氷水で冷やした曲がったキュウリを、塩だけでかじる。
仕事を終えて帰ると、玄関に3本のキュウリ
屋久島は、夏だけでなく一年を通して蒸し暑さを感じる日が多い島です。

その日も仕事を終え、ヘトヘトになって寮へ帰りました。
玄関の扉を開け、靴を脱いで上がると、小さなカゴの中にキュウリが3本置かれていました。

近隣の農家の方がおすそ分けに持ってきてくださったようです。
どれも少しずつ形が違います。
くるりと曲がったもの、少し太いもの、先が細くなったもの。
スーパーではあまり見かけないような形ですが、私はそんなキュウリを見るたびに、「また持ってきてくれたんだ」と、うれしい気持ちになりました。
氷水でキンキンに冷やす
仕事で汗をかいた日は、凝った料理を作る気力は残っていません。
そんな日は、大きめのボウルに氷と水をたっぷり入れ、その中へキュウリを丸ごと入れます。

30分ほどすると、表面には冷たい水滴がびっしり。
小皿に塩を少しだけ用意して、キンキンに冷えたキュウリをそのまま丸ごとかじるだけです。

「パリッ。」
最初のひと口で鳴るあの音が好きでした。
噛むたびに冷たい水分が口いっぱいに広がり、火照った体が少しずつ落ち着いていきます。
塩をほんの少し付けるだけで、キュウリの甘みが驚くほど引き立ちます。
マヨネーズも味噌もいりませんと言いたいところですが、、、味噌も味変にいいですね。
寮では野菜スティックの時はこの「黒豚味噌」を使うことがありました。少しピリ辛なのが特長です。島のスーパーや空港のお土産店などでよく見かけます。
採れたてだからこそ味わえる、とても贅沢な食べ方でした。
曲がっていても、おいしさは変わらない
屋久島では、近隣の農家の方から野菜をいただくことがよくありました。
オクラやじゃがいも、そしてキュウリ。
畑で採れた野菜が、こうして寮の玄関にそっと置かれていることも珍しくありませんでした。
都会では野菜はお店で買うものですが、屋久島では人と人とのつながりの中で食卓が少し豊かになることがあります。
そんな暮らしが、とても心地よく感じられました。
スーパーでは、曲がったキュウリは規格外として扱われることがあります。
でも、味は少しも変わりません。
むしろ畑から届いたばかりのみずみずしさは、何よりのごちそうでした。
見た目ではなく、おいしさで野菜を味わう。
屋久島での暮らしは、そんな当たり前だけれど大切なことを教えてくれました。
あの3本のキュウリを思い出す
今でもスーパーでキュウリを見かけると、あの寮の玄関を思い出します。
仕事を終えて帰ると、小さなカゴの中に置かれた3本のキュウリ。
ボウルいっぱいの氷水でキンキンに冷やし、塩だけで丸ごとかじる。
たったそれだけなのに、あの日食べたキュウリは、どんなごちそうよりもおいしく感じました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
屋久島で暮らしていた頃は、何気ない毎日の中に、こんな小さな幸せがたくさんありました。
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