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【短編小説(短編連作)】春崎夜道の『夜散歩』なXmas 15 よくわからないすれ違い 1000字

[HL:家でぬくぬくしてたい]

 翌朝はなんだかやけに早く目が覚めた。
 耳がキンとするのは雪が降った朝だからかもしれない。ストーブに火をつければジジジという暖かい音とともに次第に部屋が温まって来る。この自宅兼探偵事務所な古い建物は、エアコンだとなかなか温まらないのだ。
 窓から眺めれば所々道路は白い。早起きの子どもが道端で雪を拾い集めて雪玉を投げたり雪だるまを作っている。けどこの程度の量ならきっと、日が昇れば溶けてしまうだろう。子どもかぁ。縁がないぜ。
 そんなわけで簡単な朝食にトーストを焼いてコーヒーでも淹れてだらけてたらいつの間にか昼近くになっていた。今月頭はずっと張り込みで忙しかった。だからたまにはダラけたっていい。この辺が自営業の醍醐味で、一方で忙しい時は半端ないっていう面倒なところだ。だらだらテレビを眺めていれば、インターフォンが鳴る。

「こんにちは~夜道です」
「入っといて。俺も降りるから」
 3階建てのこの建物は1階が事務所、2階を倉庫にしている。顔を洗ってジャケットに袖を通して1階に降りた頃には、すっかり温まっていた。
「所長、今日は何かお仕事ありますか~?」
「ん-特にはない」
「バイト代なしか。ま、いいですけど」
 見ればすでにタブレットを広げ、その手元で珈琲が湯気を立てている。
「ないわけじゃないんだが、急ぎでもないんだよな」
「なんです?」
 夜道は集中が途切れたとでもいいたそうな表情で俺を見た。仕事なぞなかった方がよかったのかもしれん。
「高天に行くときに町役場に寄ってもらいたいんだよ。道路台帳の写しが欲しいんだ」
「なんでです?」
「え、不法侵入かどうかに町道か私道かの区別が……」
「いえ、なんで高天に行く前提になってるんです?」
 嬢ちゃんは不思議そうに瞬いた。ん?
「久我山からチケットもらっただろ?」
「え?」
「ああ。この間余ってるって持ってきたんだよ」
「奏汰さんがですか?」
 なんだこの狐につままれたみたいな。
「そう。俺に配るくらいだから嬢ちゃんももらったと思ったんだが」
「えぇ~? 知らないですよ」
 そういや、なんで俺のところにペア券持って来るんだよなんかの嫌味か、って聞いたら余ってるからいる人にあげてとか言ってたな。結局嬢ちゃんに俺経由で渡したかったのか? つくづく面倒臭ぇやつだな。
「ええと、高天のペア券があるんだがいるか? 俺は寒いから行かん」
「……なんでそんな回りくどいことするかなぁ」
「え?」
「こっちの話です、もう」
 嬢ちゃんは複雑そうにみえる、というわかりやすい表情を浮かべていた。

to be Continued….

★次の話

奏汰さんはそういえば昔からいたずらが好きなんでしたよ。

#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#スノーボール
おじゃましますー。なるべく毎日、神津を中心に夜道ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。

★似た系列の話

これは神津大学で民俗学やってる金井君の話。たまちゃんもここの研究室に間借りしてる。

#小説 #短編小説 #ショートショート #私の作品紹介 #創作大賞2026 #恋愛小説部門


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