Novel Jam2025参加作品の感想まとめ
10月の三連休に参加したNovelJam2025の様子をまとめましたが↓
11/16のNovelJam2025贈賞式までに、16作品をすべて読破しました(自分の話もおっかなびっくり読み返した)。
当日は審査員の方たちから講評があるので、どんなお話があるのか勉強しなければと……
読了後Xでポストしたそのままの文章を載せますので、勢いもあるかと思いますが、移住をテーマにしたバラエティー豊かな作品たちがとても面白かったです!
『ふな一箸二箸』
(著)610 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著
表紙とタイトルからどんなお話なんだろうと興味を持っていた物語。キャプションを見ずに読み始め、なんだろうこの数字の仕掛けは……と思いつつふむふむ読了。その後あとがきで『ネイピア数100桁』から紡がれた物語だと知る……これキャプション読んでもネイピア数100桁に「?」となっていた気がする。 さてネイピア数100桁が何なのかを知ってから読み返すと、ほほ〜なるほどこういうことね! と二度目の読了。著者のチャレンジ精神溢れる物語でした!
『寄生移住』
(著)浦出美緒 (編)上原 さんじ (表紙デザイン)吉田彩乃著
事前のプロット発表で「そうきたか!」と思った、移住=寄生の物語。読んでるとどうしても某寄生漫画がよぎるけどタイトル的にも狙ってるよね? たぶん。 語り口と繊細な語彙に、たくさん書いてたくさん読まれている方の作品なのだなと感じる……宿主から宿主へ渡り歩く「寄生」は、札幌チームのネタ出しの時に編集が口にした「ヤドカリ」を思い出した。発想力。
『株式会社地獄 移住課』
(著)ネルソラ(編)片桐蒼太(表紙)石川龍之介著
プロット発表で「なにそれ面白そう」となりデザイン発表で「うわあかっこいい」となりわくわくしながら読んだ物語。社畜な鬼が地獄で「移住」の仕事をする……というコミカルでテンポの良い話が進んでいく。 これは発想勝負で求心力のあるお話だわ…… 上司の無茶振りに悪戦苦闘しながら仕事をこなし、最後のオチにふふふとなるのだけど、この無茶振りをピタゴラスイッチ的な感じで関係形に持っていく流れも面白いな〜と物語の着地点をいろいろ想像してしまった。
『ノボとちぎれたふたつの世界』
(著)仲町百瀬 (編)maki (表紙デザイン)豆ノ瀬でんぱ著
同じ札幌チームなのでアイデア出しの頃から著者のいろんなプロットを見ていて、その中で一番好きだったのがこの物語。 ちぎれた二つの世界を24時間限定で交換ーー移住するのだけど、この物語を10000文字の分量で過不足なくおさめたのが素晴らしい。一緒にカフェ執筆ファミレス執筆で頑張りを見ていただけに、これをこの文章力で書き切ったのかと感動。 『移住』をテーマに様々な物語が生まれるけど、児童文学を思わせる唯一無二の世界観。贈賞式が楽しみな物語でした。
『SPY×BANKER』
(著)花雲ユラ (編)結城玲夏 (表紙デザイン)H-Cait著
スパイ映画の裏方に憧れを抱いたはずが、社畜プログラマーになった主人公。移住×社畜でも、こちらはしっかり現代の物語。自己啓発形の仕事の本やマッチングアプリや出てくるものが現代で……社畜で……でもそれを重たくさせないコミカルな語り口。 10000字で物語を展開させ終結させるのって大変で、さあオチはどう来るんだと思っていたらしっかりテーマが絡みましたね、お見事!
『黒い柚子と青い鬼 シークヮーサーはまだ微かに甘い』
(著)河嶌太郎 (編)上原 さんじ (表紙デザイン)吉田彩乃著
『移住×地域おこし協力隊』……私もそれ書きたかったやつ! でも下調べの時間が足りなくて諦めたやつ!涙 沖縄から長野に移住した主人公が、過疎の村でかつて行われていた祭りの舞を復活させたり柚子を使った料理を再現したり……プロット発表で面白そうだなーと思って聞いていた物語。主人公の成長譚でもあるのだけど、これは10000字に収めるの大変だっただろうなと我が身の苦労を思い出すなど。 地域おこし協力隊、私も書きたかった! 「黒い柚子と青い鬼 シークヮーサーはまだ微かに甘い」(著)河嶌太郎 (編)上原 さんじ (表紙デザイン)吉田彩乃著
『まったく、当家のお嬢様は』
(著)豆木新 (編)鈴木真生 (表紙デザイン)Kakakiki著
なんとなく「謎解きはディナーの後で」が頭に浮かんでいたのだけど、読んでみたら現代ではなくファンタジーでしたね! お嬢様に執事が振り回されるドタバタ間、タイトルどおり。他の作品とも共通するけど、振り回し系がいるとキャラが立っていて短編をうまく回しやすいなと実感。 ドタバタ群像劇だけど最後はしっかり着地してますね。執事とお嬢様のやりとりがコミカルに頭に浮かびました。
『七日目の希望』
(著)粉雪 (編)荒幡周平 (表紙デザイン)いちじく著
文明が崩壊した世界で、拠点を離れ仲間を探しにーー移住先を見つける旅に出るバディもの。男子二人のやりとりに血が通っていて良いですね! 10000字でどうまとめるのかと読み進め、今回は旅に出る前〜出発して希望を見つけるまでに焦点を当てた感じかな。これから二人にはどんな生活が待ち受けているのか、読後あれこれ想像してしまう物語でした。 文章もこなれていて読みやすかったです!
