【ARIRANG】Derrick Milanoが語ったBTSと消失する国境線【ソングライター】
今度は「The Korea Herald」インタビュー!
前回「Billboard Korea」で語っていたソングライターが、お代わりを出してきました!( ゚Д゚)
Derrick Milano(デリック・ミラノ)
アメリカのソングライター・プロデューサー。ヒップホップとR&Bのヒットメーカー。『Savage Remix (feat. Beyoncé)』で第63回グラミー賞「最優秀ラップ楽曲賞」を受賞。BTSの「ARIRANG」ではソングライターとして6曲に参加。
よし読もう!と思って楽しみにしてたんですが、noteのメンテナンスやAMAsと被ったんでしばらく忘れられていました……。
note使えないと、書けないだけじゃなくて過去インタビューの自己参照もできないのが弱点でした。noteのバックアップはもう少しマメに取ろう、と反省しました( ;∀;)
ちなみにこの方は、「ARIRANG」に関わった全著作権者(バンタン除く)の中では、2番目に関与曲が多いです。
Pdogg
Derrick Milano
Diplo, Kirsten Allyssa Spencer

元動画
注意書き
申し訳ないですが、素人仕事なので品質保証はしかねます💦
引用する時は、この記事へのリンクを貼っていただければと思います。
※読みやすさ重視のため、改行を挿入しています。
※リンクや訳注は私が挿入しました。画像は元記事から。
Derrick Milano approached BTS as 'a student' — and ended up shaping 'Arirang'
(デリック・ミラノはBTSから学び、そして「ARIRANG」を作り上げた)
公開:2026/5/25 17:01:32 キム・ジェフン
グラミー賞を受賞した作曲家が、BTSの最新アルバムへの参加と、K-POPが音楽の融合によって発展している理由について振り返る
デリック・ミラノが初めてBTSと仕事をするためにLAのスタジオに入ったとき、彼は自分がどの曲を手がけることになるのかさえ知りませんでした。
彼が理解していたのはただひとつ。
既にすべてを知り尽くした「ヒットメーカー」のような態度で乗り込みたくはない、ということだけでした。
ビヨンセやニッキー・ミナージュ、ミーガン・ザ・スタリオンなどの曲を手がけ、グラミー賞を受賞したこの作曲家は、代わりに「一人の生徒」としてその録音作業に向き合いました。
その心構えがあったからこそ、最終的にミラノはBTSの最新アルバム「ARIRANG」に最も深く関わる制作者の一人となり、『Hooligan』『Aliens』『NORMAL』『Merry Go Round』『SWIM』『2.0』の6曲に参加することになったのです。
ジェニーからBTSへ
ミラノによると、BTSとのつながりは、BLACKPINKのジェニーに関連する以前の共同作業から始まったといいます。
彼がLAで仕事をしている時、BIGHIT MUSICのA&R(訳注:新人発掘・楽曲制作担当)部門の副代表であるニコル・キム氏から連絡がありました。
キム氏は以前、アメリカのコロムビア・レコードでA&R部門の副代表を務め、ハリウッドでのジェニーの宣伝活動を管理していた人物です。
「彼女は『あなたが手がけた作品の中には、私がファンとして好きなものがたくさんあります』と言ってくれました」と、ミラノは水曜日に行われた「The Korea Herald」インタビューで、アメリカの有名アーティストとのヒップホップを中心とした活動に触れ、振り返りました。
ジェニーとの初期の制作作業は曲の発表には至らなかったものの、ミラノは関係を保ち続けました。
数ヶ月後、彼の元に再び電話がかかってきました。今度はBTSに関するものでした。
「『あなたが手がけたある曲を、BTSと彼らのチームがとても気に入っています』と言われたのを覚えています」
その後まもなく、ミラノはLAにあるコンウェイ・レコーディング・スタジオでグループに会うよう招待されました。
世界最大級のグループと仕事をすることに緊張していた彼は、まずメンバーとの自然な関係を築くことに集中したといいます。
緊張を解くきっかけは、思いがけないことに「ファッション」でした。
スタジオに入る前に新しい服に着替えていたミラノに、J-HOPEがすぐに「かっこいいね」と声をかけました。
そこから、本格的な作業が始まる前にファッションや音楽についての会話が弾んだといいます。
しかし、実際の録音作業は彼をさらに驚かせました。
「自分が何の曲に取り組んでいるのか分かりませんでした」とミラノは言います。
「彼らは、メロディーとクールなポケット(訳注:リズムの心地よい隙間やノリ)が足りないんだと言っていました」
ミラノによると、BTSのプロデューサーであるPdoggが伴奏を流しながら、リアルタイムで彼に指示を出したそうです。録音を止めたり、歌の流れるようなリズムを調整したり、メロディーを導いたりしました。
ミラノは自分のやり方を押し付けるのではなく、BTSのクリエイティブなシステムに、慎重に自分を合わせたといいます。
「僕にとってこれは新しい世界でした。自惚れた態度で入りたくなかったし、知ったかぶりをするような振る舞いはしたくありませんでした」
