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令和8年度中小企業診断士一次試験難易度アンケート結果&TACデータリサーチ速報を講師がまとめてみた

受験生のみなさん、本当にお疲れさまでした!

まずは、あの二日間を走り切ったことを讃えたい。長期間にわたる勉強、本当によく頑張った!そう、心から労いたい。

毎日毎日、たくさんのことを覚え、理解し、問題を解き続けるのは、想像以上に大変だったはずだ。

プレッシャーや不安もあっただろうし、時には心が折れそうになったこともあっただろう。

それでも諦めずに努力し続けたあなたは、本当に素晴らしい。

さて、この記事では、TAC講師のわたしが2026年8月上旬に実施した独自アンケート(122名)と、TACデータリサーチの速報値を突き合わせながら、今年度一次試験の“難易度体感”を解説する。

今年は、受験生の体感がどれだけ正確だったかを、数字で検証する。


難易度アンケートの結果

選択式設問は122名、自由記述は55名から回答をいただいた。

受験科目数──7科目受験が4割。

まず、母集団の性質を確認しておく。

令和8年度中小企業診断士第一次試験 難易度アンケート by TAC講師つだまどか × QCCより

7科目受験が圧倒的に多い。

7科目受験者は、①初学者 ②2次試験リベンジ組 ③来年に向けての保険受験者である。

偶然だが、去年のアンケートでも7科目受験が40.2%だった。小数点以下まで一致している。

最も難しかった科目──1位は経済学。だが本当の異変は2位以下にある

ここが今年最大のポイントなのだ。

令和8年度中小企業診断士第一次試験 難易度アンケート by TAC講師つだまどか × QCCより

1位は経済学・経済政策だ。

だが、わたしが本当に驚いたのはここではない。去年、この設問の1位だった「財務・会計」は59.8%を叩き出していた。一極集中と言っても過言ではないレベルだ。

今年の1位は35.2%。しかも2位以下が10%台前半でずらりと横並びになっている。つまり今年は、受験生がそれぞれ別の科目で苦戦した年なのだ。

最も易しかった科目──「特になし」が21.3%で2位に食い込んだ

これは、なかなか見ない光景である。

令和8年度中小企業診断士第一次試験 難易度アンケート by TAC講師つだまどか × QCCより

「易しいと感じた科目は、ひとつもなかった」そう答えた人が、5人に1人いる。

去年のこの設問は、「中小企業経営・中小企業政策」が47.1%を占めた。白書のデータをそのまま問う素直な出題が続き、暗記型の受験生がごっそり得点を稼いだ、いわばエンジェル科目だった。

今年は、目立ったエンジェル科目はない。


TACデータリサーチ速報値(科目別)

