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2025年ベストソング&アルバム by てけしゅん音楽情報

2025年も毎週たくさんの素晴らしい音楽との出会いがありました。

今回は僕たちのYouTube「てけしゅん音楽情報」で発表した「2025年ベストアルバム」と「ベストソング」を、テキスト版として再構成してお届けします!

ぜひ年末年始のチェックリストに、そして2025年の音楽を振り返るテキストとしてご活用ください。

ベストアルバム/ソングの選定基準について
「いまの音楽がわかる」が、僕たち「てけしゅん音楽情報」のコンセプトです。そのため、普段から紹介するアーティストや楽曲、アルバムは僕たち個人の好みでセレクトしているわけではありません。今回は上から順に次の4つを重視しました。

1.時代の鏡になっていること、大衆の欲望を反映していること
2.様々な文脈を繋いでいること、新鮮な驚きがあること
3.作品の質:音の良さ、リズムの快楽、アルバム全体の構造とストーリー等
4.直感:インスピレーションは超重要です

2025年 ベストアルバム TOP10

今年は「誰もが知っている世界的ヒット」こそ少なかったものの、振り返れば非常に充実した作品が揃った一年でした。その中から厳選した10枚です。

10位:Oklou『choke enough』

“ハイパーポップ版エンヤ”と言ってしまえば一言なのですが、そこには収まりきらない違和感こそが本質な気がします。Y2Kリバイバル的なデジタルの質感、クラシック音楽の旋律感や多声的な動きが融合しつつ、トータルでは妙にインディの匂いが漂います。「再評価されきってない90年代からY2Kの感覚」をサルベージしているところは要注目。

ハイパーポップをアンビエント&ニューエイジで濾過したポップという点に着目すれば、チャーリーXCXの『BRAT』の裏側のような感じも。


9位:BABYMETAL『METAL FORTH』

結成15周年の節目に、世界で出会ったアーティストとのコラボを中心に組み上げたアルバムです。ビートルズも在籍の名門レーベル、キャピトルからの本格的な世界デビュー作として、ビートルズの文脈を匂わせる曲名も。

これまでのワールドツアーやフェス、オープニングアクトで積み上げたコネクションが全部入っていて、まるでジャンプ漫画の最終盤みたいな「全員集合感」があります。そして何より大きいのは、文脈だけでなく、ちゃんと曲がかっこいいところ。


8位:Geese『Getting Killed』

今年のインディロックにおける最大の話題作は、間違いなくこれでしょう。

「インディロック復活か!?」とはこれまで何度も言われてきましたが、ここまでみんなが話題にする作品は久々だった気がします。

ざっくり言えば、ローリング・ストーンズをレディオヘッドが演奏しているような、ありえない組み合わせが魅力の1枚。ざらついたギターを土台に、ドラムとベース主導の反復グルーヴがあり、そこから曲の途中で景色がひっくり返るような展開を連発。アートワークの銃口に気合いを感じます。


7位:Royel Otis『hickey』

短く強いフックで駆け抜ける、甘く切ないギターポップ集。

コンセプトアルバムではありませんが、通しで聴いたときの充実感が素晴らしい。とにかく「曲がいい」という一点で勝っていますね。

もっと大きな場所に行ってほしいと思わせるアルバムでした。


6位:Bad Bunny『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』

ラテンの“今”を更新し続ける世界的スターが、ルーツ回帰とポップの更新を同時にやってのけた作品。 サルサ、プレーナ、ボレロなど、プエルトリコのリズムを現代ポップに落とし込んだ、過去と現在の合流点。

これからの時代にポップ音楽がどこへ向かうのか。その大きなヒントになりそうな作品です。


5位:kurayamisaka『kurayamisaka yori ai wo komete』

2025年の日本の空気。それをもっとも的確に捉え、描いてみせたアルバムかもしれません。

海外がGeeseなら、日本のインディーロックシーンでもっとも話題になったのはこの1枚ですが、とにかく薄暗い。ほの暗い。この感覚は、残念ながらメインストリームのJ-POPスターには描けないものではないかと(これはお金の話とも直結するので)。“等身大”がここまで切実に鳴っているのは、ある意味でラッパー的なリアルにも近いものがあります。

その上で本作はちゃんとポップで、ちゃんとJ-POP的でもある。

J-POPがこの10年で更新されてきた流れ(僕らが言うJ-POP3.0)と、インディの地場が交差した瞬間として、今年かなり大きい一枚でした。


4位:Rosalía『LUX』

2025年下半期のポップ音楽における、話題の中心は本作。

前作のミニマリスティックな作風に対し、本作は超大作で、アーティストとしての格を一段上げた感じ。ビョークの『Post』から『Homogenic』への変化に近い手応えを感じます。

