筋トレ民は禁酒すべき?アルコールと筋肉の関係
筋トレを始めてから、ずっと気になっていたことがあります。
お酒です。
正直に言うと、僕はワインが好きです。
仕事終わりに飲むワイン。
友人との食事で飲むワイン。
休日にゆっくり飲むワイン。
筋トレを始めても、その楽しみだけはなかなか手放せませんでした。
でも、筋トレ界隈では昔から言われています。
「酒は筋肉を溶かす」
本当にそうなのでしょうか。
もし本当なら、僕が飲んでいるワインは毎回せっかく鍛えた筋肉を削っていることになります。
気になったので、論文を調べてみました。
すると見えてきたのは、
「酒は筋肉を溶かすわけではない。でも筋肉を作る邪魔はする」
という少し複雑な答えでした。
今回はできるだけ論文ベースで解説していきます。
先に結論を書きます。
お酒を飲んだからといって筋肉が急激に減るわけではありません。
しかし、
筋肉を作る能力は低下する
回復が遅くなる
睡眠の質が悪化する
大量飲酒ではホルモン環境も悪化する
体脂肪が増えやすくなる
長期的には病気のリスクも上がる
ということが研究で分かっています。
つまり、
酒は筋肉を直接破壊するというより、筋肥大の効率を下げる。
これが現在の科学的な理解に近いと思います。
筋肉はどうやって大きくなるのか
筋肉は常に
「作る」
「壊す」
を繰り返しています。
専門的には
筋タンパク質合成(MPS)
筋タンパク質分解(MPB)
と呼ばれます。
筋肥大とは、
合成 > 分解
になっている状態です。
逆に筋肉が減るときは
分解 > 合成
になっています。
つまり、
筋肉を増やすためには
「どれだけ合成を高められるか」
が重要になります。
そしてアルコールは、この合成側に悪影響を与えます。

筋トレ後に酒を飲むと何が起きるのか
最も有名な研究の一つがParrら(2014)の研究です。
被験者は高強度のトレーニング後に大量のアルコールを摂取しました。
結果はかなり衝撃的でした。
筋タンパク質合成率が約24〜37%低下。
しかもプロテインを摂取していても完全には防げませんでした。
この研究を見て思ったのは、
「筋トレ後の飲み会が一番危険かもしれない」
ということです。
トレーニングを頑張ったご褒美のつもりが、
実は回復を妨げている可能性があります。
もちろん1〜2杯で同じ影響が出るわけではありません。
ただ、
大量飲酒が筋肥大にマイナスであることはかなり明確です。
本当に筋肉は分解されるのか
SNSでは
「酒を飲むと筋分解が起きる」
とよく言われます。
しかし論文を読む限り、
少量〜中等量の飲酒で筋肉がどんどん分解される証拠は強くありません。
むしろ確認されているのは、
筋肉を作る能力の低下です。
イメージとしては、
建設中のビルを爆破するのではなく、
建設作業員の人数を減らしてしまう感じです。
完成はする。
でも遅くなる。
これがアルコールの影響に近いと思います。

テストステロンは下がるのか
筋トレ民が最も気になるテーマです。
結論から言うと、
少量の飲酒で劇的な変化は起こりません。
問題になるのは大量飲酒です。
研究では、
大量のアルコール摂取によって
テストステロン低下
コルチゾール上昇
が報告されています。
テストステロンは筋肥大に重要なホルモンです。
一方コルチゾールはストレスホルモンとして知られています。
つまり、
大量飲酒はホルモン環境を筋肥大に不利な方向へ傾ける可能性があります。
ただし、
ワインをグラス1〜2杯飲んだ程度で筋肉がつかなくなるという話ではありません。
ここは誤解されやすい部分です。