その柔軟な姿勢が、アルバムにおける彼の役割の中心となりました。
ミラノは、型破りな歌のリズムやメロディー構成で知られるアーティストからヒントを得て、まるで自分自身がその曲にゲスト参加しているかのようにメロディー作りを始めたと説明しました。
その作業は、最終的にある曲から別の曲へと雪だるま式に広がっていきました。
「『Hooligan』から始まり、『Aliens』、『NORMAL』、『Merry Go Round』、『SWIM』、そして『2.0』へとつながっていきました」
ミラノは、自身の参加が、BTSにとっても聴く人にとっても追いやすいメロディーとリズム構成を作るのに役立ったと信じています。特に、このアルバムの多くが英語で録音されたからなおさらです。
「RMはラップを愛しています。彼は自分のラップのリズムの取り方をとても大切にしています」とミラノは言います。
「僕はそれを彼らが歌いやすく、なおかつファンにも理解しやすいものにできたのだと思います」
これら6曲の中で、ミラノは『NORMAL』が個人的に一番のお気に入りだといいます。理由は、その曲が持つ感情的な脆さです。
「周りから見過ごされたり、期待されていなかったりした人たちが感じるような感覚です。これは現状を打破するための曲です」
彼はまた、2026/4/4にビルボードの「HOT100」で1位を獲得した「ARIRANG」のメイン曲『SWIM』を取り上げ、そのメッセージがやる気を与えてくれる普遍的なものだと強調しました。
「『Keep swimming(泳ぎ続けろ)』が一つの合言葉のようになっています。立ち止まらず、戦い抜き、すべての壁を押し退けて進まなければならないんです」
BTSの完璧主義な考え方
長年ソロのスターたちと仕事をしてきたミラノですが、BTSが際立っていたのは、すべてのメンバーが完璧主義レベルの熱意でプロジェクトに取り組んでいたからだと語りました。
「彼らは、ある録音が完璧だと思っても、更に良くしたいと考えるんです」
彼は特に、英語が多い曲を録音する際の、メンバーの発音と言葉の明瞭さへのこだわりに賛辞を送りました。
「彼らは特定の単語を正しく言い、正しい発音で歌うことを求めていました」
またミラノは、BTSが創作活動におけるリスクを恐れない姿勢のおかげで、K-POPの枠組みの中で自分自身のヒップホップやR&Bの直感を完全に発揮できたと語りました。
「彼らは世界的なアイコンだからこそ、他の多くのアーティストには取れないようなリスクを取ることができるんです」
境界線のないK-POP
ミラノにとって、現代のK-POPはもはや一つの音色に縛られていません。
彼はそれを、ポップス、ヒップホップ、ダンス、ロック、R&Bが自由に共存できる「融合の場」だと表現しました。
「K-POPは、様々な世界的なサウンドの融合だと思います」
ミラノはそのジャンルを混ぜ合わせる手法を、マイケル・ジャクソンやプリンスのようなアーティストの作品と比較しました。
世界で最も影響力のある音楽家たちが象徴的な存在になれたのは、まさに彼らが一つの音楽の枠にとどまることを拒んだからだと語ります。
「マイケル・ジャクソンの音楽を知ってから、プリンスや特定のアーティストの曲のタイプに注目してみると、それは伝統的なサウンドではありませんでした。彼らは色々なものを混ぜ合わせ、ダンスの要素を加え、それからポップスを加え、そしてロックを加えていたのです」
彼は、BTSが同じような音楽における柔軟性を持っているからこそ、ジャンルや観客の壁を越えた自然なコラボレーションが可能になっている、と語ります。
「BTSがテイラー・スウィフトのようなアーティストをゲストに迎える曲も想像できますし、逆にフューチャーのようなアーティストを迎える曲も想像できます。ビリー・アイリッシュと一緒に曲を作るBTSも想像できます。
何故なら、彼らは今、音響的にサウンドを広げており、チャンスを掴み、リスクを取ることができる状況だからです」
K-POPでの英語による歌詞の増加を批判するのではなく、多言語の音楽はグローバルなコラボレーションを広げるのに役立つ、とミラノは主張しました。
K-POPは韓国語と英語の歌詞のバランスを取るべきかという質問に対し、彼は「両方あるべきだと思います」と答えました。
「アメリカ人である私たちも、他国の言語を学ぶ必要がありますからね」
ミラノは、BTSと仕事をしたことで、グローバルな音楽業界そのものに対する見方も変わったと語りました。
「これは、まさに世界的なジャンルなんです」と彼は言いました。
BTSの最も野心的なアルバムの一つに貢献した今、ミラノは単なる曲ごとの参加にとどまらず、クリエイティブな側面に全面的に関わることで、K-POPにさらに深く関わっていきたいと望んでいます。
「プロジェクト全体を監修する手助けがしたいですね」と彼は言いました。「最初から最後まで、すべてを」
感想
前の記事でもこちらでも、「BTSは完璧主義者だ」と言っていて、よほど印象的だったんだなと思いましたw
前回はバンタンが互いに尊重し合い、楽曲について語り合う様子を語ってくれていて嬉しかったのですが、今回はもっと広く、彼らが体現しているK-POPとグローバルサウンドの境目の話が語られてますね。これはこれで興味深いです!