ロンドン・シンフォニー・オーケストラを迎え、クラシカルなスケールと最先端のポップ感覚を正面衝突。 でも意外と、曲単体で聴くと普通にポップで可愛い。重たい芸術作品として構えず、いい曲がたくさん入ったアルバムとして、気軽に聴いてみるのがおすすめです。


3位:Addison Rae『Addison』

今年の“顔”を挙げろと言われたら、アディソン・レイは外せません。僕たちのYouTubeチャンネルでも洋楽アーティストとしては最多クラスの登場回数でした。

TikTok出身という、バカにされやすい出自を逆手に取って、ポップアートとしてのアルバムを成立。サウンドもいいですが、それ以上に歌詞が強いです。広告っぽい言葉遣い、消費社会への皮肉、堂々とした自己演出。そういう意味でも非常にポップアート的。

それと、短い曲が主流の時代に、アルバムとしてムードを作れているのも大きいですね。


2位:Justin Bieber『SWAG II』

本作を2位に選んだことについて多くのリアクションをいただきました。

2025年にサプライズリリースしたアルバム『SWAG』の続編というか、拡張盤が本作ですが、基本的には『SWAG』の方が評価が高い印象。でも、僕たちはこちらを選びました。

耳なじみがいいのに、聞いたことのないバランスの上にずっと立っているボーダーライン上のポップミュージック。Dijon周辺のコラージュ感や、インディとR&Bの境界を曖昧にする質感を、“ポップの中心”たるジャスティン・ビーバーがやっている。

わかりやすい冒険ではありませんが、だからこそ後世での再評価が約束されているようなアルバムだとも思います。


1位:藤井風『Prema』

今年の日本で、いちばん“現象”だったアルバムです。

ストリーミングで聴けるのに、発売日にCDを買ってSNSに上げる人が続出しているのには驚かされました(僕も買いました)。

全曲英語詞、世界デビュー作。でも、これがただ海外向けかというと、そうではない。藤井風本人にとっては「自分のための英語ポップアルバム」である点もおもしろい。

そして、日本の音楽リスナーにとっては「洋楽への入口(あるいは洋楽初体験の再現)」、海外リスナーにとっては「英語詞J-POP」として鳴る側面もある。

本作とボーナスCD『Pre: Prema』を並べて聴くことで浮かび上がるのは
、「ポップ音楽とは?」という問いかけです。


2025年 ベストソング TOP20

アルバムとソングでは、見えてくる景色が変わってくるのも面白い。

アルバムは「数年に一回の作品」ですが、ソングは「百花繚乱」。今の時代は特にアルバムを出さない選択をするアーティストも多いですし、曲の方が時代が見えやすいとも言えるかもしれません。

まず20位〜11位をざっと紹介します。

20位:サカナクション「怪獣」


19位:Sabrina Carpenter「Tears」

18位:米津玄師「1991」


17位:宇多田ヒカル「Mine Or Yours」


16位:米津玄師&宇多田ヒカル「JANE DOE」


15位:Rosalía「Reliquia」

14位:Fontaines D.C「It’s Amazing To Be Young」

13位:Lady Gaga「Abracadabra」

12位:cero「健忘者たち」

11位:Addison Rae「Fame is a Gun」

20位〜11位についてはこちらのメンバー限定動画で話していますので、よかったらぜひ!

ワンコインでたくさんのボーナス動画が見られるお得な内容となっています。

さあ、ここからが2025年ベストソングTOP10です。

10位:PinkPantheress「Illegal」

ドラムンベース、UKガラージや2ステップの感覚を、短く鋭いポップソングに落とし込むアーティスト。

今回の曲はアンダーワールド「Dark & Long」のサンプルを軸にした2ステップで、“いけない”恋の高揚と後ろめたさを軽妙に聴かせます。

ポイントは、世代交代としての大胆さ。リアルタイムで聴いてきた世代だと「そのサンプル、ダサくない?」と一瞬思いそうなネタを、軽々と飛び越えていきます。しかも、それが世代を超えるTikTok動画でミーム化。

リバイバルが常態化した2025年の象徴とも言える楽曲です。

9位:米津玄師「IRIS OUT」

今年のJ-POPを代表する一曲です。 ストリーミング記録の強さだけでなく、レゼダンスの現象化、NHK紅白のサプライズ発表など、全部込みで「格」を見せつけてきました。

