ラクリマ・ディアの連結子 まとめ①
触れないはずの距離で、
関係だけが先に成立していく。
魔導士ハルモンと騎士カライス。
偶然の出会いから始まった主従関係は、
やがて歪みながら形を変えていく。
『ラクリマ・ディアの連結子』は、創作論「脳が焼ける構造」をもとに書いた実作です。
関係が成立すると、物語の熱は収まり、やがて閉じていく。
ならば――関係を成立させなければ、熱は持続し続けるのではないか。
そんな仮説から、この物語は始まりました。

主人公は、騎士カライス。
大柄で人並み外れた強さを持ちますが、効率を優先するあまり、規律から逸脱することもある男です。
もう一人は、ハルモン。
中性的な見た目を持つ青年で、その容姿ゆえにトラブルに巻き込まれます。
――この二人の関係は、最初からどこか噛み合っていません。
価値観も、判断基準も、見ているものも違う。
それでも、なぜか問題なく続いてしまいます。
ズレたまま、距離だけが縮んでいく。
関係は、成立しない。
その構造自体を描いたのが、この物語です。
■第一章 必然の出会い――日常の始まり
ハルモンは、その容姿ゆえ街でトラブルに巻き込まれていました。
そこにカライスが現れ、その場に来ただけでトラブルは解消されます。
カライスはそのまま立ち去りますが、離れるとまたトラブルに巻き込まれるハルモン。
放っておく合理性もなく、本人から護衛を依頼されたこともあり、行動を共にすることになります。
周囲からは「絵になる」と評される二人ですが、当人たちは一切気にしていません。
見ているものが違うため、その評価自体に意味がないからです。
なんとなく気が合った二人は、そのまま数ヶ月に一度街で会い、交流を続けるようになります。
――この時点ではまだ、何も始まっていません。
▼第一話 出会い
▼第二話 繰り返すトラブル
▼第三話 二度助けられ、護衛を頼まれる
▼第四話 数ヶ月おきの交流が日常に
■第二章 救いの代償――女神と呼ばれた人間
二人が交流を重ねてきた街が、敵の攻撃により崩壊します。
ハルモンは街の人々を救うために倒れ、カライスは故郷と恋人を失います。
肉体的にも精神的にもダメージを受けたハルモン。
彼の存在が、結果的にカライスの心に空いた穴を埋めてしまいます。
看病を通して、強制的に距離が詰まります。
世話をする/される関係が生まれ、
“触れること”が日常に入ってきます。
回復したハルモンは、カライスの元を離れようとします。
ですがカライスは、もう誰かを失うことに耐えられません。
ハルモンを守るため、騎士という立場を捨て、彼の帰路に付き添うことを選びます。
▼第一話 カライスの家で雨宿り
▼第二話 崩壊した街に駆けつける
▼第三話 遠征先から街へ帰還
そこにいないはずのハルモンがいる
▼第三話 カライスの無事に涙を流すハルモン
看病生活が始まる
▼第五話 その献身ぶりと容姿から"女神様"と呼ばれてしまうハルモン
▼第六話 役割を受け入れるハルモン
カライスは、自身の今後について考え始める
▼第七話 父から仕事を引き受けたハルモン
カライスの協力を得て完了させる
▼第八話 家に帰ることにしたハルモン
カライスは騎士の立場を捨てて付き添う
■第三章 王都への旅路ーー止められないまま
ハルモンの家がある王都へ向け、二人の旅が始まります。
看病生活を経て、その距離は縮んだまま。
戻ることはありません。
長く共に過ごしても、カライスはハルモンのことを理解できません。
それでも、そのままの彼を守り続けます。
旅の中で大きな出来事は起こりません。
ですが、距離だけが少しずつ縮まり、
ズレた関係がそのまま固定されていきます。
またこの章で、ハルモンはカライスに「ライ」という名前を与え、
以降、そう呼ぶようになります。
▼第一話 カライスの異名がきっかけで騒ぎに
今度は反対にハルモンが救う
▼第二話 本名を伏せて呼べるように「ライ」という名前を与える
第三話 たまたま訪れた教会でトラブル発生
▼第四話 路銀が尽きるが、薬で稼ぐ
▼第五話 料理中にライが怪我をする
▼第六話 怪我を負ったライ
ハルモンの帰りを待つ
▼第七話 薬で眠らされ、大寝坊
▼第八話 宿に空きがなく、やむを得ず隣で眠る
▼第九話 道中の雨で廃墟に避難
焚き火の側で身を寄せ合い、一夜を明かす
▼第十話 隣にいることが当たり前に
ハルモンの家へ向かうが、関係は曖昧なまま
■番外編「戻らぬ森」―関係のない話―
主人公カライスが、「獣哭のカライス」と呼ばれるに至るまでの過去を描いた補足エピソードです。
彼という人物の基準が、少しだけ見える話です。
ここまで読んでいただくと分かる通り、この二人の関係は、一般的な意味でのカップリングとは少し違います。
感情が重なって成立する関係ではなく、
ズレたまま、距離だけが縮んでいく。
理解はできないまま、離れられなくなっていく。
関係が成立しないからこそ、終わらない。
その状態が持続し続ける。
――そういう構造になっています。
また、この二人の関係には、いわゆる役割の固定もありません。
どちらかが一方的に主導するわけではなく、
状況やタイミングによって、立場や関係性が入れ替わります。
守る側と守られる側も、
触れる側と受け取る側も、
一定ではありません。
そのため、一般的な意味での「受け」「攻め」といった区分にも当てはまらず、
関係そのものが常に揺れ続けています。
この不安定さこそが、二人の距離を止めず、
結果として、関係を成立させないまま持続させています。
だからこそ、この二人――ライハルはカップリングというよりも、ひとつの現象として捉えています。
▼第一話はこちら
▼まとめ②はこちら
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