ここから、答え合わせに入る。TAC診断士講師室から共有された速報値は、以下のとおりである(毎年、分析のプロ秋田講師が試験の2日後あたりに速報を出してくれる)。

TACデータリサーチ速報値より

全体(1マークシートあたり)の平均点は57.10点、前年比+0.62点

57.10点は、合格率27.5%だったR6の56.59点より高く、合格率28.9%だったR4の59.32点より低い。

秋田講師は、合格率28%前後、無難に見て25〜29%と予測している。

去年(令和7年度)の一次試験合格率は23.7%(合格者4,344人)だったから、予測どおりなら5ポイント程度の上昇ということになる。

なお、加点調整についても言及があった。過去4回行われた加点調整のうち、平均点が最も高かったのはH28の経営情報システムで45.24点。

今年は最も低い経営法務でも53.18点あるため、加点調整が入る可能性はほぼないと見てよさそうだ。

ただし、いずれかの科目で全員正解問題が出る可能性は否定できないので、「最終的な合否は蓋を開けてみないとわからない」という受験生も一定数いるだろう。


今年を一言で表すなら「爆弾もエンジェルも消えた年」

次に、科目別平均点のバラつきを計算してみた。

TACデータリサーチ速報値より抽出

科目間の格差が、ほぼ半分に縮んでいる。去年は「財務で苦戦しつつも、中小で挽回した」という受験生が少なくなかった。

今年は違う。科目間格差が一桁台ということは、わかりやすい稼ぎどころがないということでもある。

「易しい科目は特になし」が21.3%という結果は、この構造をそのまま映している。


受験生の体感は、どれくらい当たっていたのか

独自アンケートの「易しい%」から「難しい%」を引いた数値を、体感スコアとしてTACデータリサーチ速報値と並べてみた。

TACデータリサーチ速報値と
令和8年度中小企業診断士第一次試験 難易度アンケート by TAC講師つだまどか × QCCより抽出

相関係数を計算してみた。

  • 前年からの変化(前年差)と体感スコアの相関 … 0.67

  • 今年の平均点そのものと体感スコアの相関 … 0.79

かなり高い。

つまり受験生は、「去年より下がったかどうか」ではなく「今年、実際に取りにくかったかどうか」を正確に感じ取っている

試験直後の「難しかった」「できた」という感覚は、決して気のせいではないのだ。やはり、一見数字では測りづらい受験生の生の声は有効なのだ。


去年の経験則は、見事に裏返った

リベンジ組ほど、足をすくわれたのかもしれない。ここが今年の最も厳しい部分である。

中小企業経営・政策:68.09 → 58.51(▲9.58)
 去年のエンジェルが、今年は最大の下落幅

経営情報システム:50.87 → 59.63(+8.76)
 去年の最下位が、今年は上位に

財務・会計:51.34 → 57.65(+6.31)
 去年の爆弾が、今年は稼げる科目に

TACデータリサーチ速報値より抽出

去年の受験生が学んだ教訓は、「財務で落とさないように」「暗記系の中小で稼ごう」だった。

今年、その二つはきれいに入れ替わっている。

独自アンケートで中小が「難しい」3位(12.3%)に入っているのは、これを浮き彫りにしている。

去年を知っている人ほど、中小を得点源として計算していたはずだからだ。


経済学は、例外だった

唯一、数字と体感の温度差が大きかった科目がある。経済学の平均点は53.37点。

たしかに低いが、経営法務の53.18点よりは上である。前年差も▲2.93点で、中小の▲9.58点に比べれば小さい。

にもかかわらず、「最も難しかった科目」で35.2%という突出した数字を集めている。

なぜか。独自アンケートのコメントに、その答えらしきものがあった。

経済学、解き方を覚えて来ただけでは点はあげません、と言われているようでした

令和8年度中小企業診断士第一次試験 難易度アンケート by TAC講師つだまどか × QCCより

平均点の下げ幅が小さくても、想定外だと「自分のやり方が否定された」という感覚が強く残るのかもしれない。

同じようなことは運営管理にも言える。

平均点はほぼ横ばい(▲0.38点)なのに、体感では難しい2位(14.8%)。

コメントには「運営管理が新論点ばかりで自力が試されていました」とあった。


コメント55件をじっくり読んでみた

独自アンケートの自由記述でいただいた55件のコメントには、すべて目を通した。

そのうえで、頻出テーマを機械的に集計してみた。

令和8年度中小企業診断士第一次試験 難易度アンケート by TAC講師つだまどか × QCCより抽出

最多は「過去問やテキストの範囲外から出た」という声である。

いくつか紹介したい。

テキスト、答練、模試などの範囲から出題されるケースが激減したと感じます。

過去問だけをやっていれば合格できる時代は終わったのではと感じています。

表層的な理解では太刀打ち出来ないと感じました。

科目を跨いだ問題が多い印象。感覚ですが過去問対策だけでは合格しない気がしました。