でも僕がこの曲について何より大きいと思うのは、曲が欲望の話を真正面から引き受けているところ。

ホワイト社会化の時代に、欲望との付き合い方はどんどん重要になっていく。その点も含め、『チェンソーマン』主題歌の枠を超え、今年の空気そのものを歌っているように感じます。


8位:BLACKPINK「JUMP」

やけくそだけど洗練。

かっこいいのかダサいのか、聴くたびに印象が行き来して、結局笑って終わる感じ。アウトロで何故かビートがもう一度戻ってくるところで毎回笑っちゃうんですよね。

徹底的におバカっぽいんだけど、後半でキックの音色が変わるなど細部の工夫が異常に細かい点も、凄まじく、同時に謎。


7位:Number_i「i-mode」

シングルではなく、この曲を選びました。 一歩間違えると古いラップソングに聞こえそうなものを、洗練させて“2025年の音楽”に。

Y2Kノスタルジアのフィーリングに乗せて歌っているのは「今この瞬間も古びていく」という切なさです。Y2Kリバイバルはトレンドですが、サウンドと歌詞のシンクロにおいてここまで必然性の高さを感じさせる表現はなかったかも。


6位:XG「GALA」

デトロイトテクノを洗練させたようなビートがまず衝撃的。

ラップを乗せるには難しいダンスビートなのに、ダサくならないバランス感覚とスキルはさらに圧巻です。

そして、音色やミックスがちょっとねじれている感じもおもしろい。ど真ん中で鳴らせるのに、わざとずらしている感じがあって、消費しきれないアートとしての強さを感じます。


5位:HANA「Blue Jeans」

どんどん好きになる1曲。最高です。


4位:Joji「PIXELATED KISSES」

歪んだビート、グリッチーな質感。暴力的なのに、ひたすら切ない。

しかも約1分50秒で終わる。

歌っているのは“画面越しのキス”、つまりオンライン時代の恋愛のもどかしさです。たわいもないはずのテーマが、何かを射抜く。

「シングル/ソングとはこういうことだ」。そう感じます。


3位:CA7RIEL & Paco Amoroso「IMPOSTOR」

フジロックでも話題になったカトパコ。

サウンドがかっこいいのはもちろんですが、この曲の核は、自信のなさを自虐とユーモアで転がすリリックにあります。 「終わりだ」「自信ない」と笑えるほど言っているのに、演奏はグルーヴィーでキマっている。かっこいいのに情けない。ここが最高です。

アルバムが一度止まってしまったらしいというニュースも含めて、逆にこの曲の“予言性”が増してしまったのが複雑ですが。


2位:藤井風「Hachikō」

2025年ベストアルバム1位『Prema』からの衝撃的な先行曲。

これまでの藤井風が得意としてきた、ジャズやソウル的な豊かなコード進行ではなく、ループ主体の“現在のポップの作法”に挑戦したのが驚きを呼びました。

この一曲で僕たちは藤井風を見る目が一変。文字通りひっくり返された感じがありました。「いいアーティスト」から「とんでもないアーティスト」へ、ギアが変わった瞬間だったと思います。


1位:米津玄師「Plazma」

意外に思われるかもしれません。

でも、僕らはこの曲を1位とすることに満場一致しました。

“表拍から逃げない”というリズムアプローチに、高速なBPMなど、音楽ファンが「それはないよ」と言いがちな要素を、全部詰め込んだ点もヤバい。クリエイションの勇気とは、この1曲のことだと思います。

しかも歌っているのが「もう一つの可能性」とか「あの時こうしてたら」という話で、作品のテーマとも、米津玄師のアーティストとしての選択とも重なります。

「原点回帰」と言われますが、サウンドそれ自体は新規軸なのもポイント。

去年の流れから「しばらくブレーキがかかるかも」と思った人ほど、この一曲でぶん殴られたはず。


J-POPの“強度”が、普通に上がりすぎている

ベストソングを作って気づいたのは、上位が自然と日本の曲に寄っていったことです。 狙ったわけじゃないのに、結果そうなりました。これは、けっこう大きい変化だと思います。

アルバムもソングも、今年は「中心的な一作がない」みたいな話をしつつ、結局ちゃんと豊かでした。そして、来年以降の上り調子も見えています。だから、2026年はもっと面白くなるはずです。

(メンバーシップ限定動画では、惜しくもランキング外になった楽曲についても語っています。興味のある方はぜひチェックしてください)

(照沼健太)

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