『六弦フェニクス!!』
(著)チャカノリ (編)千葉やよい (表紙デザイン)宮内梨央著
火を操る不死鳥が憑依したエレキギターを手に入れた中学生の主人公。読んでいて文章の辿々しさが気になり調べてみると、作者はまだ学生さんなのかな? 楽しく小説を書いていたあの頃を思い出しながら読了。 文章のねじれや作法、視点のブレなど気になるところはあれど、ギターとコーラスの双方が双方に嫉妬する心の動きも描かれて、作者はこれからもっと磨かれていくのだろうなと思った瑞々しい物語でした。
『リビング・スピリット』
(著)KAIN (編)片桐蒼太(表紙)石川龍之介著
全作品の中で珍しいホラーもの。移住をどう絡めるのかと思ったら、なるほど最後の仕掛けの方に関わってくるのね。 ホラー映画を思わせる筆致で物語はすすみ、ふむふむそう展開を持っていくのかと思っていたら、オチでしっかり意外性を持ってきた作者の「面白いものを書きたい」が伝わる物語でした!
『メリカの居場所探し』
(著)谷 亜里砂 (編)鈴木真生 (表紙デザイン)Kakakiki著
novel jam開催中、他チームのSNSから表紙のラフが見えて、人魚が出てくるのだとわくわくしていた物語。人魚から人間になる方法が生々しくて、この方法を思いついた著者の発想力に驚く。 人間になって自分の居場所ーー移住先を探すストーリーだけど、人の輪に入れない孤独感は他の作品でも多く描かれたしわたしも書いていたしね。そこからどうやって救いを見出すのか、色んな落とし所があって読んでいて考えさせられます。
『はなればなれ』
(著)岡田周平(編)荒幡周平(表紙デザイン)いちじく著
プロット発表で面白そうだなーと思っていた作品。自分の右手が腐っているように思えてならず、同じ気持ちを抱えた人たちと交流するのだけど…… 腕を切り落とすことが正しいのか、嫌悪する腕を残して生きるのか。そして主人公が最後に下す決断はーー限られた10000字の中で、意表をつくラストに持っていく著者の心意気。わたしもこんなお話書きたかったなー。
『つなぐ手の先に』
(著)一之瀬楓 (編)結城玲夏 (表紙デザイン)H-Cait著
フィリピンから移り住んだ訳あり母子と、母子が訪れるカフェで働く主人公。『移住』のテーマをストレートに持ってきた物語。 母子はなぜフィリピンから日本にやってきたのか、その理由の哀しさ……物語のラストで著者が『移住』のテーマをしっかり考えて物語を作ったのだとわかります。 限られた時間限られた文字数で、テーマに絡めたお話を書くのはとても大変。ラストに至るまでの伏線もしっかり張られています。プロットから執筆までどんなことを考えながら書かれたのか知りたい……著者さんとお話ししてみたい……
『Swing』
(著)炫 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著
自然豊かな箱庭に移住した男女。ふたりの視点が交互に語られる、優しくも切ない物語……この書き方は短編にぴったりですね! そしてうまく感想で伝えられないので実際に読んでみてほしい。 タイトルのswingの意味と、ラストの優しくも切ない物語を読み終えると、表紙のデザインの意味も分かりますね。 10000字で綺麗にまとまった物語、優しい読書の時間をありがとうございました!
『A CROSSROAD』
(著)澤俊之 (編)千葉やよい (表紙デザイン)宮内梨央著
最後はレジェンド澤さんの物語。さすが10000字の物語を書き慣れていますね! 現代の地獄に落とされた男子ふたりの視点と、それぞれが錯綜する物語ーー 最後は青春の雰囲気も残して締めくくられましたね。 ハードボイルドな語り口は私が書けないものなので、素直にいいなぁいいなぁと読んでいました。澤さんの物語いろいろ読んでみたいな、そしてお会いしてお話もしてみたいです。
おまけ。
『十勝しあわせ工房たなごころ』
(著)田丸 久深 (編)maki (表紙デザイン)豆ノ瀬でんぱ
提出時間ギリギリまで粘って推敲したけど、ラストスパートの過集中で作品全体がちゃんとまとまっているかわからなくなっていたので……多少の誤字脱字はあれど一つの物語としてまとまっていてよかった。ほっ。
全16作品の紹介が終わりました!
これが当日の贈賞式でどんな結果になるのか……
その様子は次回!
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