おばあちゃんに買ってもらった、昔ながらのとん平焼き
帰り道の楽しみだった一枚
子どもの頃、晩ご飯の買い物は祖母と一緒に出かけることがよくありました。
スーパーで買い物を済ませた帰り道、決まって足を止めるお好み焼き屋さんがありました。
鉄板から聞こえてくる「ジュウジュウ」という音。
ソースの香ばしい香り。
店の前を通るたびに、お腹が鳴ってしまうほど魅力的なお店でした。
そんな時、祖母が「今日は、とん平焼きを買って帰ろうか」と言ってくれる日がありました。
子どもの私にとって、それは何より嬉しいご褒美でした。
鉄板の前が特等席
店主は熱々の鉄板に豚バラ肉を並べ、手際よく焼き始めます。
豚肉に火が通ると、その横へ卵を鉄板に打ち付けて割り入れます。

そのままだとベーコンエッグのような見た目ですが、専用の籠手(こて)で上からギュッと押さえつけると、卵が薄く広がり、豚バラ肉と一体になっていきます。

最後に、お好み焼きソースとマヨネーズをたっぷりかければ完成です。
出来上がるまで、ほんの1〜2分ほど。
でも、その短い時間が子どもの私にはとても楽しく、鉄板の前で焼き上がる様子を夢中になって眺めていました。
店主が手際よく籠手を動かす姿は、まるで職人さんのようで、何度見ても飽きませんでした。
私の思い出のとん平焼き
最近では、居酒屋などでオムレツのようにふんわり包んだとん平焼きを見かけることが増えました。
もちろん、それもおいしいのですが、私の思い出にあるのは、豚バラ肉と卵を薄く平らに焼き上げる昔ながらのとん平焼きです。
家庭や、私が子どもの頃に通っていたお好み焼き屋さんでは、この平たいとん平焼きが当たり前でした。
とん平焼きは晩ご飯のおかずとして食卓に並ぶこともありましたが、子どもの私にとっては、どちらかというと「おやつ」のような存在でした。
焼き上がると、透明のパックに入れられ、その上から緑色の紙で包んでもらいます。
その包みを受け取る瞬間が、本当に嬉しかったことを今でも覚えています。
屋久島で思い出の味を再現
それから20年も経ち、屋久島で暮らしていた頃のことです。
ある日、会社で提供していた黒豚しゃぶしゃぶ用のお肉を分けてもらいました。
さらに、毎朝世話をしていた会社の鶏舎から、新鮮な卵もいただきました。
その日の晩ご飯を考えていると、ふと祖母と買って帰ったとん平焼きのことを思い出しました。
フライパンで黒豚を焼き、その上に卵を割り入れます。

お店のような大きな鉄板はありませんが、フライ返しで軽く押さえながら焼くと、昔見ていた平たいとん平焼きに少し近づきました。
仕上げにソースとマヨネーズをかけると、屋久島の寮にいながら、祖母と歩いた帰り道や、お店の鉄板を夢中になって眺めていた子どもの頃の景色が鮮やかによみがえりました。
思い出も一緒に焼き上がる料理
料理には、その時代の思い出が詰まっています。
とん平焼きを食べるたびに思い出すのは、祖母との何気ない帰り道と、焼き上がる一枚を楽しみに待っていた子どもの頃の私です。
豪華な料理ではありません。

それでも、私にとって昔ながらのとん平焼きは、今でも特別なごちそうです。
屋久杉のお箸でいただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このnoteでは、屋久島での暮らしや、そこで出会った料理、そして何気ない日常の思い出を綴っています。
よろしければ他の記事やマガジンものぞいていただけると嬉しいです。
一部PRを含みます。
#屋久島 #とん平焼き #おうちごはん #料理 #思い出 #お好み焼き #黒豚 #エッセイ #note #昔ながらの味 #創作大賞2026 #フード部門
いいなと思ったら応援しよう!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
屋久島での暮らしや料理の記録を、これからも発信していきます。
「面白かった」「応援したい」と思っていただけたら、チップで応援していただけると嬉しいです。