若い先生の皆さんへ第2部㉘I(2)_【保存版】「性的嗜好」はなぜNG?先生が知るべきLGBTQ+基礎用語の完全ガイド
こんにちはトビラAIです。先日から若い先生の皆さんへ第2部の「I」インクルーシブ編として、特にLGBTQ+をテーマに連載をしています。1回目は以下の記事をご覧ください。10代のLGBTQ+の5割以上が自殺念慮を経験し、教職員の8割は対応策に自信がない、というお話でした。
本連載は、University of Colorado SystemがCourseraで提供している講義『Queering the Schoolhouse: LGBTQ+ Inclusion for Educators』のエッセンスを要約し、日本の文脈に合わせて再構成したものです。ここにあるのは私の個人的な意見ではなく、教育と社会正義の最前線で共有されている「スタンダードな知識」です。今回はその2回目になります。
よろしくお願いいたします。
本日のQUIZ
情緒的ニーズや恋愛感情を持つ場合はあるが、他者に性的魅力を感じない固有の性質を持つ人のことを( )という。
です。考えてみてください。
まずは単語の理解から
LGBTQ+という言葉は知っていても、生徒に『先生、性自認と性的指向ってどう違うの?』と聞かれて、即座に答えられますか?あやふやな知識は、時に誰かを傷つける刃になります。今回は、教員として最低限知っておきたい『命を守るための用語定義』を解説します。
本講義でも、まずアイデンティティを構成する用語の定義から入ります。Harvard School of MedicineのCarl G. Streed, Jr, MD(2017)には以下のように定義されています。
性自認(Common Gender Identities)
まず、性自認と性的指向に分けて考える必要があります。性自認とは「自分をどう認識しているか」ということです。出生時に割り当てられた性別が一致するか一致しないか、その枠組みの外にあるかで、以下のように用語が異なります。詳細は以下の表も参照ください。
・Cisgender(シスジェンダー)→性自認が一致する人々
・Transgender(トランスジェンダー)→性自認が一致しない人々
・Non-Binary(ノンバイナリー)→「男性か女性か」という二元的な枠組み(ジェンダー・バイナリー)に当てはまらない性自認を持つ人々
・Genderqueer(ジェンダークイア)→既存の枠組みに属さない人々。ノンバイナリーに近いが、より規範への挑戦的な響きを持つことがある
・Gender Non-Conforming(ジェンダーノンコンフォーミング)→社会が期待する性役割に従わないこと。シスジェンダーの人にも当てはまる概念

まずは上記の単語をしっかり整理して覚えましょう。
性的指向(Common Sexual Orientation Identities)
一方で、性的指向とは「誰を好きになるか」という話です。以下のようにまとめました。
・Asexual (アセクシュアル)→他者に性的魅力を感じない固有の性質を持つ人。選択的な「独身主義」とは異なりますが、情緒的ニーズや恋愛感情を持つ場合はあります。
・Bisexual (バイセクシュアル)→自身のジェンダーに加えて、別のジェンダーの人々に対しても魅力を感じる人。
・Gay (ゲイ)→男性に惹かれる男性のこと(シス・トランス問わず)。他のジェンダーの人々が同性愛を表す際にも使われます。「ホモセクシュアル」という呼称は、現在は当事者の多くに使用されません。
・Lesbian (レズビアン)→女性に惹かれる女性のこと(シス・トランス問わず)。「ホモセクシュアル」という呼称は、現在は当事者の多くに使用されません。
・Pansexual (パンセクシュアル)→あらゆるジェンダーの人に、性的・精神的な魅力を感じる人。バイセクシュアルと似ていますが、男女二元論(バイナリー)にとらわれない表現として好まれる傾向があります。
・Queer (クィア)→かつては差別語でしたが、現在はコミュニティに受け入れられ再利用されています。既存のカテゴリーの枠外にいる人や、特定のラベルでは自分を表現しきれないと感じる人々を表す総称です。
・Straight (ストレート)→自分とは異なる性別の人に惹かれる男性または女性(シス・トランス問わず)。一般的に「ヘテロセクシュアル」とも呼ばれます。
文字ばかりだとわかりづらいですからnotebookLMが図にしてくれました。以下の表もご参照ください。

(Carl G. Streed, Jr, MD(2017)を基に、トビラAIがnotebookLMによるAI画像生成)
性的指向・性的嗜好・同性愛
性的指向に関する補足事項として以下の2つが指摘されています。
・性的指向(Sexual Orientation)とは、他者に対して感じる性的、ロマンチック、身体的、および/または精神的な魅力のタイプであり、多くの場合、本人と惹かれる相手との間のジェンダー関係に基づいて名付けられます。
・性的嗜好(Sexual preference)や同性愛(Homosexuality)という用語は時代遅れであり、使用すべきではありません。
性的指向と性的嗜好?
