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ニューサムに見る民主党の嘘②生活費高騰(affordability)

カリフォルニア州知事ニューサムのインタビュー解説、全5回。第一回はこちら。



生活費高騰(affordability)に関してのニューサムの返答

レイサン:
生活費高騰について。北カリフォルニア、サンフランシスコでは最低時給が$18ですが、平均的な1BRの賃貸料は$3000/月です。この現状への批判は、米国資本主義に対する批判と同義と言って良いでしょうか?カリフォルニア州はシリコンバレー企業を特待して来ました。それが息を呑むような経済格差に繋がり、一般市民の生活を苦しめています。このような構造が全国で見られます。上位1%の企業を待遇する政府に一般の国民は取り残されていると感じています。その点についてどう取り組みますか?

ニューサム:
それは自由企業資本主義の問題ですね。30年来の社会問題です。2/3の富を上位10%の人口が掌握し、

その10%が消費の50%を担っています。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-09-16/top-10-of-earners-drive-a-growing-share-of-us-consumer-spending

経済から多くの人が弾かれています。バーニー・サンダースはその事を指摘し人々の共感を得ています。バーニーのような政治家はそのような構造を根本的に理解していますね。ただ、理解している事と、現実に結果を出すことは別です。私の信条は「成長」です。それが州の誇りです。イノベーション、起業精神。それを潰したくありません。

私は他人が成功して富を手に入れることを妬むタイプの政治家ではありません。素晴らしいことだと思います。私も民間出身です。大学卒業すぐにレストラン・ワインショップをはじめました。$7500を元手に13人の投資家を得、21店舗、従業員千人まで成長させました。自慢している訳でなく、起業家としての情熱の話をしています。もちろん不公正な世界ではビジネスも育たないと言う現実も理解しています(インタビュアーは黒人。ビジネスの世界でももちろんPOCには余計に負荷が掛かることは分かっている、とアピールしている)。ですから私の描く「成長」には「包括性」も含まれます。

リベラル政治家の左派用語キャプチャー

ブリアナ:
カリフォルニアの経済格差の原因が資本主義なのでは無いかとストレートにぶつける素晴らしい質問でした。ニューサムの返答は、多くの民主党議員達にも見られるスタイルです。生活費高騰が一般市民の1番の不安事項であると分かっている。それによりバーニー・サンダースや、(ニューヨーク市長候補)ゾーラン・マムダーニ(彼については後に詳しく語られる)に人気が集まっているのも理解している。なので彼らは以下のフレーズを持ち出す。

「2/3の富が上位10%に集中している。」

これはサンダースの「1% vs. 99%」の(階級意識を含めた)表現。ニューサムはこの問題を長年指摘して来たバーニーを称賛さえする。しかしその直後に「彼の政治信条は理解するが彼の解決法には賛成できない。」釘を刺す。自分は他人の成功を妬まない。自分も「自助」で成功した(ニューサムは富豪一家の出身である。カリフォルニアの4大華麗なる一族家系はブラウン・ペロシ・ゲティ・ニューサム)。

この論旨の切り替えについてどう思いますか。

ウルフ:
確かに「切り替え」ていますね。富と収入の不均衡な配分に関して聞かれて、「成長です」と答える。最後にちょろっと「包括性」を付け加えて。

パイの分配→「成長!」

ウルフ:
メトセラ並みに古いレトリックです。

富裕層の者たちは自分達が裕福だと知っている。その事実は彼らに恐怖を植え付ける。当然です。あなたがこの裕福な州カリフォルニアのビリオネアだとしましょう。あなたの周りにはテント暮らしをするほど貧しい人々がごまんといます。高速に乗る前にそのテント地域を通るでしょう。

An aerial view of the Urban Alchemy tent village along South Central Avenue in Los Angeles. (Jay L. Clendenin / Los Angeles Times)

富裕層は、自分たちが貧困層の海の上にいる一握りの人間であることを理解し、(いつか仕返しされるのではと)心配している。パイがあって富裕層がほとんどのスライスを独占している「分配」に対して不満が上がった時、彼らが提示する解決策は

「パイ自体を大きくすればいいじゃないか。」

分配率は変えずに母数を大きくすれば富裕層はより裕福になるし、貧困層も今より多くを享受できる、と。

「不均衡・不平等の解決法は成長だ!」

それを証明するのが俺の自助ビジネスだ!と盛った逸話までつける。完全なナンセンスです。問題は富の分配です。カリフォルニア州のその問題は100年以上の問題。誰も分配に関して配慮をせず、成長を追いかけた。そして何も解決していません。「成長」では解決できない。それがまず1点。

もう一点はその「成長」に関して。パイ自体を大きくすると言います。中国がそれを実現しています。勿論中国にも様々な問題があります。中国が完璧な国家だという訳ではありませんが、パイの成長に関しては中国は確実に成功しています。過去35年間毎年GDPを米国の2−3倍の速さで成長させています。ニューサム氏は「起業家精神を奨励!」と言いますが、中国が奨励していないとでも言うのでしょうか?起業家を育てることにも成功していますね。EV、ソーラーシステム、チップ、、。米国は「成長すればいいんだ」と言いますが、それも上手く行っていません。だからこそ批判が出る訳です。

この2025年に私たちに向かって「成長です!。。。。あと包括性も」とは。既にパンクした車輪を再発明しているようなものです。

トリクルダウン

ウェア:
この「上げ潮は全ての船を持ち上げる」的な経済思想はレーガンの時から耳にタコが出来るほど聞かされて来ましたね。トリクルダウン経済と呼ばれるものです。民間セクターを先に食べさせる。19世紀にも既に存在していた理論でその頃は"馬とスズメ理論(horse and sparrow economics)"と呼ばれ多くの経済学者にバカにされていました。「馬に消化できないくらいのオーツ麦を与えれば糞に残りかすが混ざるので、それをツバメが食べる」と言うものです。それがトリクルダウン理論の本質です。

身も蓋もない


これらや(第一回に登場した)Abundance、どちらにしろ資本家のプロパガンダです。

GMは原材料の鉄鋼より従業員のヘルスケアに支出を割いています。我々が個々の企業利益を優先する余り、社会全体の利益を改善できない事が、実はビジネス全体の利益減に繋がっています。

州建ての州民皆保険。ニューサム氏は実はこれを公約に選挙を勝ち抜きましたが、当選した直後に無視しました。あるいは2007年、2008年、シュワルツネガー知事が拒否権行使すると分かっている時だけ州の民主党は皆保険法案を通しました(本気で実現する意思は無い)。

しかし州民皆保険が実現すれば、ビジネスオーナー達はカリフォルニアに殺到するでしょう。企業のヘルスケア支出が無くなるのですから。そして労組は健康保険のカードで黙らされる事なく労働環境の交渉をする事ができるようになる。中小企業と大企業の不均衡な力関係も是正することができます。皆保険を整えることで健康的な経済を実現できるのです。

2026CA知事選に出馬しているウェア氏も、この2026MI上院選候補のエルサイード氏も、皆保険が中小企業の成長を促すと主張している

続く。


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