見出し画像

将来の国宝!千葉にある「日本最古の文字入り鉄剣」


将来の国宝!日本最古の文字入り「王賜銘鉄剣」

市原歴史博物館には、将来国宝に指定されるであろう、ものすごい刀剣が展示されています。

市原歴史博物館

その名も「王賜(おうし)」銘鉄剣
(以下、オウシ剣)です。
2026年3月に国の重要文化財となり、今もっとも注目を集めている至宝です。

この剣は、5世紀中頃作で、国産の文字入り刀剣としては、国内最古 と考えられています。

そもそも、文字が刻まれた古代の刀剣は、全国でも数例しか発見されていません。

埼玉から出土した鉄剣とほぼ同じサイズの王賜剣

剣には「王が渡した剣」という趣旨の文字が刻まれています。

「王」は仁徳天皇の息子の允恭天皇と考えられ、ヤマトの大王から授かった特別な証です。

鉄剣に刻まれた「王賜(王が下賜した)」の文字


なぜ「地方の小さな古墳」から大発見?

5世紀以前に日本で作られた文字入りの剣は、オウシ剣を含めて国内に3本しかありません。

それらの出土は、千葉(オウシ剣)、埼玉(稲荷山古墳)、熊本(江田船山古墳)と、当時のヤマト王権の中心地から、最も遠い距離にあるという点で共通しています。

中心地で見つからないのは、後世に盗掘されてしまったからなのか。
あるいは中心地では、物よりも「位(役職)」の方が価値が高かったのか。

理由は色々と考えられますが、いずれにせよ、当時の地方の人々がこの剣を見れば、「これぞ宝物!」と驚愕したことは間違いありません。

オウシ剣は、直径28メートルほどの小さな円墳(稲荷台1号墳)から出土しました。

巨大な古墳を持たない地方の首長であっても、ヤマト王権の武人として直属で仕え、大きな手柄を立てて宝剣を賜っていたという、当時の地方豪族の姿が垣間見えます。

いつか、畿内の巨大古墳を調査すれば、想像もつかないお宝が出てくるかもしれません。

市原歴史博物館のレプリカで挑む「逆遠近効果」の検証

この博物館を訪れた理由はもう1つあります。
「前方後円墳の精巧なレプリカがある」と紹介されていたからです。

博物館の前方後円墳レプリカ

かねてより、「前方後円墳の形状は、視覚的な『逆遠近効果』を意識している」という仮説を立てており、以下の3条件を満たす前方後円墳を捜し歩いています。

- 墳丘だけで最低100メートルの長さ
- 築造当時の姿が再現されて、草木はないこと
- 実際に上に登れること

小さくとも、築造時の姿を再現した精巧なレプリカならば、この「逆遠近効果」を視覚的に確認できるかもしれない、と期待していました。

「逆遠近効果」の記事はこちらです👇

しかし、古墳のレプリカの上には登ることができませんでした。
必死に背伸びをしたり、手を伸ばしたりしてみたものの、円墳の上からのアングルで撮影することができず、今回は逆遠近法を確認することは出来ませんでした。

レプリカの円墳後方からの写真

原っぱのイメージが覆る!往時を復元した国分尼寺跡

気を取り直して、次に向かったのは上総国分尼寺跡です。

ここには立派な資料館があるだけでなく、国分尼寺のいくつかの建物が、奈良時代当時の姿のまま木造で復元されています。

当時の姿を出来るだけ忠実に復元した国分尼寺

通常、国分寺跡というと「原っぱに大きな礎石(いし)が8個ほど埋まっている」という光景が大半です。

ここほど本格的に建物が復元されているのは、初めて見ました。(日本では、ここと愛知県豊川市くらいだそうです)

恥ずかしながら予習不足でそれを知らなかったため、目の前に現れた鮮やかな天平建築の姿には非常に驚かされました。

やっぱり、石はありました。

しかも、こちらの素晴らしいガイダンスセンターは入場無料。
私が訪れた時はボランティアガイドの方がいらして、非常に丁寧に説明をしてくれました。

国分尼寺跡のガイダンスセンター

おかげで、「国分寺見学=原っぱで大きな石を見る」というこれまでの固定観念がガラリと変わりました。

これからは、他の国分寺跡を訪問した際にも、頭の中でより鮮明に往時の壮麗な姿を思い浮かべることができそうです。

奈良時代気分に浸れます

本日2度目の「逆遠近効果」確認

最後に、弁天山古墳を目指します。
事前に色々な前方後円墳の写真を見た限りでは、ここなら逆遠近効果が確認できるかもしれない、と睨んだ場所です。

まずは青堀駅で下車し、「古墳ふれあいの里」に立ち寄って情報収集。

千葉県南部には大きな前方後円墳が数多く点在していますが、「復元されている」「登れる」のは弁天山古墳だけのようです。

墳丘の長さは85メートルと、私が基準にしている100メートルには満たないのですが、期待は持てそうです。

青堀駅横の「古墳の里ふれあい館」

隣の大貫駅までの道中は、どの丘も古墳に見えて、期待が高まります。
大貫駅からてくてくと歩き、ついに弁天山古墳に到着しました。

目の前に現れたのは「草に覆われた」古墳。
私が見た写真には草がなかったので、おそらく冬に撮影されたのでしょう。
現在の季節は、緑の草がボウボウに生い茂っていました。

上には登れるけど、草で覆われた弁天山古墳

「上に登れば、視界が広がっているかも」と自分に言い聞かせて墳丘へ登ります。

しかし、上部の円墳部分はほぼ失われており、今は石室の展示室になっています。

円墳部分にある立派な石室

さらに古墳の左半分は、木々で完全に覆われています。残念ながら、ここでも逆遠近法の確認には至りませんでした。

仮に草木がなくても、やはり墳丘の長さは最低でも100メートルは必要だったと思います。

結果として、本日の検証は2連敗。

円墳部分がなく、左半分は木々で覆われ、
逆遠近効果は確認出来ませんでした。
そもそも、大きさも足りなかったようです。

しかしこんなことで負けてはいられません。
NOTEの読者の方から教えていただいた場所や、自分で調べた候補地が、まだ全国に5箇所ほど残っています。

これらを一箇所ずつ訪問し、自分の目でしっかりと逆遠近効果を確かめていく予定です。

そう考えると、兵庫県の五色塚古墳は、逆遠近効果を感じるには最高の場所かもしれません。

まだ訪れたことがない歴史ファンの方がいらっしゃれば、ぜひ一度足を運んでみてください。

円墳の上から淡路島方面を眺めると、きっと鮮やかな逆遠近効果が確認できるとともに、ここに葬られた古代の首長気分になれるはずです。

五色塚古墳から、瀬戸内海と淡路島と望む

歴史関係のシリーズは以下をご覧ください👇

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集