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「小説 組織風土改革推進委員会」第8話:ミーティング 青山の話

 

第8話:ミーティング 青山の話


 荻野の次に、青山が手を挙げた。
「今年の自分に課していることという位置付けで話します。実は50歳を迎えるにあたり、会社の名刺を必要としない青山をつくりあげたいと思っています」
「うん、いいね」
加藤さんはうなずいていた。

「このままいくつまで働くかはわかりませんが、60歳を過ぎて、会社を辞めて何かをやろうと思っても、もう遅いのではと思っています。本来は50歳でも遅いのかなと認識しております。みんながいる前で自分勝手な話で申し訳ないのですが、今まで会社の中で割と好き放題やってきた人間かなと思っています。部下には迷惑かけたというか、実際はパワハラ青山とか言われていたかと。たぶん、歳を重ねると三つのパターンがあって、ひとつは今まで通り、何も考えない人、あるいは考える必要がない人、無意識に考えたくないと思っている人。二つ目は自分のスキルをもっとどこかで活かしたいと前向きな方。三つ目は自分のスキルや、強みを認識したいが、認識できずに、内省出来ずに時間だけ過ぎ去っていくことに焦りや、無力感に苛まれて、結果何もできない人。一つ目は幸せな方かもしれません。私は三つ目で、何をやりたいのか漠然とした考えはあってもしっかり言語化できなかったり、過去の自分をいとおしんだりしているようです」

 青山が話している間、加藤さんはずっとうなずいていた。続けて青山は、
「やはり、ダメだなと思っていても何もできていないんですね。しかし、今年何をやっていくかについて、そういう自分をさらけ出して、自身の強みをみんなにもフィードバックしてもらいつつ、会社の肩書がなくても自信ある人間であるようにしていきたい。そのために、何ができるかを常に考えながら働いていきたい。今年はこれだという自信を自分につけていきたいというのが本音です。なにか会社や組織ではなく自分のことですみません」
「いや、僕は自分自身のことへの問いをみなさんに出したつもりです。全く問題ないですよ。青山さん、よく自己開示していただきましたよ」
青山は
「そうですか・・・・・・」
と答えながら、なにか噛みしめていたようだった。と、同時にこういう話をみんなに披歴したことで肩の荷がおりたのかほっとした表情に変わっていった。俺には青山がそんな話をするなんてと少し信じられない気持ちと、なにか肩をちょっとたたいてやりたいなと思っていた。思わず、青山の背中をポンとたたいていた。俺には珍しく、青山へ頑張れよ!というエールを込めていた。香取も八木沢も、荻野も優しい目で青山を見ていた。

 昔、青山のことを話していた松井は今の青山をどう思うのだろうかと考えていた。加藤さんは、
「青山さんの次はハードルがあがったかな?次は?」
加藤さんの呼びかける声とともに、八木沢がすぐに手を挙げていた。


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