
