【短編小説(短編連作)】辻切区のどこか奇妙なXmas 16 ネズミ山式あるいは 1000字
[HL:西洋のクリスマスってツリーの周りにプレゼント並べるんだっけ]
「公理さん、あのツリーの下の袋に書いてるのって何ですか?」
「え、えーと」
「ね、パーティするの?」
「んと、お店の人だけで小さな打ち上げっていうか」
「それってプレゼント入れたら参加していいやつです?」
「いや、それはちょっと、そんなにこの店に入りきらないし」
「えっここでやるの?」
そのあたりで俺は考えるのをやめた。
はぁ。もう無になる。無になって髪を切る、のもなかなか難しいなぁ。トークも営業の一部だし。でもいちいちなんて断ったらいいのか悩むのなんて、俺に向いてないし。だからクリスマスツリーの下のメモを書き換えた。
『ここにプレゼントを入れた方は、クリスマス当日に代わりに1つ持っていくか、1000円の割引券を差し上げます。中身の保証は致しませんし、危険なものを入れた場合は通報します』
なんだかこのツリーの周りだけ、俺の知らないルールに沿った異空間が展開してるみたいな気分だ。俺の本意とは全然違う何かの意思がここに溜まっているような。
はあ。
このツリー下の靴下袋は正直もう管理しきれない。もはや誰が何を入れたかわからないし、この時期のんきに監視カメラを見直す時間なんて全然ないし。第一入れてないのに持っていく人もいるだろう。だから1000円分の割引券。割引クーポンならたまに配るし、経理上はいつもと同じ処理ができるだろうし。
代わりに俺とか店員が入れたものは各自取りだしてもらって、バックヤードの別の袋に詰め込んだ。ここが新しいプレゼントの聖地だ。ここならもう、俺が毎日小さくいれるもの以外は増えやしないだろう。そう思って今日も袋を開けて、格好いい万年筆を投げ込む。そうして首を傾げた。
もうプレゼントが増えたりしないはずだ。けどやっぱり何か小さな違和感がある。そうしてバックヤードを出て見つめたツリーの先は靴下袋からあふれ出た小さな箱がツリーの下を埋め尽くしていた。
「吾郷君、ケータリングのフードって増やせる? 簡単なスナックと1ドリンクくらいでいいと思うんだ。交換して、すぐに帰ってもらって」
「公理さん、大分疲れてますね」
「……自業自得なんだけどさ」
「フードは安く増やせますよ。もとの予約はもっと大人数用で、用意した食材の処分先に困ってたから」
安易によろしくと発音しようとして、ますますのドツボに嵌っていないか頭の中で考えようとして、なんかもう疲れ切ってたから諦めた。
「よろしく」
to be Continued
★次の話

#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#合唱団(讃美歌)
おじゃましますー。なるべく毎日、智ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
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これは西街道で陰陽師やってる太郎ちゃんと民俗学者の金井君の話。
