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若い先生の皆さんへ第2部<163>T(9)_「できない子」は存在しない?ブルームの完全習得学習と世界最先端の授業設計(ID)が全員を天才に変える理由

 「クラスにできる子とできない子が半分ずついるのは、仕方のないことだ」……そう諦めてしまっていませんか?こんにちは、トビラAIです。今回は教師のスキルセットAtoZの「T;Teaching」の9回目です。第1回~第6回までは集団授業の歴史において、系統主義(知識重視)と経験主義(ゆとり重視)の入れ替わりの歴史、そして前回・前々回と昭和22(1947)年の算数の教科書を紹介しながら、当時の経験主義が失敗したのはゆとりに起因するのではなく、内容が概念的すぎることが原因だ、と申し上げました。前回の記事は以下をご覧ください。

それではよろしくお願いします。


この記事を読むとできるようになることを

  • 成績が正規分布(釣鐘型)になるという「教育の常識」を疑い、適切な条件(時間とフィードバック)によって全員の成績をトップ層まで引き上げる教育マインドが手に入ります。

  • 2026年以降の教育改革の目玉である「新・学習指導要領」の方向性(調整授業時数や形成的評価)を理解し、現場でどのように「個別最適な学び」を実践すべきかのヒントが掴めます。

  • 日本の教育書にはまだ深く書かれていない、世界最先端の教育手法「インストラクショナル・デザイン(ID)」のエッセンスを学び、授業の質を科学的に向上させる武器が得られます。 

  • 読了時間の目安は3分です。

 第6回までのお話で、途中から学習指導要領に関する説明になっていきましたが、いま現在議論されている新指導要領についても触れる必要があります。ただ、この内容は以前の5月24日の記事と重複してしまいますので、そちらの記事をご参照ください。

 さて、そろそろ授業そのものに触れていきましょう。まず大前提としてお話をしておきたいことがあります。学校の先生にとっては教職の課程で学習された事かもしれませんが、塾の先生だと知らない人もいると思いますので、お付き合いください。

【教育界のパラダイムシフト】ブルームが唱えた「完全習得学習」の衝撃

 教育の世界でよく出てくる言葉に、「ブルームのタキソノミー(Bloom's Taxonomy)」というのがあります。
 ベンジャミン・ブルーム博士(Dr. Benjamin Bloom)が開発した教育のタキソノミー(分類学)を指します。教育におけるよりハイレベルな思考を促進するために開発された、学習者の認知的な思考と理解の階層構造(ピラミッドで表す事が多いですね)を示す枠組みのことなのですが、今日はあえて、その内容には触れません(「T;Teaching」シリーズの中で必ず取り上げます)。
 このブルームは1968年に「完全習得学習(マスタリー・ラーニング)」という考え方を提唱しています。適切な条件さえ整えれば、すべての生徒が例外なく高い水準で内容をマスターできるはず。一部の天才と大多数の凡人、そして一部の落ちこぼれを生み出す『正規分布(釣鐘型のカーブ)』の呪いに、私たちはこれ以上縛られるべきではない、とブルームは断言したのです。

ここで今回のQUIZです。

今日のQUIZ

上の文章の太線部「適切な条件さえ整えれば」とありますが、その「適切な条件」とは何でしょうか?
ア 十分な学校への予算
イ 適切なフィードバック
ウ 十分な時間
エ 良質な教材
オ 保護者の理解

 ブルームは、テストで良い成績を取れなかった生徒であっても、その生徒にとって「適切なフィードバック(イ)」が与えられたり、期待される水準に達するまでの「十分な時間(ウ)」が与えられたりすれば、トップの生徒と同じくらいよくできたはずだと考えました。
 
 つまり、すべての教師が身に染みて知っているように、テストで思うような結果を出せなかった生徒たちであっても、適切なフィードバックを受け取っていたり、テストが求める水準に達するための十分な時間が事前に与えられていたりすれば、最高得点を取った生徒たちと同じように素晴らしい成果を上げられたはずなのです。それにもかかわらず、無情にも終了の鐘は鳴り響いてしまい結局間に合わなくなってしまう。

 ということは、学習にかかる時間や指導方法を生徒一人ひとりに合わせて「最適化」すれば、全員が目標を完全に達成(マスタリー)できるということです。

先生は、クラスにはできる子もいればできない子もいて当たり前、と思っていませんか?

 過去の学校教育における相対評価は、成績を正規分布曲線に当てはめ、「どんなにがんばったとしても、必ず最高の『5』を取る子がいる一方で、必ず最低の『1』を取る子がいる」という前提に立って学習をスタートさせていました。皆さんの授業でも、賢い子もいればそうではない子もいると暗黙の前提になっているのではないでしょうか?
 しかし、ブルームの考え方では、そもそもクラスに入ることが許可された生徒は、教師やカリキュラムの期待を達成するポテンシャルを持っているはずだと前提づけられます。
 そのため、教育が最適化された理想的な状態では、成績の分布は正規分布にはならず、全員が高い達成度を示す方へと「曲線をシフトさせる」ことが可能になるとブルームは主張しました。

義務教育の限界突破へ!新・学習指導要領がもたらす教育の「余白」

 実は現在議論されている次期学習指導要領に向けた教育改革などにより、公立の義務教育においてもその理念(誰もが自分のペースで確実に習得できる状態)の実現が可能になる方向へと進んでいます

