恋愛リハビリ日記 #5 |「あ、無いわ。」の正体
フツメンさんとのランチデート当日。
朝起きると、お腹周りに蕁麻疹が出ていた。
緊張からなのか、何なのか。
今思えば、身体は私より先に何かを察知していたのかもしれない。
久しぶりにめちゃくちゃ緊張しながら待ち合わせ場所へ向かった。
駐車場へ入ると、聞いていた車種と色の車が見えた。
運転席には、スポーツタイプのサングラスを着けた男性。
マラソンランナーが掛けてそうなやつ。
「……お、おぉ。」
今から42.195km走るんかな。
知らんけど。
車から降りた時にはサングラスを外した。
そして、その瞬間。
“あ、無いわ”
そう思った。
理由は分からない。
顔でもない。
まだ話してもない。
なのに、“無いわ”と思った。
我ながら失礼である。
とりあえず店に入り、ランチ。
知らない人と二人きりでご飯って、思った以上にハードルが高い。
緊張の為か食欲がないため、軽食付きのコーヒーセットにした。
対面に座って改めてフツメンさんを見る。
ちなみに私の服装は、キレイめカジュアル。
気合いはめっちゃ入ってた。
久方ぶりのデートである。
入らないハズがない。
だが、頑張り過ぎは痛いかも⋯⋯。
だから、
「頑張ってませんよ〜」を装ったカジュアルに。
初デートやからキレイ目シャツをプラス。
化粧ももちろん“すっぴんメイク風”の全然すっぴんじゃないメイクで挑んだ。
あれ、不思議よね〜。
すっぴん風の方が時間がかかる。
女子ってそういう生き物である。
46才やけど。
お相手はTシャツにエンジ色のカーディガン。
下は⋯忘れた。
うん。
めっちゃ普段着やな。
それ自体は全然いい。
だって1人暮らし男子だし。←偏見。
でもTシャツの首元は、「ここまで着たら本望です。」と言わんばかりの着倒し感。
そしてカーディガンには、毛玉。
見間違いか?
そういう生地という可能性も⋯⋯無いな。
毛玉やな。
肘周りとか袖口とか擦れるとこに大量発生するんよ奴らは⋯⋯
「100均で、よく取れる毛玉取り売ってるよ。」
と、喉元まで出て来たのをコーヒーと一緒に呑み込む。
毛玉、めっちゃ気になる〜(笑)!!!!
既にここで恋愛モードは終了している。
そして会話。
私は毛玉に気を取られつつも頑張った。
「一人暮らしなんですよね? 私、今は実家暮らしなので一人時間が羨ましいです。」
「はい、一人暮らしです。」
終了。
「休みの日って何してるんですか? 私は子ども達と過ごしたり、思いつきで日帰り旅行したりします。」
(何処に行ったんですか?とか、聞きやすいボールを投げてみた。)
「寝てることが多いです。買物行ったりもしてますね。」
終了。
「買物は何処に行かれるんですか?〇〇モールがご自宅に近いですよね〜私はたまに行きます。あそこのお店の□□の△△が好きなんですよ。」
(どうだ!!日常生活系ならなんか出てくるやろ。共感出来る何かがっ!!!)
「そうなんですね。」
終了。チ~ン。
仕事内容なら話し安いかなと仕事の話を振ってみたり、特に聞かれてもいない日帰り旅行の話で繋いだ。
⋯⋯⋯⋯ん?
私、めっちゃ拾いやすいボール投げとる⋯よね?
なのに全部、短文で終了。
もう途中から、キャッチボールじゃなくてボールを奪われ続けてる気分。
私が投げて、フツメンさんが受け取っておわり。
いや、とりあえず受け取ったらボール返して!?
……ああ、そうか。
これはきっと私がナシ寄りの感じなんか。
会話を最小限にしてこの時間を一刻も早く終わらせたいと……。
よし、ランチのペースを上げよう。
モグモグ。
食事も終わり、
「今日はありがとうございました。」
で終わると思っていたら、
「少しドライブしませんか?」
さらに、
「LINE交換しませんか?」
えぇ〜!?
もしかして緊張しとったんか?
とりあえず、そのまま近くの道の駅まで移動してぶらぶら。
これ、外から見たらお母さんと息子じゃない?
お出掛け帰りのお母さんに偶然会った息子が、何か買ってよとついて回る絵面。
そう。
私が先に歩き、見たいものを見て、その後を高校生風の普段着の服着てるオジサンが付いて回る構図。
見た目オジサンなのに何故か息子を連れて回る感覚になる私⋯⋯。
完全に私、保護者やん。
あ、そうそう。
これだけは学んだ。
初対面はご飯よりぶらぶらデートがオススメ。
「これ美味しそう〜」とか。
「これなんやろ?」とか。
目につく物の話ししといたら何とか繋がるよ(笑)。
そして帰宅後。
LINEが届いた。
「今日はいっぱいお話できて楽しかったです。暑かったので今度は涼しい場所をぶらぶらしたいですね。」
……。
いっぱいお話した?
いや、誰が?
ほぼ、私や。
何となく気になって、アプリのメッセージを見返す。
私が話を振る。
相手が返す。
私が広げる。
相手が返す。
一見すると普通の日常会話。
でも、内容はびっくりするくらい薄い。
ペラッペラ。
返信だけは早いから、会話が弾んでいるような気になっていただけだった。
感じてた違和感これか〜!!!
もしかしたら私は、「普通」というだけで期待し過ぎていたのかもしれない。
クセ強さん達と同時進行だったから、気付かなかっただけで、フツメンさんは会ってからの会話も携帯の中の人と同じで、別に彼が悪い訳じゃない。
会って見ないと分からんし⋯と、気付かないフリをしていた違和感。
初めまして〜で感じた「あ、無いわ。」
つまり。
私の本能は、証拠が出揃う前に判決を出していた。
判決「無し」!!!!
……本能。
仕事、早いな。
その後、フツメンさんからの次のお誘いを頂いたが、丁寧にお断りした。
フツメンさん、
「アプリ歴は長くて会うまでは行くんですけど、付き合うまでにはならないんですよね。」
ってあの日、言ってたけど。
うん。
今なら分かる気がする。
恋愛って相互理解から始まると思うんよ。
特にアプリだと共通の友人なんかもおらんから、
「あの人どんな人?」
って聞ける相手もおらん。
「あの人あんなんやけど、実はね⋯」
ってフォローしてくれる人もおらん。
だからこそ、
相手を知って、自分のことも知って貰う。
一対一で少しずつキャッチボールをして距離を縮めていくんやと思う。
受け取ったボールは、返して〜。
1人ではキャッチボール出来んや〜ん!!!!
