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#17自分を捨てて騎士になる男と、理解できない相手の話―ラクリマ・ディアの連結子―

◻️あらすじ

王都へ向かう旅路の中で、
二人は一定の距離を保っていた。

だが、その均衡は唐突に崩れる。

離れれば不安になる――
そんな不完全な状態の中で、
二人は距離を縮めることを選んだ。

関係は成立しない。
それでも距離だけは、確かに近づいていく。


◻️王都への旅路――触れる距離

今日も、歩きながらパンを食べるつもりだった。

パンを取り出して割ろうとしたところを、ハルモンに止められる。

「実は、今日は良いものがあるよ」

そう言って、鞄から何かを取り出した。

「それは……肉か?」

「そう! 塩漬けのやつ。昨日お客さんからお礼でもらったんだ。炙ってパンに挟んだら美味しそうだよ」




肉を焼くのに、早めに休むことにした。

乾燥した木の枝を集めてきて、火種を入れて焚き火にする。

ハルモンの大きな鞄からは、ナイフやら金属製の串やら色々出てきた。

「……一人で王都と街を行き来していた時は、よく料理していたのか?」

「よく……ではないな。たまにね。それに、この道具は薬作る時にも使ってるやつだよ。ついでついで」

ハルモンが焚き火に枝をくべてくれているので、俺はナイフで肉を切ろうとしたのだが。

「あ……」

力加減を間違えて、自分の手を切った。

「えっ、ライ君大丈夫!?」

焚き火を見ていたハルモンが、すぐに駆けつけて傷を覗き込む。

「少しだから平気だ」

「けっこうザックリいってるよそれ。ちょっと待ってね」

ハルモンは傷口にワインをかけ、俺の手をギュッと抑えて止血する。

少しすると、出血が収まってきた。

ハルモンは鞄から薬瓶を取り出し、傷口に軟膏を塗りつけていく。

「……とりあえずこれで大丈夫かな。これ、切り傷によく効くやつだからすぐ良くなるよ」

「すまん。できると思ったんだが」

「いいって。……ライ君って戦いでは強いのに、不器用なんだね」

その後、ハルモンは慣れた手つきで肉を切り、串に刺すと焚き木で炙って、焼けたものをパンに挟んで渡してくれた。

硬いパンは肉から染みた油で、昨日よりずっと食べやすくなった。

水筒の水を飲むと、口の中に少しだけ酸味が広がる。

「……うん! これはおいしいね。……ライ君、もう一個食べる?」


食事にすっかり満足した俺とハルモンは、少しの休憩の後、使った道具を片付け、次の街を目指してまた歩き始めた。




街に着いた俺とハルモンは、まずは宿を確保した。

さっきの怪我は、すぐに手当てしてもらったものの、傷口が深く、俺は片手が使えない状態となっていた。

「そのままだと不便だし、傷口を覆えるものがあった方がいいよね。僕、買い物に行ってくるよ。ライ君は休憩してて」

ハルモンはそう言うと、扉を開けて部屋を出ていった。

扉が閉まる音を聞きながら、俺はベッドに腰を下ろす。

傷口がずきりと疼いた。











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