碧空戦士アマガサ 第2章(10)
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後編 [7][8][9][10][11][12]
(承前)
- 1.相棒(10) -
襲いくるアマヤドリには目もくれず、湊斗は雨狐"鉄砲水"に肉薄する。瞬時に間合いを詰め、"鉄砲水"に向かって蹴りを繰り出した。
「ふん……だから貴様らの攻撃は──」
"鉄砲水"は避ける素振りすら見せず、腕組みしたままそれを受ける。
「我々には通用──」
蹴りが直撃した左脇腹を中心に、雨狐の身体が波打つ。そして──
「しな──ごあっ!?」
そのまま、大きく吹き飛んだ。
「油断大敵」
遅れて襲ってきたアマヤドリたちを回し蹴りで一蹴しつつ、湊斗は不敵に笑う。
「俺はお前らを殴れるよ。知らなかった?」
「貴様……ッ!」
"鉄砲水"は受け身をとって起き上がる。そして、頭上に水弾を形成しはじめた。
「させない!」
湊斗は妨害すべく地を蹴った。
"鉄砲水"は、時に攻撃を避け、時には扇子で拳をいなし、反撃を繰り出す。大技頼りかと思いきや、中々の手練れだ。
「甘いわ!」
「おわっ!」
しばしの攻防の後、隙をついた"鉄砲水"の一撃に、湊斗はバランスを崩した。すかさず放たれた蹴りをかろうじて回避した湊斗に、アマヤドリが押し寄せる。
「このっ……!」
アマヤドリの応戦に追われる湊斗を嘲笑うように、"鉄砲水"の頭上で水弾が大きくなっていく。そして、ボーリング玉ほどの大きさになったとき、"鉄砲水"は手にした扇子を湊斗に向けた。
「とにかく誰でもいい──」
湊斗は飛び退さり、備える。その様を見てニヤリと笑うと、"鉄砲水"はその扇子を──晴香たちへと向けた。
「なっ──」
「褒美は俺のもんだ!」
叫びと共に、水弾が、晴香たちへと向かって飛び出した。
***
「うわっ!? 姐さん! あれ!」
「あん?」
タキが焦った様子で叫び、晴香は振り返る。果たしてそこには、湊斗を差し置いて晴香たちに向かって飛来する水弾があった。
「やっべ──」
『小娘』
色めき立つ晴香の手元で、リュウモンが口を開いた。
『坊主に免じて、協力してやろう。ワシを振れィ!』
「っ──」
言いたいことも聞きたいこともたくさんあるが、とにかく晴香は言われた通りにした。すなわち、手にした扇子を振り上げた──というより、持ち上げた。
それは、いつの間にか卓袱台ほどもある巨大な扇子へと変異していた。
持ち手を両手で掴み、地を両足で踏みしめ、全身の筋肉を連携させ……晴香の全力を以てようやく振り上げることができる程の、巨大な扇子──それが、九十九神リュウモンの"本気"の姿だった。
ゴウ、と風が巻き起こった。それは、緑色に輝く超自然の突風だ。晴香が使ったエネルギーを数十倍に増幅させ、突風は天気雨を切り裂く。
「っ……ぉらァッ!」
晴香が吼える。応えるように、緑の風は出力を増し、雨狐が放った水弾に激突した。それらはしばし拮抗し──轟音と共に、水弾が爆散した。
巻き添えで数体のアマヤドリと、湊斗が吹っ飛ぶ。
「どわっ!? ちょっと晴香さん乱暴すぎ!」
湊斗の抗議の声を聞き流しつつ、晴香は自分が発生させたその光景を唖然とした表情で見つめていた。
「……すげぇ」
『晴香といったか。大したもんだ』
ぽそりと呟いた晴香に、手元の巨大な扇子──九十九神・リュウモンが宣言した。
『よかろう。坊主の頼みでもあるしな。力を貸すぞ、晴香!』
(つづく)
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