介護日記 #4|ウチには妖精さんがいる
ここだけの秘密なんやけど。
私の家には妖精さんがいる。
しかも、2人。
出しっぱなしにしている私も悪いとは思っている。
でも、ほんの少し油断すると、さっきまでそこにあった物が、思いもよらない場所へ移動する。
最近では、届いたばかりのスマートウォッチの替えベルトをキッチンのテーブルに置きっぱなしにしていた。
「あっ、しまった!」
慌てて取りに戻る。
⋯⋯ない。
「やられた〜!!!」
妖精さんに見つかった。
家中探しても見つからない。
数日後。
「お母さん、これ何?」
娘がお出掛け用のカバンから取り出したのは、探していたスマートウォッチの替えベルトだった。
しかも一緒に入っていたのは、郵便受けから持ってきたであろうDMと、食べ終わったアンパンの袋。
どうやら新人妖精さんの仕事らしい。
新人妖精は父。
ベテラン妖精は母である。
父は認知症になってから妖精さんになった。
母はボケる前から妖精さんだった。
我が家では、物がなくなると決まってこう言う。
「うちには妖精さんがおるけんな〜。」
「また妖精さんか。」
そして次に始まるのは、
「今日はどっちの妖精さんや!?」
という犯人探しだ。
新人妖精さんは、物を思いもよらない場所へ移動させる。
新人だから比較的見つけやすいので、イタズラとしてはまだ可愛い。
一方、ベテラン妖精さんは手強い。
物を「絶対になくさない場所」へしまう。
ただし、その場所を知っているのはベテラン妖精さんだけ。
「こんなん見んかった?」と聞くと、
「あぁ、大事なもん出しっぱなしやったけん、無くしたらいかんと思って、ここに片付けといたんよ。」
そう言って、普段は絶対に開けない引き出しの奥から出してくる。
めっちゃ探したけど無いハズや⋯⋯
ちなみに洋服ダンスからメガネを出して来た時の衝撃は計り知れない。
なんでそこ(笑)!!!!!
⋯⋯が。
最近は、そのベテラン妖精さん本人も、隠した場所を思い出せないことが増えてきた。
「無くしたらいかんと思って、大事にしまっといたんやけどなぁ。」
この言葉を聞くたびに思う。
お願いやけん、思い出して〜。
うち、タンスも引き出しも多いんよ(笑)。
新人妖精さんも負けてはいない。
特に袋がお気に入り。
片付けてあるカバンを引っ張り出してきては詰め込む。
はさみとか、ボールペンとか、くるくるしたトイレットペーパーとか、食べかけのアンパン(新人妖精さんはアンパンが大好き)とかと一緒に詰めこまれている。
詰め込まれたカバンはその辺にポン。
問題は、我が家にはそんなカバンが山のようにあることだ。
母は「いつか使う」と言って、エコバッグやら紙袋やらカバンやらを全然捨てない世代。
おかげで新人妖精さんの隠し場所は無限にある。
そう⋯限りなく無限に近いんだよ⋯⋯。
新人妖精なりの“お片づけ”なのかもしれないが、片付けられる方はたまったもんじゃない。
しかも、そこに現れるのがベテラン妖精さん。
「出しっぱなしはいかん」と、
その辺にポンされたカバンを、自分だけが知っている“安全な場所”に片付けてくれる。
見事な連携プレーである。
泣きたい。
ちなみに、一旦はタンスの中から見つかった私のメガネだが、また行方不明になっている。
(学ばない私⋯)
新人妖精さんか、ベテラン妖精さんか、連携プレーか⋯⋯。
真相は闇の中。
我が家ではメガネも消耗品である。