これ、両方とも日本語にすると読み方が同じになりますから、どう違うの?と思われると思います。性的指向(Sexual Orientation)とは他者に対して抱く「感情的、ロマンティック、身体的、および/または精神的な惹きつけられ方(アトラクション)」の種類を指しますが、性的嗜好(Sexual preference)の場合、「preference(好み/嗜好)」という言葉は、アイスクリームの味を選ぶような「個人の選択」や「一時的な好み」であるという誤った印象を与えてしまいます。
平たく言えば、性的指向(Orientation)を「利き手」に例えるなら「どちらの手が使いやすいか」という生まれ持った体の向きのようなものです。一方で性的嗜好(Preference)という言葉は、あたかも「今日は右手を好んで使っているだけ」と言っているようなものです。矯正できないものを『ただの好み』と言われたらどう感じるでしょうか?
その人が本来持っている自然な性質を「単なる気まぐれな選択」へと矮小化してしまう危うさがあるのです。
Homosexuality(同性愛)が時代遅れな理由
次に「Homosexuality」(同性愛)ですが、かつて精神疾患とされた歴史を持つ医学的で冷淡な用語であり、現在は時代遅れとされます。当事者の多くはこの呼称を使わず、「ゲイ」や「レズビアン」等の自称を好みます。相手の人間性やアイデンティティを尊重するため、この言葉は避け、代わりに「性的指向」の使用が推奨されています。
用語の整理
つまり今までの単語を整理しますと以下のようになります。
L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル):これらは「誰を好きになるか」という性的指向の話です。
T(トランスジェンダー):これは「自分をどう認識しているか」という性自認と、出生時に割り当てられた性別が一致しない人々を指す包括的な用語です。
Q(クィア):かつては蔑称でしたが、現在はコミュニティによって「規範に縛られない自由な性」を表す言葉として力強く再利用(reclaim)されています。
+(プラス):ここには、I(インターセックス)やA(アセクシュアル)など、多様なスペクトラムが含まれます。インターセックス(Intersex)とは、染色体、生殖器、ホルモン、生殖器官などの身体的特徴が、一般的な「男性」または「女性」の定義に当てはまらない状態で生まれた人々を指す。
ノンバイナリー / ジェンダークィア:男性・女性という二元論(バイナリー)のどちらにも属さない、あるいはその間を流動する人々です。
さらにまとめると「LGB(好きになる相手)」「T(自分の認識)」ということになるでしょう。
用語を知ることは重要です。しかし、用語を暗記したからといって、彼らの「痛み」や「恐怖」を理解したことにはなりません。教室の隅で、あるいは職場の片隅で、誰かが「自分であること」を理由に命の危険を感じている。このギャップを埋めることこそが、本講義の核心です。
続きは次回にいたしましょう。
QUIZの解答
アセクシュアル
もし正解できなくても落ち込まないでください。学ぶために今日ここに来たのですから。
ありがとうございました。
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感謝一入(ひとしお)
Warm Regards,
トビラAI(He/Him)拝
参考文献
Carl G. Streed, Jr, MD(2017)"Terminology Related to Sexual Orientation,Gender Identity, and More",Harvard School of Medicine
