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【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 19 ノルゲンのベル 1000字

[HL:少しずつ小さく何かが積み重なる、朝]

 いよいよクリスマス本番。
 午前中は神津北公園通りのクリスマスを取材して、午後はスカイタワーでイベントの手伝いで大忙し。それで夜は……大岳とクリスマスパーティ。
 何年ぶりだろ。多分もう、10年くらいは経つのかな、桜川の家でクリスマスを祝わなくなってからは。結局、スキーには誘えなかった。なんだかんだバタバタして、忙しかった。それは本当でもあるし、言い訳でもあるし。
 とにかく最初は取材。切り替えてノルゲンの重たい扉を押し開ければガランガランとベルが大きな音をたてた先では、たくさんのキャンドルが赤々と店内を照らしていた。窓から外の光も入るけど電気は消えているようで、神秘的に薄暗い。店内のあちこちにはトウヒとセイヨウヒイラギが飾られて、本当にクリスマス。その光景に思わず見入ってしまう。
「わぁ凄いですね」
「ああ、春崎さん、っと、古屋敷さんだっけ。ブッシュドノエルの用意できてるけど持ってくかい?」
 北野さんがいたずらっぽくニコッと笑う。
「取材に来てるので春崎で。ケーキは夜にまた取りに伺います」
「わかったよ。それよりどうだい、うちの店は」
「毎年ですけど、本当に本格的。まるで木の洞にいるみたい。それにあのベルの音」
 音に振り返れば、入口のドアの上には教会の鐘の形をした大きな鈴が取り付けられ、今も新しい客を招き入れていた。

「春崎さんはあのベルの意味はしってるかい?」
「ベルの意味、ですか? クリスマスのオーナメントではなく?」
 北野さんは大きく頷く。
「クリスマスってのはキリストの生誕祭なのは知ってるだろ。神の子イエスの生まれを知らせるためにベルが鳴らされたのさ」
「へぇ、由来があるんですね」
「あとね、キリスト教では羊や羊飼いっていうのは大切な概念なんだ。この辺だと牧羊なんてちっともみないけど、うちのほうだとヤギや子羊の首に鈴をつけるんだよ。それが迷った時にベルの音を頼りに探したり音を頼って帰ってきたりする。だから迷える子羊を導くんだよ」
 そう話しているうちに、新しい子羊がドアを開けて入って来る。
「子羊、か」
「春崎さん、なんか悩んでるだろ」
 北野さんのその言葉に心臓がドキリと音を立てる。
「えっと、わかります?」
「まぁ、なんとなくね。でも今日は聖なる夜だから、奇跡が起こるかもしれないよ」
 そう呟く北野さんの素敵なウィンクをカメラに収めて簡単な文章と一緒にSNSにUPする。
 聖なる夜、か。

to be Continued

正直オーナメントテーマ困ってる。

★次の話


#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#ベル🔔(オーナメント)
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。話は続けるつもりなんだけど、ちょっと健康上の不安がでてきた。

★似た系列の話

明治幻想奇譚は神津全域なんだけど、まあ神津もよく出てくるよね。

#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介 #創作大賞2026 #恋愛小説部門


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