イップス克服に向けて069:「どう思われるか」がイップスを強くする
『ファイア・ドーム』で描かれる“悪意なき噂”。
それは他人の話だけではなく、自分の頭の中で膨らむ思い込みにも似ています。
辻村深月さんの言葉から、イップスと人間関係について考えました。
▶“噂”とは、何なのか?
今朝のNHK NEWS『おはよう日本』に、直木賞作家の辻村深月さんがVTR出演。
長編ミステリ小説『ファイア・ドーム』(小学館刊)について語られました。
25年前、地方都市を震わせた百貨店受付嬢誘拐殺人事件。事件そのもの以上に町を焼いたのは、報道と「噂」、人々の知りたいという欲望だった
殺された被害者の家族が、実は犯人ではないかと疑われ、「もう言われてるよ! どうせ、親が殺したんだろうって!」との“噂”が主役の物語。
「お前の家族は殺人一家だ」
▶「知っている自分」になりたい
辻村さんは、「悪意なき噂」を『ファイア・ドーム』に綴ったと言います。
その心は――?
「大きな事件は、自分が関わりたい」
「自分だけが知り得た優越感で広まる」のが“噂”だと。
▶承認欲求を満たす装置としての“噂”
確かにそういう側面は、あると思います。
バラして人を貶めようとする悪意は、必ずしもないとしても、それを知っている自分がさも、優れていると錯覚できる。
週刊誌や暴露系が世直しつながることもあるのだろうけれども、そういう人間の持つ承認欲求を満たす機能をも、“噂”は担っている。
▶発信者として「言葉に責任を持つ」
番組は問いかけます。
不確かな情報が蔓延する中で、大切にしたいこと――。
辻村さんは「言葉に対して責任を持つ」と答えました。
これは何も小説に限った話ではなく、私のようにSNSに書く市井の人であっても同じこと。
言葉は残ります。
発信する以上、それだけの「責任」が伴うのだと、改めて重みを受け止めたしだいです。
▶言葉が人を傷つけ、人を救う
番組アナウンサーの井上二郎さんは、言葉は人を傷つける一方で、人を一歩踏み出させる力になる――そんな趣旨のことを述べていました。
そのとおりだと思います。
ここに、人がイップスに陥り、そして生還する本質が含まれている気がします。
▶人目は頭の中で猛威を振るう
人と対話する重要性についても語られました。
“噂”は、自分の中だけでも、勝手に一人歩きします。
人目の正体は「頭の中の住人」(関連記事「『周りの目』の正体」)。
いくらでも意地悪な妄想を膨らませることができてしまいます。
▶イップスを救うのも人
テニスのイップス――もちろん大元は「イメージのズレ」なのだけれど、私は「対人ストレス」によっても発症してくると思っていて、その一方で、イップスから助けてくれるのも、やはり「人」(関連記事「テニスは『人間関係』だ」)。
温かな人間関係に癒されたとき、自然と「気にならなくなる(すなわち治る)」のだと思います。
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テニスゼロ代表 吉田無型(よしだ・むけい)
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