【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 10 所長の謎のプレゼント 1000字
[HL:にゃーむーは夜道ちゃんが拾ってきたねこです]
「にゃーむー、これは事件ですよ。手袋です。しかも女性もの」
KATE BLUEの包み紙の間には薄い箱と、その中に手袋のお手入れの仕方のペーパーが入っている。KATE BLUEは駅南口の路面店で、それなりに高級なレディースブランド。
少なくとも所長用ではないだろうし、お歳暮に贈るものでもない。クリスマスには少し早い。
所長はなんていうか少し濃いめの顔の30代で、飲み屋のお姉さんが好きで、飲み屋のお姉さんに好かれるタイプ。特定の恋人とかがいる感じでもないんだけれど、……ひょっとして彼女ができた? 所長はまぁ基本的にはいい人だから、そんな事情なら応援したいと思うけど、それも何だか変。
ここに包み紙が捨てられているということは多分ここで開けたんだ。昨日来た時にゴミを片づけたから、少なくとも昨日の夕方から今日のさっきまでにこの箱は現れたはず。
所長が誰かに贈るために買ってきた?
例えば今日来たお客さんにプレゼント?
その場で開けて箱は捨てて?
でもそれなら応接室のゴミ箱に捨ててあるだろうし、所長の机の足元のゴミ箱ではないと思う。そういえば今日は外出とは聞いてはいなかった。だから急な用事ででかけた?
わからないなぁ。まあいいか。
ちょっと気にはなるけれど、わからないこと考えても仕方がない。とりあえずお片づけを済ませてしまおう。
簡単に掃除機をかけて、応接でお歳暮のお礼状を書いて、そうしているうちに正面の大きな窓の外はだんだん薄暗くなっていき、窓の形に手元に差していた優しい光がどんどん窓側へ縮小していって、なんだか酷く寂しく感じてきてしまったから、今日のバイトはここでおしまい。
所長に『来客も来電もありませんでした』とメールして、『手袋誰に上げたんですか』と追撃しようか少々迷っているうちに『お疲れ、気をつけてな』と返事がきたものだから、業務はそこで終了だ。
にゃーむーをひと撫でしてから冷蔵庫の中のケーキのうちのお酒たっぷりのサバランだけをお皿に取り分けてラップをかけて置いていく。そうして事務所の電気を消したらすっかり夜だった。
なんだか寂しい気分で外に出て、昼には気づかなかった電飾のきらめきが少しだけ増えた商店街を見上げた。きっとこれからどんどん増えるんだろうな、夜の暗さは変わらないのに。そう、飾ったって何も変わらないんだ。そんな気分でとぼとぼ歩きながら大岳のラボに向かっていた。
まぁケーキ買っちゃったし、ね。
to be Continued….

★次の話
果青は一応探偵のシリーズなので無駄に謎をいれてみたけどどこに繋がるか全然決めてないアレ。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#手袋
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
★似た系列の話
これは神津南のこまち百科市場の駄菓子屋さんと猫の話。
#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介 #創作大賞2026 #恋愛小説部門
