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小説・自己中恋愛ラプソディ⑫


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エリのことなど忘れて、婚約者を取るべきだ。


そう頭では分かっているが、もしかするとエリを一生失うことになるかもしれない。付き合っていた時ですら片思いとしか思えなかったふたりの関係が、本当は両想いだったと判明した瞬間は、天にも昇る思いだった。


それが一転、究極の決断を迫られることになるとは。天国か地獄か分かったものではなかった。


「本当に雅史くんは自己中よね。こういう人がいるから世の中が平和にならないのよ。わたしも婚約者も被害者よ」特に怒っている風でもなく、他人事のように、しかし呆れるかのようにエリはいった。



「ええ? そうなのかな……」自分の行動と世界平和がどう繋がるのかは理解できなかったが、すぐに受け入れてしまう雅史はどこまでも優しい人間だった。


何も悪いことをしたつもりはなかったのだが、自分は極悪人だったのだろうか――。



「そうよ」自信満々にエリはいう。


たとえ真っ白なものであろうと、エリが”黒い”というならば黒になりそうな勢いだ。雅史はまんまとエリの術中にあった。



いいたいことを一通り伝えたエリは、清々しい気持ちで景色を楽しんだ。雅史はというと、その後は完全に思考が停止していたので、自分がどこを歩いているのかもよく分かっていなかった。


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