1クラス4人の小学校で見えた「少人数教育のメリット」【vol.2:山村留学のはなし】
「田舎の学校に行ったら、勉強が遅れるんじゃない?」
東京には有名な進学塾がたくさんあるし、周りの親たちも教育熱心。
「のびのび遊ばせたい」という気持ちの一方で、「いずれ東京に戻ったときに大丈夫だろうか…」と留学前は思っていました。
でも、実際に子どもたちを通わせてみて、その不安は間違いだったと気づきました。
今回は、種子島の小学校で経験した「少人数教育のリアル」についてお話しします。
種子島に山村留学した背景については、前回記事をご覧ください↓
ちなみにわが家の子どもたちが通っているのは全校30人ちょっとの小さな学校。
1クラス4~5人程度で、3・4年生、5・6年生は2学年で1クラスの複式学級です。
なぜ先生は授業を止めたのか? マニュアルにはない「最高の脱線」
ある日のこと。子どもが興奮気味に学校での出来事を話してくれました。
それは「虫眼鏡」を使った授業のときの話です。
クラスのある子が、ふとこんなことを言いました。
「ねえ、虫眼鏡で太陽を見ちゃダメなんだよ!」
確かに、教科書には必ず注意書きがあります。
「失明の危険があるから絶対に見てはいけません」と。
先生はこう言うでしょう。
「そうだね、〇〇くん正解。危ないから絶対にやめようね。じゃあ次のページに進みます」
でも、種子島の先生は違いました。
その子の発言を聞いた瞬間、先生はこう言ったそうです。
「じゃあ、なんでダメなのか実験してみよう! みんな外に行きましょう!」
30秒で校庭へ。「少人数」という贅沢な環境
もしこれが1クラス30人の教室だったら大変です。
靴を履き替えさせ、校庭へ移動して、その往復だけで授業時間の半分は終わってしまいそうです。
でも、ここは1クラス4人。
「行くぞ!」から校庭に出るまで、30秒もかかりません笑
先生は実際に虫眼鏡で太陽の光を集め、黒い紙をジリジリと焼いて見せてくれたそうです。
「危ないからダメ」というただのルールが、「光のエネルギーって紙を焼くほどすごいんだ」という「手触りのある知識」に変わった瞬間でした。
マニュアル通りではない、その場の子どもの興味に合わせたライブ感のある授業。
これが日常的に行われていることに、私は驚きました。
「田舎=勉強がゆるい」は大間違い? データが示す学力の高さ
「でも、やっぱり勉強の進度とかはのんびりしてるんじゃない?」
そう思われるかもしれませんが、実はそれも違います。
宇宙留学の歓迎式で、南種子町の教育委員長がおっしゃっていた言葉が心に残っています。
「『勉強よりも、自然の中で遊ばせてください』と言う親御さんもいますが、ここでは勉強もしっかりやってもらいます」
一見厳しく聞こえますが、教育委員長はこう続けました。
「自然の中で不思議に思ったことを言葉にするには『国語力』がいる。自然の仕組みを理解するには『理科や算数の知識』がいる。学びと遊び、両方あって初めて深い体験になるんです」
この記事を書くに当たって調べて知ったのですが、実は南種子町は学力が高いことが調査でもわかっています。
3年前の全国学力・学習状況調査では図の通り南種子町の結果が示されています。
(市町村別のデータが出ている最後の年が令和4年度でした)

もちろん一概には言えないですが、「田舎でのんびり=学力低下」という図式は、ここでは当てはまらないようです。
宿題は東京より多い!? 「究極の個別指導」の実態
子どもが種子島で唯一嫌なことと言っていたのが「宿題の量が東京の学校より倍近く多い」ことです笑
しかも、先生のチェックがおどろくほど細かい。
日記のコメントの量、漢字の赤ペン修正、計算ドリルの間違い直し…。
1クラス30人なら先生も見落としてしまうような小さなミスも、4人なら絶対に見逃しません。
授業中も、「分かっているフリ」をしてやり過ごすことは不可能です。
必ず発言の順番が回ってきます。
始業式や終業式、運動会など様々な場面で、全校生徒の前に1人で立つ機会も多くあります。
自分の言葉で考え、発表し、フィードバックをもらう。
このサイクルの速さはまさに「公立学校で受けられる、究極の個別指導」。
先生との2者面談では、先生が生徒たちのことを非常に細かく把握して、個別に対応されていることがわかり、とてもありがたく感じ、かつ安心できました。
他学年との交流が日常的
全校で30人程度しかいないため、他学年との合同授業や行事もたくさんあります。
休み時間も、サッカーやドッジボールなど、全校みんなで(先生方も)一緒に遊んでいます。
ここでは年上の子どもたちを「〇〇にいちゃん」「△△ねえちゃん」と呼ぶ習慣があります。
年下の子は年上の子に支えてもらいながら育ち、お互いにとても良い刺激を受けながら生活しているのがわかります。
「〇〇にいちゃんに逆上がり教えてもらった!」など子どもから聞いていると、異年齢教育のメリットもよくわかります。
偏差値も大切だけど、「学ぶ姿勢」はもっと大切
少人数教育は「競争がないからダメになる」のではなく、「個」をしっかり見てもらえるからこそ伸びる環境なのかもしれないと感じます。
先生との距離が近く、勉強も遊びも全力で向き合う日々。
ここで身につけた「自ら学ぶ姿勢」や「基礎学力」は、将来どこへ行っても通用する、一生モノの力になると確信しています。
小学校の先生をされている方は、色々な苦労もやりがいもあると思いますがどうでしょうか?
さて、学校での学びが充実していることはわかりました。
では、学校の外では?
次回は、教科書のない場所での学び。
子どもたちが身につけた「生きる力」の成長についてお話しします。
それでは、また次回の記事で!
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