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ラクリマ・ディアの連結子【番外編】あの人に似合う相手の話

◻️あらすじ

王都でノエシス家に仕える女中・ミアは、日々うきうきと仕事をしている。  
理由はただ一つ――主であるハルモン様が、とびきり美しいからだ。

優秀で整った容姿を持ちながら、なぜか恋人の気配がないハルモン様。  
「この人に釣り合う相手って、どんな人だろう」  
そんなことを考えるのが、ミアの日常だった。

ある日、ハルモン様が護衛を連れて帰宅する。  
それをきっかけに、ミアの中で何かが静かに変わりはじめる。

言葉にするには少しだけ足りない違和感。  
けれど、目を離せない何か。

これは、ある“関係”を最も近くで見つめてしまった女中の、小さな記録。


私はミア。

王都で女中として働いている。

お仕えしているのはノエシス家。

代々優秀な魔導士を輩出してきた、古い魔導士の家だ。

旦那様はほとんど留守にされているため、主な仕事は家の管理と家事、そして一人息子であるハルモン・フォン・ノエシス様のお世話だ。

――私は、毎日うきうきしながら仕事をしている。

なぜなら、ハルモン様がとても美しいからだ。

癖のない淡い金髪に、薄い青の瞳。
お顔も、驚くほど整っている。

初めてお会いした時は、あまりの美しさに顔が熱くなった。本当に。

……研究に没頭しがちで、生活は崩壊ぎみという欠点はあるけれど。
そこに目を瞑れば、非の打ち所がないと思う。

外では確実にモテるだろう。
いや、むしろモテないはずがない。

それなのに。

ハルモン様には、いつまで経っても恋人ができない。

周りの人は、一体何を見ているの?
見る目がないんじゃないか。

――そう思っていたら、私は自然と考えるようになっていた。

ハルモン様に釣り合う、理想の恋人の姿を。

(きっと、普通の人じゃだめだと思う)


ハルモン様は、とっても美人だ。

しかも、魔導士としてもめちゃくちゃ優秀らしい。
いわゆる天才肌のタイプ。

あと、ちょっと天然なのか、言動がときどき少しズレている。
でも、そこがまたチャームポイントだと思う。


(この人に釣り合う相手って、どんな人だろう)


まず、強さは外せない。
美しいハルモン様を、しっかり守ってくれる人でなくっちゃ。

あと、ハルモン様はよく喋るタイプだから、落ち着いている人の方が合うと思う。

強くて、寡黙で、ハルモン様の見た目に釣り合う――カッコいい人。

(……そんな人、いるのかな)

もし、こんな人がハルモン様の側にいたら。

私の頭の中では、きっと毎日、花火が上がる。






「ねえミア、聞いた? 今日ハルモン様がお帰りになったんだけど、護衛の方もご一緒だったのよ」

「え?」

「背が高くて、すごく強そうだったわよ! さっき、庭で鍛錬なさっててね……とても素敵だったわ〜」

その言葉に、ミアの手がぴたりと止まった。

(素敵な護衛……?)

(ハルモン様に……?)

胸の奥が、少しだけざわつく。

(……どんな人だろう)

自然と、頭の中に像が浮かぶ。

静かで、強くて。
無駄なことは言わなくて。
でもちゃんと、隣に立てる人。

(……いや、そんな都合よく――)

そこまで考えて、ミアは首を振った。

「……まあ、普通の人だよね」

そう呟いて、仕事に戻る。



(でも)

今、私の足はハルモン様の部屋の前にあった。

お食事ができたことをお知らせする。

それを口実に、つい足を運んでしまった。

(……客間にはいなかったってことは、こっちにいるよね)

(……ちょっとだけ、様子を見るくらいなら)

軽くノックして、声をかけると――

扉が開いた。

出てきたのは、大柄な男だった。

背が高い。
無駄のない立ち方で、そこにいるだけで空気が少し張り詰める。

黒に近い焦茶の髪は、少し癖があって無造作に流れている。
整ってはいるが、作り込まれた印象はない。

(……あ)

視線が合う。

茶色の瞳に、ほんのわずかに金が混じる。
光の加減か、それとも――

一瞬だけ、目が離せなくなる。

(かっこいい……)


そのすぐ後ろに、ハルモン様が立つ。

柔らかな金と、落ち着いた焦茶。
光を受けて淡く輝くものと、影の中で静かに存在するもの。

質は違うのに、不思議と並びが崩れない。

(……え)

(ちょっと待って)

(これ)

一瞬、呼吸を忘れる。

(え?)



(……ああ)

何かが、完全に繋がった。

(これだ)

ミアはゆっくりと息を吸い、

何事もなかったかのように、にこっと笑った。

「ハルモン様、お帰りなさいませ!」






こうして、ライ様が家にやってきてから、私の頭の中では毎日花火が連発だ。

お二人が並んでいるのを眺め、お話しされているのを横で聞き、そこから色々な妄想を膨らませている。

ライ様は私にとって理想的な人だった。本当に。

でもそれ以上に、ハルモン様と並べたい。

推しカプを最も近くから眺め、毎日供給があり、しかも直接お世話ができる。

こんな環境、他にあるだろうか?

いや、ない。

(私はこのままでいい)

――いや、むしろ最高だ。

だから私は、今日もうきうき仕事をこなす。

この幸せな世界が、いつまでも続くことを願って。












この関係、どう見えた?
よければスキで教えてくれると嬉しい。


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