まあるい看護|介入は相手を変えるためだけではない
あるスタッフが、業務をなかなか覚えられず、チームでの連携ができていないという状況がわかりました。
様子を見ていると、わからないことが多いけれど積極的に質問したり、他のスタッフがどういう動きをしているかをあまり気にしている様子はありませんでした。
「何度言っても、わかってくれないんだよね。」
そんな他のスタッフの声が聞こえてきました。
私は、そのスタッフに声をかけて、今私たちはこういう業務をしているけれど、あなたはこの業務は一緒にやるものじゃないの?というニュアンスを伝えました。
その声掛けで、私たちと連携をしてくれる動きをしてくれました。
その後、そのスタッフについて他のスタッフに聞いてみました。
すると、あと1か月ほどで退職されるとのことで、それなら今できることをやってもらうだけでいいと思っているとのことでした。
なるほど。
私の現実との「相互作用による認知の更新」の流れを可視化してみましょう。
認知
あるスタッフの動きを見ていると、チームでの業務の流れに乗れていなく、単独で行動しているように見える。どうやら、メモを取っていないし、ほかのスタッフの動きも気にしていない様子。必要な業務が定着していないようだ。
他スタッフの「何度言っても、わかってくれないんだよね。」発言。
評価
私の認識が不足しており現状を知らなかった。
スタッフはチームでの連携ができていないことで業務に影響している。
判断
必要な声掛けや促しをすれば、動いてくれるかもしれない。
介入
私は声をかけて、チームでは今こういう業務をしているけれど、あなたはこの業務は一緒にやるものと認識しているのかについて確認し、連携を促した。
認知の更新
声をかけたことで、スタッフが連携をしようと行動を共にした。
評価
声をかけて連携ができたことから、まだ業務の流れがつかめていない可能性がある。今後はメモを取るようにしてもらい、わからないことは自分から聞くこと、周りのスタッフからも状況を伝え、ひとつずつ覚えてもらうことができるのではないか。
認知の更新
他のスタッフから、あと1か月ほどで退職予定であることを知る。
評価
教育をすすめるより、残りの期間を安全に業務遂行できるよう役割調整することが最適か。
判断・収束
無理をしないで、できることを担当してもらう。
休憩中話をする限り、そのスタッフは人柄は悪いわけではない。ただ、業務に必要なことを理解しようとする行動が伴っていないことで、連携が不足していた。
残り1か月で退職するとのことで、新しい業務内容を積極的に覚えてもらう必要性も低い。
ただ、患者さんへの声掛けの不足や、確認せず自己判断している傾向があるのでその都度伝えていく必要はある。
このような収束となりました。
今回は、対象は患者さんではなく一緒に働くスタッフでした。しかし、人と人との相互作用という点では、本質的な思考過程は変わらないと考えます。
私は、このような看護実践の思考過程を可視化することで、経験だけでは伝わりにくい専門性をわかりやすくしたいと考えています。
介入は、相手を変えるためだけに行うものではありません。
介入を通して現実と相互作用し、新たな情報を得ることで、自らの認知を更新し、より適切な判断へと近づいていく。その一連のプロセスこそが、看護実践の専門性の一つではないでしょうか。
私はこれからも、このような実践の積み重ねを言葉にしながら、看護実践の「見えにくい思考過程」を可視化していきたいと思います。