個人的に一番怖いと思ったのは睡眠
論文を読んでいて、
実はここが一番重要なのではないかと思いました。
アルコールを飲むと眠くなります。
だから多くの人は
「酒を飲むとよく眠れる」
と思っています。
僕もそう思っていました。
しかし研究では逆です。
寝付きは良くなる。
でも睡眠の質は悪くなる。
特に
深い睡眠
REM睡眠
が減少します。
筋肉の回復は睡眠中に行われます。
成長ホルモンの分泌も睡眠中です。
つまり、
筋肉への悪影響はアルコールそのものより、
睡眠を通じて現れている可能性があります。
飲んだ翌日に身体が重い。
トレーニングの調子が悪い。
そんな経験がある人は少なくないと思います。
こちらの記事を読んでいただくとより理解が深まりますよ!
体脂肪はつきやすくなるのか
アルコールは1gあたり7kcalあります。
炭水化物やタンパク質の4kcalよりかなり高い数字です。
とはいえ、
アルコールそのものが直接脂肪になるわけではありません。
問題はその後です。
飲酒すると食欲が増えます。
ラーメン。
唐揚げ。
ポテト。
締めの炭水化物。
思い当たる人も多いと思います。
僕自身もワインを飲んでいると、
チーズだけで終わるつもりが気付けば色々食べています。
研究でも飲酒による総摂取カロリー増加が報告されています。
結果として、
体脂肪が増えやすくなるのです。
ワインは他のお酒よりマシなのか
ワイン好きとして気になるところです。
結論から言うと、
アルコールである以上、
筋肥大に有利になることはありません。
ただ、
比較的コントロールしやすいとは思います。
例えば、
ビールは飲みやすいので量が増えやすい。
ハイボールも気付けば何杯も飲んでいる。
その点、
ワインはゆっくり飲むことが多い。
結果として総アルコール量を抑えやすい。
筋肉に優しい酒というより、
飲み過ぎを防ぎやすい酒と言った方が正確かもしれません。
筋トレ前と後ならどっちがマシ?
答えは明確です。
筋トレ後です。
避けるべきなのは。
筋トレ後は身体が回復モードに入ります。
筋タンパク質合成が高まるタイミングです。
そのタイミングでアルコールを大量摂取すると、
せっかくの回復環境を邪魔してしまいます。
もし飲むなら、
休養日。
あるいはトレーニングからできるだけ時間を空ける。
これが現実的な落としどころだと思います。
筋肉だけじゃなかった。調べるほど気になった病気の話
ここまで筋肉への影響について書いてきました。
正直、調べ始めたきっかけは筋肥大でした。
筋肉は減るのか。
筋トレの効果は落ちるのか。
テストステロンは下がるのか。
そんなことばかり気にしていました。
でも論文を読んでいるうちに、
もう一つ気になることが出てきました。
それは、
「そもそもお酒って身体にどう影響するんだろう?」
ということです。
最近の研究では、
少量であってもアルコールによる健康リスクはゼロではないと考えられています。
特に影響が大きいとされるのが肝臓です。
肝臓はアルコールを分解する臓器ですが、
長期間にわたる飲酒によって
脂肪肝
アルコール性肝炎
肝硬変
などのリスクが高まります。
筋トレをしている人は健康意識が高い人も多いと思いますが、
どれだけ良い食事をしていても、
どれだけトレーニングを頑張っていても、
毎日の大量飲酒は肝臓に負担をかけ続けます。
またアルコールは、世界保健機関(WHO)や国際がん研究機関(IARC)によって発がん性が認められています。
特に関連が強いとされるのは、
口腔がん
咽頭がん
食道がん
大腸がん
肝臓がん
乳がん
などです。
これを知ったとき、
僕は少し驚きました。
筋肉のことばかり気にしていましたが、
本当に気を付けるべきなのは将来の健康なのかもしれません。
もちろん、
たまにワインを楽しむことと、
毎日のように大量飲酒を続けることは別問題です。
重要なのは、
お酒を敵視することではなく、
リスクを理解した上で付き合うことだと思います。
じゃあ筋トレしてる人は禁酒すべき?
ここまで読んで、
「結局飲むなってこと?」
と思う人もいるかもしれません。
でも僕はそうは思いません。
ボディビル日本一を目指すなら話は別です。
しかし多くの人にとって筋トレは人生を豊かにするためのものです。
健康になるため。
自信をつけるため。
人生を楽しむため。
その中には、
友人との食事もある。
家族との時間もある。
好きなお酒もある。
だから僕自身は、
筋トレとワインを両立したいと思っています。
もちろん飲み過ぎない。
トレーニング直後は避ける。
睡眠を犠牲にしない。
そうした工夫は必要です。
でも、
筋肉のために人生の楽しみを全て捨てる必要もないと思っています。
まとめ
今回論文を調べてみて分かったのは、
「酒は筋肉を溶かす」という言葉は少し乱暴だということです。
確かにアルコールは筋肥大にとってプラスではありません。
筋タンパク質合成は低下する。
睡眠の質は落ちる。
回復も遅くなる。
大量飲酒ならホルモン環境も悪化する。
さらに長期的には病気のリスクも上がる。
でも、
だからといってワインを1杯飲んだ瞬間に筋肉が消えるわけではありません。
筋トレも人生も長期戦です。
僕はこれからも筋トレを続けると思います。
そしておそらく、
ワインも飲み続けると思います。
だからこそ、
飲むか飲まないかではなく、
どう付き合うか。
それが一番大切なのだと感じました。
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参考文献
Parr EB, et al. Alcohol ingestion impairs maximal post-exercise rates of myofibrillar protein synthesis following a single bout of concurrent training. PLOS ONE. 2014.
Barnes MJ. Alcohol: impact on sports performance and recovery in male athletes. Sports Medicine. 2014.
Vella LD, Cameron-Smith D. Alcohol, athletic performance and recovery. Nutrients. 2010.
Ebrahim IO, et al. Alcohol and sleep. Alcohol Research & Health. 2013.
Steiner JL, Lang CH. Alcohol, adipose tissue and lipid dysregulation. Biomolecules. 2017.
World Health Organization (WHO). No level of alcohol consumption is safe for health. 2023.
International Agency for Research on Cancer (IARC). Alcohol consumption and cancer risk.
