人手不足に焦る前に、人事が立ち返るべき“思想”の話
採用活動という言葉に、ずっと違和感がある
「採用活動、どう進めますか?」
この言葉を聞くたびに、少しだけ引っかかる感覚があります。
採用活動。
たしかに間違ってはいないけれど、どこか言葉足らずな感じがするのです。
求人広告を出す、イベントに出る、スカウトを送る。
それらは確かに“活動”ですが、それだけを指して採用と呼んでしまうと、何か大事なものが抜け落ちてしまう気がしています。
採用は、マーケティングとよく似ている
この違和感の正体は、マーケティングの考え方と並べると少し見えてきます。
こちらの記事でも書きましたが
マーケティングではよく、
「リーチ(認知)」と「コンテンツ(中身)」の話をします。
どれだけ広告を回して認知を取っても、
商品やサービスそのものが良くなければ、人は買いません。
採用もまったく同じです。
どれだけ露出しても、
どれだけ説明会をやっても、
どれだけお金をかけて人を集めても、

中身が伴っていなければ、人は来ない。
地方・中小企業の現場で、実際に起きていること
以前、地方の中小企業の経営者と人事担当の方と、採用の相談をしていたことがあります。
「人が全然来なくて、正直もう打つ手がないんです」
求人広告、合同説明会、紹介会社。
やれることは、ほとんどやっていました。
ただ、話を深掘っていくと、
ある共通点が浮かび上がってきます。
どんな事業を、どんな想いでやっているのか
これから会社をどうしていきたいのか
その中で、なぜ人が必要なのか
この部分が、誰の言葉でも語られていなかったのです。
「何人採用するか」は短期目標にすぎない
だから、「今年は何人採用する」という目標は、
決して間違いではないけれど、短期的な指標でしかありません。
無理に数を取りにいけば、
入社後の違和感、育成コストの増大、早期離職。
結果として、現場はさらに疲弊します。
退職代行が珍しくなくなった今、
「合わなければ辞める」は、特別な選択ではありません。
本質は、会社の土台にある
中長期で採用を考えるなら、
まず向き合うべきは、求人票でも手法でもありません。
なぜ、この会社は人を採用するのか
どんな価値観で、事業を続けているのか
先ほどの会社も、
事業の背景や経営者の想いを、丁寧に言葉にするところから始めました。
派手な施策は増えていません。
それでも「ちゃんと話を聞きたい」という人が、少しずつ現れました。
数は多くない。
でも、ズレが少ない。
結果として、その会社では
「応募数は増えていないのに、採用後に早期離職する人はほぼいなくなった」
と、人事の方が話してくれました。

数字ではなく、納得感に握る
だから僕は、
「何人採用するからこの仕事をやる」という関わり方よりも、
この採用は、会社として納得できているか
採用する側も、される側も、腹落ちしているか
この安心感・納得感をつくることを大事にしたいと思っています。
数字に握ると、短期的には分かりやすい。
でも、思想に寄り添うと、長期的に強くなる。
採用は、会社の未来を言葉にする仕事
採用とは、
「人を集めること」ではなく、
「会社の未来を、言葉にして差し出すこと」なのかもしれません。
焦って人を探す前に、
まず会社自身が、どこへ行こうとしているのかを語れたらいい。
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