私は異文化の話が好きなので、音楽における別文化の衝突とか、広がりとか、そういうものが感じられる部分も大好き( *´艸`)
ジャンルを広げているのは誰なのか
「境界線のないK-POP」の項は面白かったです。受け取り手によって、解釈が少し変わりそうな気もしますね。
K-POPはジャンルミックス性を持っている、というのはあると思います。
音楽+αで色んなもののいいとこ取りをして、独自の美学でまとめ上げているジャンルのように感じます。
その中でも、「HIPHOPアイドル」というかなりの魔獣合体じゃなかった冒険的スタンスから始まったバンタン。
異種格闘技状態の設定を成立させた力量が凄いなと思っていたので、彼らのノンジャンル性を「リスクを冒せる立場にいる」と表現する言葉が物珍しく、興味深く思いました。
なるほど、ヒップホップ戦士方面から見れば最初からリスク冒しまくりな気がするけど、グローバルスター方面から見れば確かに、「押しも押されぬ立場にいるからこそ冒険できる」的な印象もあるかもしれません。
アメリカ音楽業界から見れば、強大な基盤と影響力があるからこそ既存のスタイルに則らず、主体的に実験的なアプローチも取っていけるという解釈は納得です。
これは私の感想なので、別に見方が浅いとかそういうことを言うわけじゃないんです。立場が違えば見えるものが違うというだけです。
そんなDerrickが、バンタンをマイケル・ジャクソンやプリンスのような「ジャンルの融合の場」と見立てている表現は興味深かったですね。
この文脈で行くと、「K-POP自体が持っている『ジャンルの坩堝』としての器が、バンタンの人気や実力と出会うことで、更にグローバル方向への進化を見せるのでは」という予想もできるなと思いました。
英語で歌うという選択を、グローバル狙いの切り札や「上がり」として捉えるのではなく、多様性の一環として受け止めている様子も、印象に残りました。
「ARIRANG」が見せてくれる、もう一つの国境
様々な関係者のインタビューを見ていると、同じ業界の中にも国境線があり、文化があることに気付きますし、多くのインタビュイーがバンタンと仕事をしその経験を話す中で、自分の中にあるそれと出会っていることもわかります。
K-POP出身のバンタンが西洋中心の音楽業界や、第三世界のアーティスト達に与えた影響は、「めっちゃ売れる凄いスターが出た!」という数字のインパクトだけでないのだろうなと思います。もっと深く静かに価値観を振動させていく、海底を流れる深層海流のようなものを感じました。
彼らがファンだけでなく、発信者であるアーティスト達に少しずつ小さな変化をもたらしていった先には、いつか何かが大きく動く瞬間が待っているのではないでしょうか。
マイケル・ジャクソンの歌う『Black or White』を聴いて育った世代が、アメリカの次代を担いオバマ政権を迎える土壌になったように。
音楽はそれだけの力を持っていると私は信じていますし、バンタンがARMYの心に根付き、ただのファンネームをライフスタイルのように変えていく姿を見るにつけ、その未来はあるのかもしれないという考えが浮かびます。
Derrickのインタビューは、私に新しい未来を垣間見させてくれました。面白かったです!
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