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Novel Jam2025の贈賞式に行ってきました!

 11月16日はNovelJam2025の贈賞式でした。
 著者二人・編集一人・デザイナー一人でチームを組み、当日発表されたお題を元に3000字~10000字の短編小説を書き上げ電子書籍で配信するというイベント。
 詳しくはこちら。


贈賞式の様子


 一ヶ月の間の電子書籍の売り上げを競うグランプリ、5人の審査員が選ぶ各審査員賞、最優秀賞、優れたデザインの表紙に贈られるデザイン賞……それらが贈賞式の日に発表になるのです。
 東京・沖縄・札幌で同時開催したNovelJam。贈賞式は東京の会場と札幌や各参加者とzoomで繋いで行われました。
 ちなみに札幌は歴史的建造物である豊平館の一室を借り、みなで持ち寄ったお菓子や軽食をつまみつつボードゲームも持ち込むというアットホームな雰囲気に包まれていたのです。
 当日は作品に審査員からの講評があるはず。当日ギリギリまで全16作品(自分の振り返りも含め)を読み込み贈賞式に臨みます。
 今年のお題は『移住』ということでバラエティー豊かな物語が集結したのですが、プロの審査員がどういう基準で作品を選ぶのかさっぱりわからない。奇抜な発想を求めるのか、それとも文章力などの技巧を重視するのか、テーマをどう解釈するかを評価するのか……私の『十勝しあわせ工房たなごころ』は、移住してきた人を受け入れる側の視点で書いた物語。移住というテーマをストレートに書き上げたため、他の作品に比べて地味だし評価はされないだろうと思っていました。

 贈賞式が始まる間、札幌チームの皆でなにが受賞するかなと話していました。私は同じ札幌チームの『ノボとちぎれたふたつの世界』が好きで、他作品にない児童文学的雰囲気から何かしらの賞を取るだろうと期待していました。
 オープニングセレモニーが終わり、いよいよ審査員個人賞の発表!

審査員個人賞



 嵯峨景子賞『株式会社地獄 移住課』
(著)ネルソラ(編)片桐蒼太(表紙)石川龍之介著

 やっぱり! とると思ってましたこの話!!
 地獄を舞台に、社畜の鬼が上司の閻魔様に振り回されながら移住の仕事をする話。話はコミカルに進むし、表紙も素敵なんだよな。


 高橋文樹賞『はなればなれ』
(著)岡田周平(編)荒幡周平(表紙デザイン)いちじく著

 ああ、この話も面白かった……自分の手が腐っているように思えてならない主人公の物語。ラストの仕掛けもそうくるかな展開で面白かったんだよな。


 内藤みか賞『十勝しあわせ工房たなごころ』
(著)田丸 久深 (編)maki (表紙デザイン)豆ノ瀬でんぱ

 ……え?
 まさか名前を呼ばれると思わず、ひとまずzoomのカメラの前に立ちます。東京会場では壇上で表象されるけど、こちらはリモート。マイクもつながっていないのでとりあえずカメラの前で喜びの舞を躍ります。
 あら~……びっくり。そっか評価してもらえたんだ。嬉しいな。


 中俣暁生賞『六弦フェニックス!!』
(著)チャカノリ (編)千葉やよい (表紙デザイン)宮内梨央著

 これ、若き作者が書き上げた物語なんだけど、主人公とギターに憑依した不死鳥とのやりとりが上手に描かれていたんだよね。聞けば昨年の最優秀賞を受賞していたとな。才能ってすごい。



 藤井太洋賞『十勝しあわせ工房たなごころ』
(著)田丸 久深 (編)maki (表紙デザイン)豆ノ瀬でんぱ

 ……え?
 ……え??
 会場から「ダブル受賞です」と声が聞こえる。審査員賞で同じ作品を推す事ってあるの? 満遍なく行き渡るようにしないの? そうなの? そうなの??
 喜びの舞、再び。


