テニス上達メモ565.上達の「旬」は、待ってくれない──大谷翔平とデコピンが教えてくれた投資の話(連載その6)
上達には「努力」よりも「タイミング(旬)」がある。今朝報じられた大谷翔平の絵本『デコピンのとくべつないちにち』は、収益を全額寄付するという「未来への投資」だった。投資はお金持ちの特権ではない。学びも支援も、旬のときに投じるからこそ、人は前へ進む。
▶投資は、まず体験から
連載その5では、金銭を投資することによって、人は前へ進まざるを得なくなる――その具体例として、世間でまことしやかにささやかれる「一万円のお賽銭」について、取り上げました。
それは、足るをする「体験」。
「1万円をお賽銭できたということは、自分は足りているのだ」と、潜在意識(セルフイメージ)が書き換わる。
言い換えればお賽銭は、「足るをする」体験という話でした。
「分かったつもり」ではなく、「やってみた」という実感。
体験すると、人は変わらざるを得ないのです。
「イメージがすべて」といったのは、アンドレ・アガシなのでしたね。
▶「外国のコイン」を財布に忍ばせる
とはいえ、1万円をお賽銭しなくても――そういえばある禅僧が、書いていました。
財布の中に「外国のコイン」を入れておくと、お金が邪魔に思えてくる、と。
すると、求めてばかりの執着(苦しみ)から解き放たれて、心が富む(関連記事「『求めない練習』がテニスにも効く理由」)。
外国のお金がなければ、ゲームセンターのコインなんかでも、いいかもしれませんね。
「いや、ゲーセンのコインで食べ物は買えないから富まないだろう」と言い張る人もいるかもしれませんけれども、そんなことはありませんよ。
むしろ使い道が限定されるからこそ、「遊ばなきゃ損だ」と、人を行動へ駆り立てる――前へ進む立派な投資なのです。
▶価値は、欲しがる人が決める
要は受給のバランスです。
みんなが欲しがるから、1万円札に価値があるだけの話。
みんなが石ころを欲しがればそれが「宝石」となり、富むのです。
「わらしべ長者」と同じ。
それを欲しい人と、自分が欲しいものとを交換すれば、富むのです。
▶受け取るより、与える
――需給のバランス。
受け取るばかりではなく、与えるのです。
くだんのノーベル化学賞・北川進先生は、基礎研究に投資しない国は経済成長しないと言い続けてきました。
逆に言えば、投資する国は富む。
前へ進む。
それは、お金だけに限った話ではありません。
言わんや物質だけではなく、サービスや気持ちの交換でも、富むことはできるのです。
ですから、寄付する人が富む(関連記事「寄付、賽銭、布施、その心は『富む』」)。
「子どもたちは僕たちの未来。恩返しがしたかった」とヤニック・シナー。
ほかにも当該記事では、トップ選手たちによる枚挙にいとまがない「支援」の話が綴られています。
▶未来は、支援から育つ
「優勝者には異例の500万円」という西岡良仁が主催するジュニア大会もそう。
テニスに限らず菊池雄星の、「未来を作る子どもたち」に向けた野球教室もその一環でしょう。
これらは儲け話というよりも、事業主を支援するのと同じ本来の「投資」。
子どもたちに投資して、明るい未来を人類が手に入れるのです。
▶大谷翔平の『デコピンのとくべつないちにち』
今朝、大谷翔平による寄付のニュースも報じられましたね。
来年の2月に『デコピンのとくべつないちにち』を、ポプラ社より発売。
大谷がマイケル・ブランク氏と共同著者として書き下ろした初の物語で、絵本による収益を全て慈善団体に寄付するそうです。
今オフはファミリー財団を設立し、社会貢献の場を広げているとのこと(スポニチより)。
▶差を分けるのは「応援力」
投資?
「そんなのお金のある人のやることだろう」と思うかもしれません。
しかし、そうではないのです。
投資(支援・応援)しない人は、お金持ちになってもしません。
する人は、お金がないうちからしています。
学生時代、大抵の人はお金がないけれど、肝心な時には出す人って、いたと思うのです。
一方社会人になっても、一切出さない人もいると思います。
その差は経済力ではなく、応援力なのです。
▶流れを作る技術
改めまして、
金銭を投資することによって、人は前へ進まざるを得なくなるのだ。
「締め切り」のようなものかもしれません。
ないと、前へ進まない(関連記事「24年という『待たされた時間』」)。
締め切りを設定したら、前へ進まざるを得なくなるのだ。
それは、前へ進む、上へ昇るための、ちょうどいいプレッシャー(関連記事「緊張と弛緩の『シーソーゲーム』」)。
流れを作る技術です。
▶学びにも旬がある
ついでに、テニスゼロのメンバーシップ「サロン楽屋話」も、その一つと申し添えておきましょうか。
その時々の旬の話題を、テニスの上達に結びつけてお届けしています。
学ぶのも投資(自他への支援・応援)。
その時々に学ばないと、身につきません。
「臨場感」が全然違いますからね。
ライブ観戦のようなものです。
▶一つ一つ、今やる
後からまとめて読むなんて、無理。
小1から小6までの勉強を、大人になってからやろうとするようなものです。
繰り上がりや繰り下がりの計算も、大人になった今から身につけるには、時間もないし、やる気もしない。
やっぱり「最適なタイミング」があるのです。
まさに本連載を通じてご登場いただいたノーベル医学・生理学賞、坂口志文先生の座右の銘「一つ一つ」です(関連記事「ノーベル賞・坂口志文先生が認めた『覚え方』──楽しいと人は勝手に天才化する(連載その2)」)。
▶投資は雪だるまのごとく膨れ上がる
おすすめなのは、「何とかしたい」という気持ちの時でしょう。
学ぶための「集中力」と「吸収力」が、否応なしに上がっているタイミングですからね。
その気持ちは確かに「欲」のひとつなのだけれど、原動力になり得るのです。
スティーブ・ジョブズは、「ハングリーであれ」と言いました。
お腹が減ったら、よりたくさん、より美味しく、吸収力高く、食べられるようなものです。
雪だるまのごとく、情報に情報がまとわりつき、指数関数的に学びが膨れ上がります(関連記事「米1粒の複利効果で、あっという間に100万石の大名!」)。
▶ちびまる子ちゃんが教えてくれる「学びの時」
ある家電量販店のラジオCMで、ちびまる子ちゃんが教えてくれました。
「人生は、そのときそのときが勝負なのさ」
妙に説得力があります。
「そんなセリフ、どこで覚えた」とツッコむキートン山田さんも、「子どものクセに」などと否定しません。
▶人生を分けたのは「ズレ」だった
なぜ、まる子の一言は刺さるのか?
それは「今じゃなくてもいい」「そのうちやろう」というタイミングのズレを、修正してくれるからです。
「今日はやめておこう」
「また今度でいいか」
そうやって見送った「わずかなタイミングのズレ」が、積み重なって、気づけば人生の大きな差になっていませんか?
▶今しかない栄養
あるいは、旬を逃した野菜を食べるようなものでしょうか。
あとからまとめて食べるなんて、無理。
枯れて、栄養もありません。
台所に、消費期限が切れてる食材はないですか?
いちばん美味しくて栄養価の高い「タイミング」を、逃していますよ。
▶旬を生きるということ
旬を逃さない。
それが、今を生きるコツです。
6度に渡った『テニス上達メモ』史上最長の連載に、粘り強くお付き合いいただきました。
あなたの背中を後押しする一助となれば、著者冥利に尽きます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com
テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
いいなと思ったら応援しよう!
スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero