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種子島で知らない人に声をかける子どもと運動会【vol.3:山村留学のはなし】

種子島にある南種子町の山村留学制度「宇宙留学」で、東京から引越してきて約1年。

前回は小学校での授業の違いからの気づきについて書きました。

今回は、私たちが体験した、「教科書のない場面での学び」についてお話しします。


「運動会、親の観覧時間は1時間程度で、学年ごとの入替制です」

東京にいた頃、初めての運動会はショッキングでした。
子どもが出場する徒競走と玉入れを見たら親は解散。

決してそれが悪いわけではありません。
場所取りの必要も、お弁当を作る必要もなく楽といえば楽。
PTAの負担も少なく、合理的。
でも、どこか業務的。

自分の子供の頃の思い出でもある「運動会で家族みんなでお弁当を食べる楽しさ」も無く、少し寂しいとも感じました。

『べべべんべんとう』のこのシーンが無い!


「お客様」ではなく「当事者」になる運動会

こちらに来て、運動会は全く違うものでした。

グラウンドにいるのは、生徒と保護者だけではありません。
小学校と地域の運動会の合同開催という位置づけなので、近所の方も集まって、まさに「地域総出」

種目もユニークです。
小学生の徒競走や大玉ころがしはもちろん、地域伝統舞踊や、集落別チーム対抗競技もあります。
大人も子どもも混じっての縄跳びや自転車のリムを転がす輪回しリレーなど。
(大人たちも1,2週間前から練習もします!)
お年寄りのゲートボール競技や、日用生活品などが当たる鹿児島特有(?)の「宝つり」というものも。


準備も、先生方や保護者と地域の方々で、駐車スペースの草刈りや、万国旗張りなどを一緒に行います。
鹿児島の運動会では、杉の葉で飾りつけをした緑のアーチの「緑門」というものを作るのが伝統のようで、もちろんこれも全員で作ります。

これが緑門

そこには「学校行事に参加させてもらっている」というお客様気分はありません。
自分たちの手で作り上げる、という一体感があります。

お弁当ももちろんみんなで食べます。
(地域の方から、種子島産のドラゴンフルーツいただきました!)

運動会が終わると、もちろん全員で片付けをします。
夜は「反省会」という名の集落ごとの集まりがあり、地域のみんなで晩御飯(大人は飲み会)。

時間も取られるし、体力も使うけど、やらされているという感覚はまったくなく、懐かしさと満足感たっぷりの運動会でした。


「知らない人と話しちゃダメ」から「おじさん、何が釣れるの?」へ

この「地域との距離感」の変化は、普段の遊びにも表れています。

東京では、同じ小学校の人以外との関わりがほとんどありませんでした。
同じマンションの人でも、すれ違うときに挨拶をする程度。

防犯のこともあり、知らない人から挨拶をされても、返事をしないようにしているという話も聞きます。
子どもを守るため、理解できなくもないことです。
でもそれは、裏を返せば地域の人との関わりを断つことでもあります。

それが、種子島では姿勢が変わりました。


「ねえおじさん、何が釣れるんですか?」「この仕掛け、どうやるの? いい餌ある?」

家のすぐ近くに海があり、よく釣りに行きます。
そこで子どもたちは近くで釣っている、見ず知らずの地元のおじさんに、自分からトコトコと近づいていきす。

昔の私なら「迷惑だからやめなさい」と止めていたと思います。
でも今は、近くでそのまま見守っています。

おじさんたちも「お、この餌を使ってみな」「針はこの大きさが良いぞ」と釣り方を教えてくれたり、時には釣った魚をくれたりします。
今や、「魚もらえるかなー」とか言いながら話しかけに行く始末・・・

子どもたちは、大人に見守られ、可愛がられる安心感の中で、人と関わることの楽しさを経験しているようです。

もちろん、むやみに知らない人に声をかけられないですし、その線引きを子どもたちに理解してもらう必要もあります。
知らない人についていかないなどは、当然、種子島でも同じです。

声をかけに行く子どもたち。
自分で釣った魚よりも、もらった魚のほうが多いかも笑


正直なところ、東京に戻ったときに同じコミュニケーションができるか・すべきか、悩ましいのも事実です。
地域によって人との接し方を変えるのも違う気がしますが、、、

ただ、ここ種子島では地域全体が顔見知りのような温かい空気があり、初めて会う人にも「師匠」として教えを請うような関係を築けるのは良いなーと感じます。


都会か、田舎か。大切なのは場所じゃない

こうして書くと、「田舎の子育てが良くて、都会はダメ」と言っているように聞こえるかもしれません。
決してそうではなく、伝えたいのはそういう二元論でもありません。

地域の人とコミュニケーションをとること、自然の中で遊ぶこと、学校行事に関わること。
ふと考えると、なにも「田舎でしかできないこと」ではありません

意識さえ変えれば、東京でもできることは色々あるはず。
地域の人とのコミュニケーションも、運動会も、その場なりの良いやり方・最大限の楽しみ方があるはず。

ただ、種子島には都会に無い機会が日常として転がっています。
人や自然との繋がりを日々感じられる。
それが、この島で子育てをする一番の魅力なのかもしれません。

さとうきび刈りや黒糖づくりも体験させていただきました

他の地域の山村留学はどうでしょうか?ぜひコメントでも教えてください。


さて、教育っぽい話が続きました。
次回はガラッと変わって、私たちの暮らしのリアルについて。

「ロケット発射の轟音」と「恐怖のハサミムシ襲来」
最先端科学と泥臭い自然が同居する、種子島ならではの不思議な日常をお届けします。

良いことばかり書いてきましたが、正直に言います。
虫は多いです!笑


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