 審査員個人賞が終わり、次は表紙のデザイン賞が発表されます。


デザイン賞



 デザイン賞『七日目の希望』
(著)粉雪 (編)荒幡周平 (表紙デザイン)いちじく著

 文明が崩壊した近未来の地球を舞台にしたバディ物。面白く読んだけど、表紙も素敵だったんだ……魅入られるよね。


 ナカノ賞『六弦フェニックス!!』
(著)チャカノリ (編)千葉やよい (表紙デザイン)宮内梨央著

 こちらもデザインの賞。この表紙は手描きで、生成AIにない唯一無二感。表紙を描いたのは高校生だっけ、若きタッグの作品だったな。


 ナカノ賞『株式会社地獄 移住課』
(著)ネルソラ(編)片桐蒼太(表紙)石川龍之介著

 地獄の表紙、良いと思ってたの! 作品も表紙も選ばれてすごい!!
 この表紙を見るたびに米津玄師のkickbackが頭の中を流れる……

 お次は特別賞の発表。特別賞なんてあるんだ!


特別賞

 特別賞『ふな一箸二橋』
(著)610 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著

 特別賞も出たんだ! ネイピア数100桁が紡ぐ物語、最初は仕掛けがわからず何の数字だろうと思ってたんだけど、謎が解けてからはネイピア数を絡めてなおまとまった物語になることに感動したんだ。


 特別チーム賞『チームすきまかぜ』

 札幌と同じくzoomでつないだ沖縄チーム! 宿泊もできる会場で開催、夏休みのおばあちゃん的な雰囲気があってひたすらいいないいなと言っていたチームだよ~いいなあ。

『Swing』
(著)炫 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著』

『ふな一箸二箸』
(著)610 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著


 そして……最優秀賞の発表!


最優秀賞


『黒い柚と青い鬼 シークヮーサーはまだ微かに甘い』
(著)河嶌太郎 (編)上原 さんじ (表紙デザイン)吉田彩乃著

 移住=地域おこし協力隊で持ってきたやつだ!
 私もそのテーマで書きたかったけど、下調べの時間が不足してあきらめた話!!
 私も地域おこし協力隊書きたかった!!!


 最後はBCCKSでの売上が最も多かったチームに贈られる賞。


グランプリ


グランプリ『チーム遠隔共同体』

 東京のチームは当日くじ引きで6チームに振り分けられたのだけど、まさか著者ひとり以外全員リモート参加というドラマが起きていたのよ!
 会場でお話できないぶんSNSでのやりとりが盛んで、作品公開が終わったあともどうやって宣伝していくかたくさんやりとりしていたチーム。名前のとおり、離れていても心はひとつを体現する素敵なチームでした。

(著)一之瀬楓 (編)結城玲夏 (表紙デザイン)H-Cait著

(著)花雲ユラ (編)結城玲夏 (表紙デザイン)H-Cait著


アフタートークと感想


 すべての賞が発表されると、お次はお楽しみのアフタートークの時間。
 NovelJamは16作品すべてに審査員からの講評がもらえます。
 そして、どういうやりとりを経て最優秀賞を決めたのかもつまびらかになるのがすごい。ここまでオープンなんだNovelJamって。
 各審査員が当日までに推したい作品を複数選び、それを当日共有してアピールポイントや選んだ理由を挙げて最初のグランプリを決める。その後作品一つ一つに感想戦をして、最後にやっぱりこの作品でいきましょうと話し合いながら決めるというもの。実は新人賞の最終選考もこうやって決められることが多いのだそうです。

 当日、各審査員が推した作品はこちら。

 藤井太洋さん『十勝しあわせ工房たなごころ』『Swing』
 内藤みかさん『ふな一箸二箸』『『黒い柚と青い鬼 シークヮーサーはまだ微かに甘い』
 嵯峨景子さん『黒い柚と青い鬼 シークヮーサーはまだ微かに甘い』『六弦フェニックス!!』
 高橋文樹さん『はなればなれ』『Swing』
 中俣暁生さん『六弦フェニックス!!』『ふな一箸二箸』