1. 「時間」の壁を越える調整授業時数制度と「余白」の創出

 これまでの義務教育は「標準授業時数」に強く縛られており、全員に同じ時間をかけて同じペースで教えることが前提となっていたため、理解の遅い子どもに十分な時間を確保することが困難でした。しかし次期改訂の議論では、各学校の判断で教科の標準時数を一定範囲で減らし、教師と子どもに「余白」を生み出す「調整授業時数制度」の創設が検討されています。これにより生み出された「裁量的な時間」を利用して、子ども一人ひとりの理解度や認知の特性に応じた「学力保障(つまずきへの手当て)」の時間を確保することが可能になります。

2. 「評価」の壁を越える:挽回を認める仕組みへの転換

 これまでは、学期末のテストなどで一度「できない」と評価されると、そのまま次の単元へ進んでしまう「見切り発車」の評価が一般的でした。しかし、新たな方針では、学期中は「学習改善等に生かす評価(形成的評価)」を中心に行うことが促されています。これにより、ある単元でうまく学べなかった子どもであっても、その後の「裁量的な時間」などを活用して「挽回の機会」が提供され、最終的に時間をかけて目標を達成できればよいとする柔軟な評価の仕組みが構想されています。これはまさに、ブルームの「十分な時間と適切なフィードバックを与えれば習得できる」という考え方と合致しています。

3. 現場での「自由進度学習」の実践(個別最適な学び)

 制度の変更を待たず、すでに一部の公立学校(研究開発学校など)では、自分のペースで学ぶ試みが始まっています。例えば、東京都目黒区の取り組みでは、1コマの授業時間を45分から40分に短縮して生み出した時間を使い、子どもが自分の学びたい場所で、自分でペースを決めながら学ぶ「単元内自由進度学習(マイプラン学習)」などが実践されています。

 これらの改革が現場に定着すれば、義務教育であっても、ブルームが提唱した「条件さえ整えれば全員が高い水準に到達できる」という完全習得学習の理念に大きく近づくことができると考えられます。

【世界標準の教育設計】全員を「できる子」に変えるインストラクショナル・デザイン(ID)の本質

 皆さんはインストラクショナル・デザイン(Instructional Design)という言葉をご存知でしょうか。これをする人をインストラクショナル・デザイナー(Instructional Designer)、略して「IDer」というのですが、誰も見たことがないですよね。私の手元にある日本の教育の本には出てこず、現在通信教育で単位を取るために購入した書籍『新しい時代の教育方法』(有斐閣)という本にも出てきません。
 インストラクショナルデザイン(Instructional Design: 略して以下「ID」とします) とは、文字通り「インストラクション(命令・教授・指示)」と「デザイン(設計)」という言葉から成り立っており、本質的には「学習者が目標を達成できるよう、効果的で魅力的な学習体験をデザインすること」を指します。おそらく最初は成人向けのeLearningの構築から始まったように思います。
 具体的には、学習者の知識やスキルの不足、あるいはモチベーションの課題を根本から解決する『教育プログラム』の設計図です。目標達成を徹底的にサポートするため、教授戦略や動機付け、最新のテクノロジーといった『学習条件』を戦略的に配置します。一言で言えば、冒頭でご紹介した『完全習得学習』を確実に再現するためのマシーン構造、それがIDなのです。

「誰一人取り残さない教育」の最適解:ID(教育設計)が拓く未来と私の挑戦

 私はSDGsの「誰一人取り残さない教育」を中学受験の世界で阪神圏で実践し、今後はそれを全国でやるべく病気療養しながら起業準備中です。ブルームの言う「完全習得学習」という理想を実現するのが、このIDなわけです。

 現在、IDの先進的な大学はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校大学院と言われています。同大学院はオンラインでIDの単位(2科目8単位)を取得できるのですが、最初の説明会で、自分のリスニング力のなさと、講義が午前3時とかなので、さすがにいまの体調では無理と断念しました。
 しかしCourseraでそのエッセンスは提供されているので、その講座は無事修了しました。

Instructional Design Foundation and Applicationの修了証(Coursera)
Instructional Design Foundation and Applicationの修了証
Learning Technologies Foundation and Applicationの修了証

 ここで学んだ世界最先端の知見と、私の25年の講師経験を組み合わせて、これからの「T:Teaching」の記事を書いていきます。ぜひ今後の記事にもご期待くださいませ。

QUIZの解答

イ・ウ

でした。

ありがとうございました。
もし「クラスの成績が正規分布になるのは、教師の怠慢かもしれない」というブルームの鋭い視点にハッとさせられたり、これからの教育の可能性にワクワクしていただけましたら、ぜひ「スキ」や「フォロー」をお願いいたします!月並みな表現ではございますが、病気療養中の身である私にとって、皆様からのリアクションが何よりのエネルギー源であり、最高の励みになります。

また、教育現場や塾のあり方について、「うちのクラスではこんな実践をしている」「自分の学生時代はこうだった」といった皆様のご意見やご感想を、ぜひコメント欄で熱くお聞かせください。

感謝一入
Warm Regards,
トビラAI拝

参考文献

  • University of Illinois Urbana-Champaign"Instructional Design Foundations and Applications"Courseraの講義

  • UNESCO(2025)"AI and the future of education(AI and the future of education: Disruptions, dilemmas and directions)"

  • 文部科学省(2025)"教育課程企画特別部会論点整理"中央教育審議会 教育課程企画特別部会

  • 子安潤(2023)『教科 と総合の教育方法・技術』学文社

  • 田中耕治ら(2024)『新しい時代の教育方法』有斐閣

  • Pooja Agarwal(2019)"Powerful Teaching: Unleash the Science of Learning"Jossey-Bass

トビラAIプロフィール

※ 本稿では画像生成と文章の推敲に生成AIを使用しています。

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