一方で、こういう声もあった。

初見の論点が多すぎましたが、人生経験に基づく読解力で選択肢を絞り粘ることで、7科目とも60点以上取れました。

難しい科目は四十点を切らない戦いに切り替え、いかに取れる問題を落とさないかという意識が足りなかったと感じた。

前者は、知識だけではなく取り組み姿勢で勝った人である。

後者は、取り組み方の設計が足りなかったと自己分析している人だ。

どちらも、今年の試験の性格を正確に捉えている。

そして、ちょっと笑ってしまったのがこれ。

足切りどころか腰から斬られた

笑いながら、胸が痛んだ。


「8割取れた感覚で、44点」が意味すること

今年いただいたコメントの中で、わたしが最も真剣に受け止めたのはこれだ。

情報が8割取れた感覚でしたが、44点と大幅下振れしてしまい、これから原因確認します

自己評価と実際の得点が、36点ずれている。

これは自分の理解度を測る物差しが正確ではないという問題だ。

しかも経営情報システムは、平均点が+8.76点と最も上昇し、アンケートでも「最も易しかった科目」1位(24.6%)を取った科目である。

易化した科目ほど、自己評価は甘くなる。

そして、この「手応えと結果のズレ」は、二次試験で本格的に牙をむく。

二次は公式では正解が発表されないため、自己採点ができない試験だ。「書けた気がする」で終わった科目が、40点台なんてことは日常茶飯事である。

だからこそ、二次では自分の感覚ではなく、再現可能なプロセスで答案を作る必要がある。


それでも、データを鵜呑みにしてはいけない

ここまでデータの話をしてきたが、最後にひとつ釘を刺しておく。

去年のこの記事で、わたしはこう書いた。

「TACデータリサーチでは全体平均点が前年比▲0.11点で『前年並み』と評価される一方、受験者の体感では各科目の難化が強く印象に残っていて、統計と体感に温度差が見られる」

では、去年の結果はどうだったか。

令和7年度の一次試験合格率は23.7%。前年の令和6年度は27.5%だった。

3.8ポイントの低下である。平均点は前年並みだったのに、合格率は大きく下がった。

つまり去年は、受験生の体感のほうが当たっていたのだ。

今年の予測は25〜29%。

数字は嘘をつかない。だが、数字はすべてを語らない

合格発表の9月1日(火)までは、誰にも結果はわからない。


一次試験は通過点にすぎない。本丸は二次筆記試験だ

当たり前のことだが、一次突破がゴールではない。

真に合格を決めるのは、ペーパーコンサルティングが要求される二次筆記試験である。

そして今年は、これまでと決定的に違う点がある。

令和8年度から、二次試験の口述試験が廃止された。

筆記試験の合格が、そのまま最終合格となる。

つまり、10月25日そのものが最終決戦なのだ。

さらに押さえておきたいことが3つある。

残り80日しかない
答案作成プロセスを身体に染み込ませるには、ギリギリの期間だ。

事例ごとに切り口がまるで違う
事例Ⅰ〜Ⅳで問われるものはバラバラ。早期に“型”を確立した者が強い。

一次の貯金はリセットされる
二次では全員横一線。暗記偏重型はここで苦戦しがちなので要注意だ。

合格の鍵は、“正しい理解” × “トレーニング量”である。

自己採点でボーダー上にいる人は、9月1日を待っている時間がもったいない。

今日から二次対策を始めてほしい。

そして、残念ながら自己採点で合格点に届かなかった人にも、同じことを言いたい。

この時期は、ぜひ気持ちを切り替えて二次対策に取り組むことをおすすめする。

なぜならば、来年の合格に向けてリベンジするにしても、二次対策を経験した上で行うのとそうでないのとでは、雲泥の差だからだ(ただし、月間の勉強時間が50時間未満など、確保できる時間が極端に少ない場合は除く)。

今年のデータが示したとおり、去年の経験則は、来年そのままでは通用しない。


最後に、いただいたコメントをひとつ

これを読んで、わたしはこの仕事をしていてよかったと思ったのだ。

診断士受験今年で3年目となりますが、ようやく自己採点ですが2次試験に進めそうです。高校受験に失敗してからずっと試験自体がトラウマになっていました。2次はこれからなので本番はこれからなのですが、ようやく気持ち的に解放されて自信に繋がってきていると思います。受けてよかったです。

試験を通じて、点数を取りにいく過程で、人はこんなにも変わる可能性があるのだ。

だから、今年合格ラインに届かなかった人にも言いたい。

あなたが積み上げたものは、きちんと残っているよ。


最後に、宣伝

自分で言うのもなんだが、わたしは二次対策を教えるのが大得意なのだ。

お申し込みはこちら⬇️

今年は初のハイブリッド開催なので、遠方の方も参加できる。ここからの80日をどう使うか、一緒に設計しよう!

それでは、健闘を祈る!!

おもしろかったら、“スキ”や“シェア” お待ちしています!

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