 なんと私の作品も候補に挙がっていたらしい。推したのは藤井太洋さん一人だけど、「これが大賞をとれなかったら個人賞に推します」と言ったところ内藤みかさんが「私も個人賞にしようと思っていたんです」と援護してくれた経緯があるそうなのです。
 しかし、嵯峨景子さんから「主人公の女子高生が一人暮らしの男性の家に入って食事や掃除の世話をするのはジェンダー的にどうなのか」という指摘があり、他にも推せない理由があった結果流れたとのこと。
 私のジェンダー観ってそんなに古いのかなと凹みました。育ての親である祖母の工房を守るために、移住した男性の家を掃除することや、老人ホームに入居した祖母のもとを訊ねる=介護に立ち入る事は主人公のバックグランドがあっても旧時代的と言われてしまうのだろうかと。
 もともと賞を狙っていたわけではないので、ダブル受賞という結果をもらえたたけで万々歳ですが、その評価がどうしても気になってアフタートークで質問してみました。
 すると、「物語の最初に出てくると、なぜ主人公がそこまで献身的になるのかがわからず引っかかってしまった。これが作品の中盤であれば引っかかることはなく、作者自身のジェンダー観を否定しているわけではない」という回答をいただきました。
 昔はこういう作品の入り方ってよくあるものだったのですが、最近ではジェンダー観で引っかかるのかと……ほかにも反省すべきところはたくさんあったのですが、自分も色々アップデートしていかなければならないなと思った次第です。

 ほか、候補作からどういう経緯で『黒い柚と青い鬼』が選ばれたのかを聞いていたのですが……ひとつ、気になることがあって。
 最終候補に残った『Swing』が単独の賞を取っていない。特別チーム賞で沖縄チーム『すきまかぜ』には入っているけど、同じ『ふな一箸二箸』は特別賞だった。
 他の作品は審査員個人賞や特別賞に選ばれているのに、二票も入った『Swing』は何の賞にも選ばれなかった……いろいろ考えてしまう私に、新人賞選考の舞台裏もそういう事が起きるのだと教えてくれた人がいます。
 小説の新人賞でも、最終選考でたくさん推されたにもかかわらず、結果何の賞にも選ばれず終わってしまった作品がある。著者の人生が変わる出来事なのに、著者自身は何も知らされぬままただ落選という結果だけを知ることがあるのだと。
 私も以前、とある新人賞の最終候補に残ったことがあります。その際、審査に関わった編集者や出版社の営業さんからは熱烈な支持を受けたものの、審査員の中では一番評価が低かったのです(おそらく。受賞作はふたつの作品で争われていたので)。
 一度新人賞の最終候補に残れば、書き続けていけばいずれ他社で賞を取ることもあると思うのですが……そこで筆を折ってしまう人もいるのかもしれないなと。
 その他すべての作品について講評があり、私の最推しだった『ノボとちぎれたふたつの世界』にも触れられたのですが。多種多様なジャンルが競うNovelJamでは、各審査員が違う視点で見ているのだなと感じました。
 いまだ自分がダブル受賞をした実感がないのですが、頑張って書き続けていくしかないのだなと思った贈賞式でした。

 私が全作品を読んでXに書いた感想一覧はこちら。


感想一覧


 11月23日(日)の文学フリマ東京41では、NovelJamのブースも出店します。
 全16作品を紙版にして販売しているそうなので、お気に入りの作品を手元に残したい方はぜひ南3・4ホールのあー15~16「HON.jp Books」にお立ち寄りください。
 最初はBCCKSで配信していた作品も、Kindle等各種配信サイトでも公開されていますので、ぜひ16作品すべて読破してみてくださいね!


 贈賞式中に発表されましたが、2026年もNovelJamは開催予定とのことです。
 noteで興味を持ったそこのあなた!
 ぜひ来年はNovelJam2026に参加してみてください!

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