見出し画像

【受賞と、漫画化!】地味だと思っていた「大家の仕事」が、私のクリエイティブを救った話

先日、noteのコンテストで「マイナビ賞」をいただきました!
さらに嬉しいことに、賞金に加えて、SNSで活躍するクリエイターさんによる漫画化がおこなわれるのだそう……!
10年前の「迷子」だった私が聞いたら、きっと目を丸くして驚くと思います。

審査員の皆様、そして本文にも書きましたが荒川区で出会った皆様に、心から感謝しています。

このnoteには書ききれなかった、私の人生を決定づけた「決定的な1ページ」があります。

今日は、その行間を埋めるお話を書いてみます。


取材の返信をくれたのは、お店の「大家さん」だった

約10年前、ライターとして取材活動をしていた私が、どうしても紹介したい飲食店がありました。

取材依頼のメールを送ると、普通は店長さんや広報スタッフさんから返信が来るものです。けれど、その時返信をくれたのは、飲食店が入っている物件の大家である青木純さんでした。

「飲食店が入居しているマンションの大家さんが、お店の社長もやっている……?」


帰りの電車で、世界が裏返った

取材当日、青木さんは飲食店だけでなく「大家の仕事」のお話も聞かせてくださいました。それは、私の想像を180度覆すものでした。

  • 住人さんと一緒に、DIYで世界にひとつだけの可愛い部屋を作っていること。

  • 住人さんと仲良くなって、一緒にお酒を飲んだり、ご飯を食べたりしていること。

  • 物件のロゴやデザインを、自分が応援したいデザイナーやイラストレーターに依頼していること。

  • 物件に誰もが安心して過ごせる飲食店が欲しいから、作ったこと。

「大家さんって……もしかして、めちゃくちゃクリエイティブな仕事なんじゃないか?」

帰り道、即座に青木さんの著書を買い、読み耽りました。

デザイン、広報、キャッチコピー、ホームページ制作、ブランディング。 それらはすべて、私が美大生の頃からずっと学び、そして仕事にしてきたことでした。

「これ、全部やったら、おばあちゃんが悩んでいる空室問題を解決できるかもしれない」


15年前、祖母の期待を断った日

実は、私の祖母は大家です。 話は15年ほど前に遡ります。親を亡くした私に、祖母は言いました。

「いつか大家を継ぐ気はある?」

当時の私はデザイナーとして就職が決まったばかり。「今はデザイン以外の仕事には興味が持てない」と、断ってしまいました。

祖母が大家をしているのは、築約40年の古い物件。
家賃を手渡しで受け取り、修繕手配に追われる毎日。
そんな大変で、正直「地味」に見える仕事を、デザインと両立できるとは思えなかったのです。
もしかしたら、建物自体はいつか継ぐにしても、実務は全部管理会社にお任せして、自分はデザイナーの仕事だけをしていくんだろうな。そう思っていました。

その数年後、物件で家賃踏み倒しトラブルが発生。さらに築年数を重ねたこともあり空室が目立ち始め、勝ち気だった祖母が目に見えて弱々しくなっていきました。大切な子供を亡くした衝撃が消えないなかでの、トラブル。

でも不動産業未経験の私にできることは何もない……。

せめて祖母の近くにいられる仕事を始めようと、退職し、転職活動をしつつ、フリーランスwebデザイナー兼ライターを始めたのでした。


「おばあちゃん、私に継がせてほしい」

けれど、青木さんの本を読み、私の心境は一変しました。 ワクワクして、ソワソワして、居ても立ってもいられなくなりました。

私一人でできることがあるなら、発注費用もかからないし、試しやすい。デザインの力で、祖母の力になれることがあるかもしれない。

帰宅してすぐ、私は祖母に伝えました。

「大家、よければ私に継がせてほしい。ちょっと、試させてほしい。」

その時の、祖母のパッと明るくなった顔を、私は一生忘れないと思います。


「大家の仕事」が、私のクリエイティブ業を豊かにしてくれている

あれから10年。 不動産未経験だったデザイナーの私は、何度も失敗し、泣き、落ち込みながらも、なんとか物件を満室にすることができました。
今ではLINE登録者が200人を超え、募集を出せば一部屋に20件以上の内覧希望が来る物件になりました。
(ちなみに家賃の手渡しは、住人さんに惜しまれつつ、やめました。笑)

物件のブランディングデザインをおこなったことで、街の方々からのデザインのご依頼も増えるようになりました。
また、新たに建てた賃貸物件は、グッドデザイン賞を受賞することができました。
大家の仕事を継いだことで、私のデザインを含めたクリエイティブ業がどんどん広がっていきました。


10年越しの伏線回収

そして今、信じられないような2つの「伏線回収」が起きています。

ひとつめは、取材した青木さんが運営されている飲食店『都電テーブル』が、なんと私の物件のすぐ近くにオープンしたこと。


そして、2つめ。
10年前、私の価値観を壊してくれた青木さんが主宰する『大家の学校』に、今度は私が「講師」として呼んでいただけることになったのです。

当時の私のように「場づくり」や「大家の仕事」に悩んでいる人たちに、恐縮ながら、今度は私がバトンを渡す番。

今月からは、第13期の授業がスタートします。

実は数年前の第8期でも講師をさせていただきました。
その時に知り合った受講生さんがうちの物件に住んでくれたり、私の運営するシェア菜園の講師になってくれたり、不動産仲介でお世話になったりと、頼れる仲間との出会いの場にもなっています。


マイナビ賞をいただいたnoteには「ライターを始めたことで街との縁が広がった」と書きましたが、思い返せば「ライターをしたから、私は大家になった」とも言えます。

10年前のあの取材がなかったら、今の私はきっとここにはいません。つくづく、人生の舵は、大きな決断だけでなく、実は何気ない一通のメールといった「小さなきっかけ」で、思わぬ方向へ切り替わっていくものかもしれないなと思いました。


【お知らせ】
全国から受講生が集まる『大家の学校』。
第13期が今月からスタートします。
私も講師として登壇させていただきますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください!




▼メンバーシップを始めてみました!「住人さん」をお待ちしています🏡



◆X
https://twitter.com/530E
◆Instagram
https://www.instagram.com/todaemi_arakawa/
◆トダビューハイツ
https://todaviewheights.com
◆ロジハイツ
https://souzou-kenchiku.com/
◆カドノキ
https://souzou-kenchiku.com/machiya5/

いいなと思ったら応援しよう!

戸田江美@デザイナー大家 サポート、大変励みになります!大事に大事に、今後の活動のために噛み締めながら使わせていただきます!